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ありがとう

米寿を過ぎた母は、週1回のデーサービスを楽しみにしている。
日常生活に不自由はなく、介護認定も難しいが、今年から何とか週1回の頻度で近くのデーサービスに行けるようになり、そこでの体操や出会いを楽しんでいる。

母にとっての義理の妹が今夏に急死し、そのことが精神的にかなりこたえたのか、日常の中でぼんやりすることが増え、既に家にあるのにまた買ったり、へんでもないところに食料品が置いてあることが起こるようになった。

これは、痴呆の初期症状ではないかということで、兄弟と相談して、母にはデイサービスに行ける回数を増やすという目的ということで脳神経内科を受診したが、現状では顕著な痴呆の状態ではないということであった。

ただ、このままでは、もの忘れがどんどん進行するので、デイサービスの回数を増やせるような手立てを調べつつ、冷蔵庫にポストイットを貼って、買うものをメモしたりさせ、また母に毎日短い時間でも電話をするようになった。

以前、週に1回電話をしていた際は、スマホが手元にないのかなかなか通じないことが多かったが、できる限り毎日電話をするようになり、ほぼ確実に電話に出るようになった。

毎日、特に用事があるわけでもないので、月並みな体調の様子、天気の話でしかないが、母の声は何となく以前よりも元気になってきた感じがする。

母は10年前までは書道を習っていたので、たまには書道をしたり、何か楽しめることができるといいなと思いつつも、90歳を過ぎて新たなことをはじめるというのかかなり抵抗があるようだ。
母の世代はそうかもしれないが、自分の楽しみをある意味犠牲にして、お姑さんや子の世話をしてきたので、旅行もできなくなり、家事もそんなにできなくなると楽しみがなくなっていくという感じなのかもしれない。

我が子や孫とのコミュニケーションが大きな楽しみではないかと思う。


最近、我が家のブームは、石田組。
組長の硬派な外観とは裏腹の繊細で情緒あふれるバイオリン。
組長の表情やメンバーを振り返る仕草が何とも新鮮で且つ音楽への情熱の熱さが伝わってくる。
特にこの「ありがとう」は、何かと脳内でこの曲がリフレインするようになった。
米寿を過ぎた母の姿とも重なり、この曲の何とも言えない優しいイメージが広がっていく。



爽やかに弓掲げけり石田組



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