計画通りにゆかぬ旅
家内の還暦祝いの家族旅行は、コロナ禍や次男の変調で遅れに遅れた。
ようやく二人の息子も家を出た(今は出戻り中)今春に家内が以前から行きたがっていた上高地の宿を予約した。
ところが、「崇」という字が名前に含む長男は、山が好きで、せっかく上高地に行くならば涸沢カールに行くしかないと家族に働きかけて行程計画や装備リストまで作成してくれた。
当初は登山に行く計画をしていなかったため、私が予約した宿泊先では涸沢カールは無理があった。最終的には長男のみが途中から別行動でテント持参で行くことになった。
ところが上高地に行く直前になり、三宮の人込みから帰った次男の調子がおかしくなり、一旦は中止しようかという流れになった。
次男の行動パターンを私たち以上に理解している長男は、環境の良い場所に行けば、彼はきっと元気になるので予定どおりに行った方が良いと主張してくれ、家内も私もその提案に従った。
案の定、上高地に到着してから次男は、一気に元気になり、北アルプスを縦走するような装備で我々を大きく離して前を進んで行った。
太陽魚座要素が強くて、つかみどころのない次男との関わりにおいては、今年も専門学校の件で何度か振り回され、距離感を持つことは意識していたが、今回も結果的に振り回されてしまった。
涸沢カールに行くことを随分前から計画して装備を揃えていた長男は、二日目の激しい雨に濡れ、微熱も出て体調も芳しくなかったため途中で引き返してきた。
当初計画していたことが悉く、計画通りにならないことの連続となったが、最終的には私がイメージしていた家族みんなで家内の還暦を祝う形となった。
また、今回の上高地は、紅葉シーズンでもあり、駐車場に入るまでの渋滞とタクシーの待ち時間もかかるだろうと覚悟していたが、渋滞もなく長男が民間のタクシーのいる駐車場を見つけてくれてとてもスムーズに上高地に入ることができた。
上高地まで片道30分ほどの行程であるが、タクシーの運ちゃんの話題が行きも帰りも実に話題豊富で通常の観光ガイドからは聞けないような裏事情等を笑いをふくめてたっぷりと聞かせていただいた。
野生の雄猿が池の魚を獲り、観光客に自慢そうに見せびらかせている話や山肌の傾斜面にカモシカが鉄分の土を食べにくる話、今はない道路脇の露天風呂から酔っ払いが裸姿で観光バスに手を振る話など。
帰りのタクシーの運ちゃんから高速インター近くの宮春という豆腐料理のお店を紹介してもらい、そこに立ち寄ることになった。
麦飯水仕込みのこだわり豆腐 - 株式会社 宮春 【飛騨高山】 (jimdofree.com)
時間が15時半を過ぎており、事前に確認をすれば良かったが、着いてみると食堂の方は既に閉店であった。お店のお姉さんに郷土料理のお店のある高山のエリアを聞いて再度、戻る形で車を走らせた。
この時点は、私はもう帰路につきたい気分になったが、せっかく高山に来たから美味しいものを食べようという家族の勢いに従った。
豆腐屋のお姉さんに何度も道を確かめ、来た道を引き返して1つ目のインター出口を降りたらそこにオークビレッヂ本社の看板が。
これに長男が反応し、以前から行きたかったので近いので是非、行こうということになった。(私は行きたくなかったので今から思うと車内かどこかで休んでおけばよかったが)
飛騨高山 飛騨の家具 オーダー家具製作 木造建築 オークヴィレッジ株式会社›Oak Village
オークビレッヂの女性も店終い前に訪れたためかあまり良い対応ではなかった。この時間では食事ができるところはどこも閉店していますとつれない返事で、何とも致し方ない空気となった。
私は気分を切り替えてハンドルをにぎり、途中のサービスエリアで軽い食べ物を食べてひたすら家に向かう方向に意識を向けた。
その日の朝も4時頃には起き、普段は床に着く時間になってきたため、私自身の疲労は、限界を超えたような感覚となり、運転は長男に任せ、助手席でうとうとした。
無事に家に着いたら疲れで免疫力が一気に落ちたのか、2年前の脹脛に激しい痒みが生じ久しぶりに苦しんだ。
我が家を見事に象徴する計画どおりにいかない家族旅行であったが、次男も含めて家族全員で家内の還暦を祝い、無事に帰宅できたことが嬉しかった。
そして翌朝、珍しく離れ住む長女からのお礼のLINEと二人の弟に向けてのメッセージが届いていた。
「焦り過ぎず、動きながら自分がここを探していたんだ!という場所と出会えることを待つことも必要かも、それが長期的に見ると意外に近道だったりすると思うよ」
4年前に長女も前職の会社に事件に巻き込まれ、鬱状態となり前々から予定していた離島での料理の学校にも行けるかどうかわからない混沌とした同じような経験をした。そこから自分自身で動いて見も知らぬ街に飛び込んで人脈を築いてきた経緯がある。
まさに今、太陽期(26歳~35歳)に太陽天秤座を発揮させている長女は、これから太陽で生きていける勢いが出てきたように思う。
次男は太陽魚座であり、また長女とは異なる。
前に進む扉を自分で塞いで同じパターンを繰り返しており、それに対しては、成長のための苦難を求めているというような詭弁を返したりもしてなかなかやっかいである。
薬の大切さ、自分自身の行動パターンを認識していくことの大切さは理解をしてきているので、もう少し親としても待つという姿勢を大切にしたいと思う。
白樺の連なる小径秋澄めり