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|Yountville《ヨーントヴィル》

 アメリカのワインの話題で AVA(アメリカ政府公認ぶどう栽培地域)と言えば、まず有名なのがナパ バレー AVAですが、ナパ バレーの中にはさらに細かく区分されたサブ AVAというものがあります。これは正式には Nested AVAと言われるのですが(つまりサブと言えばナパ バレーAVAの下という印象を受けますが、実際はその逆でナパ バレーの中でもさらに上の区分にあります)、そのサブAVAが16地区あります。
 そしてヨーントヴィルAVAもその一つです。認定されたのが 1999年の5月18日ですから、今日でかれこれ 20年も経つわけですね。 

 ヨーントヴィルというのは、ナパ バレーの中でもほぼ中央に位置していますが、ぶどう畑として最もいいという評価を得ているのはその北隣の Oakvilleオークヴィルで、ここに有名どころではロバート モンダヴィ ワイナリーやオーパス ワンがあります。
 それではヨーントヴィルにはどういうワイナリーがあるかというと、有名どころでは Beau Vigneボー ヴィーニュDominusドミナス EstateエステイトParaduxxパラダックス Wineryワイナリー、などがありますが、やっぱり筆頭ではDomaineドメイン Chandonシャンドン。ここはフランス シャンパーニュの老舗 Moet et Chandonの資本が入ったワイナリーで、設立が 1973年。これは驚くべきことです。というのは、1973年のナパ バレーはまだほとんど知られておらず、フランスでは誰もカリフォルニアのワインなどに注目する人はいなかったという時代です。こういう時にすでにナパ バレーに注目し、投資してワイナリーを作るというのは、どういう判断だったのでしょう。興味があったので調べてみました。インターネットは便利ですね、出てきたのは John Wrightライトという人です。
 1933年にニューヨーク州に生まれ、兵役に就いた時期にドイツで数年を過ごしますが、この時にライン河近くに駐屯し、ワインに目覚めます。本国に帰った後はビジネスに従事し、MBAを取得、コンサルティング会社に入るという平凡な経歴ですが、ここで彼はワイン産業に関するレポートを書きます。アメリカのワインには誰も興味がなかった時代のことです、おそらく非常に珍しいレポートだったのでしょう。そこに注目したのがモエ エ シャンドンという会社だったのですね。この会社は常に拡大主義を維持してきて、ワインでも新たな可能性を探していた。それで注目したのが John Wrightのレポートでした。非常に先鋭的、拡大主義的なことで知られる会社です、ナパ バレーがどういうところか、それはともかく投資。その思い切りの良さ、これがグローバルな会社のトップを走る会社の一つの典型でしょう。今は LVMH という4つの頭文字の会社になっています。つまり Moet Hennessy Loui Vuitton。現在の繁盛を見ればその先見の明には拍手を送るべきでしょうね。

 さて、来年は2023年、つまりドメイン シャンドンが設立されてから50年目です、きっと大きなフェスティバルが開かれますよ。ナパ バレーに来るにはちょうどいいチャンスかもしれませんよ。

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