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氷河期世代に見る「ヨーヨー型キャリア」が作る最大の問題点と思うこと

自分も氷河期世代なのだが、最近自分の身に起こったことから、「もしかしてこれが氷河期世代の最大の問題点なのでは?」と思うことがあったので書いてみる。

氷河期世代は非正規雇用で働く者が多く、当時私の周りでも派遣社員で働く者が多かった。私も最初は地元の小さな会社のパート社員だった。
私の場合、パート社員から正社員に上げてもらったのだが、もっと色んなことをしたいとスキルアップを目指して転職してから、これまでギリギリ両手の指の数で足りるくらい転職をして今に至る。
その間に、パート、正社員、派遣社員、契約社員と色んな形態で働いてきた。
私もいわゆる「ヨーヨー型キャリア」なのだ。

「ヨーヨー型キャリア」という言葉はこちらのサイトから。
端的に言うと、正社員と非正規社員を行ったり来たり、無業・失業を度々くり返しているキャリアのことを指す。
まさに私のキャリアも同様で、一番痛かったのがリーマンショックだった。
「この会社でどんどん頑張って行こう!」と思っていたところ、所属していた事務所が閉鎖することになり、そこから私のキャリア形成が崩れてしまった。

私の悩みは、一貫したキャリアが無いので、どうしても経験が「広く浅く」になってしまっていること。
リーマンショック以降、同じ業務を繰り返す、という働き方ではなくなってしまった。
同じ仕事を繰り返すことで業務知識は身に付く。
だが、キャリアが分断され、同じ仕事を継続できないとどうなるか。
分断されたキャリアがもたらすものは、「業務知識の不完全定着」だ。

知識というのは、概念とラベルがセットになっている。
辞書をイメージすると分かりやすい。
「右手(ラベル)」=「自分から見て右側の手(概念)」というように、どちらが欠けても成り立たない。
特に外部にアウトプットするためには必須。
つまるところ、いわゆる「言語化」だ。
外部、つまり他者とコミュニケーションを取るためには、この概念とラベルが定着していることが重要なのだが、定着させるには繰り返しの学習が必要になる。
同じ業務に携わり続けることで記憶は定着して己の血肉になり、自分の一部としてスラスラと出てくるようになる訳だ。

ここで表題の「ヨーヨー型キャリア」が出てくる。
ヨーヨー型キャリアは転職回数が多い、つまり連続した経験が出来ていない人が少なからずいるということだ。
同じ業界をずっと渡ってきたのであれば問題は少ないだろう。
同じ言葉を使い続け、記憶にしっかりと刻みつけられ血肉になるからだ。
しかし、前職と違う仕事や、同じ職場でも継続して同様の仕事ができないなど、連続した経験を積めないと概念にラベルがしっかり貼り付くのが難しくなる。
また同じ概念でも業界が違うと別の言葉=ラベルで表すなどもあるので、なおさら定着しづらい。
すると、本当はできるのに、知識をきちんと「言葉」にして説明できず、「出来ない人」のレッテルを貼られてしまう。
上記は私がつい最近に味わったことなのだが、もしかしなくても、そういう人って、一定数いるのではないか?
そしてそれは、連続したキャリアを積めなかった氷河期世代の最大の問題、キャリアがブツ切れになってしまう最大の原因ではないだろうかと思ったのだ。

概念とラベルがきちんと定着して「言葉=単語」としてアウトプットが出来ないと、以下のようなことが困難になる。

  • 質問など職場の人とコミュニケーションが取りづらくなる

  • 面談などで具体的な説明ができない

こういうタイプの人は実際に仕事をやらせると実はできると言う人が少なくないのではないかと思う。
いわゆる「話し方で損をしている人」だ。

氷河期世代の採用について国も問題視しているようだが、正直、これは受け入れ側の能力が大きく関わると思っている。
なぜなら上記のような状態の相手の場合、「相手はどういうことを言おうとしているのか」と歩み寄る必要があるからだ。
ふわっとしたことを聞いてきた相手に、なぜその質問をしてきたのか推察し「もしかして、こういうことを聞こうとしている?」と聞けることが必須になる。
お互いに歩みより擦り合わせようとする。
お互いに理解しようとする努力が必要になる。
だが、現場が即戦力を求める限り、こういう人材はどうしてもこぼれていってしまう。

以上が私が思ったヨーヨー型キャリアの問題点だ。
実際には氷河期世代に関わらず、言語化できずに社会で活躍できていない人たちはいると思う。
労働人口が減ってきている今、社会を支えるには「お互い様」の感覚が大事なんじゃないだろうか。

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