素人のワイン造り(3)
3回目にしてやっと収穫をする畑に辿りつきました。最初にその畑の説明をしなければなりませんが、その畑と僕の関わりについて少しだけ。Napa Valleyについてはこのマガジンの最初の頃に説明してあるのでそちらを参考にしてくださいね。僕のぶどうの木がある場所はLos Carneros地区ですから、ナパ バレーの南端です。南だから暖かい、夏は暑いと普通は思いますね。違うのですよ。そこからさらに南に行くとサンフランシスコです。ここの湾に流れ込んでいるのはアラスカからの寒流です。水は冷たくてとても泳げません。その寒流の影響で、朝夕の霧。霧のサンフランシスコ、これがナパ バレーのワイン産業に大いに関係があったのですね。そして日中はカリフォルニアの太陽が照りつけて、気温はぐんぐんと上昇します。というように、このダイナミックな地域を想像しながら読み進んでくださいね。その気候がぶどうの房に吸収されていく、そういうことを思いながら飲むカリフォルニアのワイン、味が少し身近になるだろうと思います。
さて、この畑のオーナーは Davidといってもちろん今はお百姓さん。経歴はちょっと変わっていて、一時期はあのRobert Mondaviさんのお抱え運転手をやっていました。それで自分もワイン産業に参加することになったわけですが、車の中でモンダヴィさんといろいろな話をする、その時に相談したのですね。「僕もいずれワイン産業でやっていこうと思うのですが…」そう言う Davidにモンダヴィさんは2つのアドバイスを与えてくれたそうで、その1つ。
「David、ワインは畑だよ。いい畑を探して、見つかったらその畑を買いなさい」確かにぶどうが良くなければ美味しいワインができるはずはありませんね。
それから2つ目のアドバイスです。
「David、ワインを造るのはいいが、決して自分のブランドで売っていこうとは考えちゃいけないよ」
Davidはカルネロス地区に7エーカーの土地を見つけて購入、畑として開墾しぶどうの栽培を始めたのでした。で、その次のモンダヴィさんのアドバイスを忘れてか無視してか、 Davidも自分のブランドのワインを造って売り出します。一方 Davidはなかなかのアイデアマンで、ぶどうの木を分譲することを考えました。分譲といっても2本のぶどうの木を1年間だけ。つまり1年間限定のオーナー、それが僕。それから妻の直美も1年間の限定オーナー。その4本の木のお世話をし、収穫をするのですが、あぁ、またしても千文字を超えました。今日はここまでです。(つづく)