ソール・ライターと父ちゃんの料理教室
新しい図書館の選書のセンスはやはり違う。
以前から書店で立ち読みをしていた2冊の本を借りた。
1冊は「永遠のソール・ライター」、もう1冊は辻仁成氏の「父ちゃんの料理教室」
ソール・ライターは、ニューヨークの日常をいつも驚きと新鮮な目で撮り続けてきた。
一方、辻仁成氏は、作家でありミュージシャンであり、離婚してから同居する息子のために毎日、台所に立ち続けた。
共通するのは、日常の中での新しさ、驚きとの出会いを楽しんでいること。
「永遠のソール・ライター」には写真とともに彼の短い言葉が添えられている。
「神秘的なことは、馴染深い場所で起こる。なにも、世界の裏側まで行く必要はないのだ。」
「あらかじめ計画して何かを撮ろうとした覚えはない」
「私は単純なものの美を信じている。もっともつまらないと思われているものに、興味深いものが潜んでいると信じているのだ」
「父ちゃんの料理教室」は、単なるレシピ本ではなく、辻仁成氏の人生が生き方が語られている。かっこよすぎると受け止める人もいるかもしれない。 辻氏の彼の波乱万丈の人生が正直に投影された多くの物語は、普遍性をもって読み手に伝わってくる。
本書のあとがきにしびれた。
離婚直後に笑顔を失った息子と体重が大きく減った父親。
とにかく毎日、トマトをベースにして工夫したパスタをつくり、息子に「美味しい?」と尋ね、息子からは小さな声で「うん、美味しい」
この繰り返しの中で辻氏の体重は増え、息子にも笑顔が戻ってきた。
辻氏は父であり母でもあった。
離婚から2,3年経ったある日に、息子から「パパも少し、自分のことを考えたら」と。
辻氏はこのゴージャスでない日常の味であるトマトとツナのパスタを人生の初心と思い、父と息子だけの辻家の定番料理の一つになったと語っている。
特別な場所や特別な素材でない日常の風景、料理の中に新しい発見や情緒を見つけていく喜び。
ネイタルチャートは身近な家庭、娯楽を象徴する5室に蟹座金星がある私は、なおさら二人の写真と料理の捉え方に強く共感を覚える。
奇しくも辻仁成氏は私と同い年であるが、作家でもあり、ミュージシャンでもあり、映画や写真も撮られる多才である。
本書の料理の写真もすべて辻氏で、やはり美味しさが伝わってくる。
本書は料理の世界で働いている長女も読んでとても感動し、長女の天才肌の二人の料理の師にも読んでもらったようだ。
盛り付けに涼しさのありグリーンカレー
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