【連載小説】薔薇の流儀 みやびの総合格闘技戦 第二回戦「空手のミキ」
第二回戦「空手のミキ」
みやびはリングに立ち、対戦相手のミキを見据えた。ミキの突きと蹴りは世界レベルであり、その実力は誰もが認めるところだ。試合開始のゴングが鳴ると同時に、ミキは素早く前進し、鋭い突きを繰り出した。
みやびはその突きをかわしながらも、その速さと力に驚きを隠せなかった。ミキの動きはまるで風のように軽やかで、次々と繰り出される蹴りと突きにみやびは防戦一方となった。
「これが世界レベルの空手か…」みやびは心の中で呟いた。しかし、彼女は諦めなかった。ミキの攻撃を受け流しながら、反撃のチャンスを伺っていた。
突然、ミキの強烈な蹴りがみやびの脇腹に命中した。痛みに顔を歪めながらも、みやびはその瞬間を逃さなかった。彼女は素早く接近し、ミキの背後に回り込むと、スリーパーホールドを仕掛けた。
ミキは必死に抵抗したが、みやびの力強いホールドから逃れることはできなかった。やがて、ミキの動きが鈍くなり、ついに力尽きた。
「勝った…」みやびは息を切らしながらも、勝利の実感を噛み締めた。
試合後の反応
試合が終わり、みやびはリングの中央で勝利を祝った。観客席からは大きな拍手と歓声が沸き起こり、彼女の健闘を称える声が響いた。ミキも立ち上がり、みやびに歩み寄った。
「素晴らしい試合だったわ、みやび。あなたの強さと技術には本当に驚かされた。」ミキは笑顔で手を差し出した。
みやびも笑顔でその手を握り返した。「ありがとう、ミキ。あなたの突きと蹴りは本当に強烈だった。次はもっと強くなって戻ってくるわ。」
二人は互いの健闘を称え合い、リングを後にした。観客たちはそのスポーツマンシップに感動し、さらに大きな拍手を送った。
リングサイドでは、みやびの姉たち、慶と早紀が見守っていた。彼女たちはみやびの本名、早川レイを知る数少ない人々の一人だった。慶は涙を浮かべながら、早紀は誇らしげに微笑んでいた。
「レイ、よくやったわ!」慶は声を張り上げた。
「次の試合も頑張ってね、レイ。」早紀も続けた。
みやびは姉たちの声を聞き、心の中で感謝の気持ちを抱いた。彼女は再びリングに立つ決意を新たにし、次の戦いに向けて歩み始めた。
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