二十歳になった皆さんと私の娘に寄せて
(こののnoteは、2024年1月7日(日)に八戸市で行われた「成人式・二十歳の記念式典」で、二十歳になった皆さんと私の娘に向けたお祝いの言葉を若干編集したものです)
0.はじめに
みなさんおはようございます。衆議院議員の神田潤一です。
まずはお祝いの言葉の前に、1月1日に発生した能登半島地震、そして1月2日に発生した羽田空港の事故において亡くなられた方に、哀悼の意を表したいと思います。
また、現在も避難生活をされている方、そして大きな被害にあわれた方にお見舞いを申し上げ、私も政府の一員としてしっかりと皆さんをお支えし、一刻も早い復旧・復興に努めることをお誓い申し上げます。
さて、本日はみなさんの成人式・二十歳の記念式典にお招きいただきありがとうございます。
改めまして、みなさん、本当におめでとうございます。
実は、私の娘も昨年7月に二十歳になった成人であり、明日東京の会場で二十歳の集いに参加する予定となっています。
ですから、この後私から皆さまに贈る言葉は、そのまま私の娘にも贈る言葉ということになります。
ただ、そう思うと少し照れくさいので、そのことは一旦忘れてお話ししたいと思います。
3つのことをお話しさせていただきます。
1.感謝と優しさ
1つ目は、感謝と優しさということです。
私は週に何回か、朝、ランニングをしています。
今朝も6時台に8キロ走りました。
ランニングが終わって、出身の長者中学校の丘の上に登ると、標高90メートルの高台から八戸市内が太平洋まで一望できます。
「ああ、ふるさとは美しいなぁ」と思いました。
このふるさとの美しさは、中学校時代から変わっていないなぁ、とも思いました。
でも、ふと考えてみると、この八戸市は2011年の東日本大震災で大きな被害に遭っています。
津波で港も破壊され、沿岸の建物や家も壊滅的な被害を受けました。
ただ、そうした大きな災害があったわけですが、今では八戸市だけでなく東日本の太平洋側の各都市では、震災の被害を乗り越えて力強く復興しつつあります。
そこには政府をはじめ自治体、民間、ボランティア、地域の方々など、様々な方の支援があって、今の八戸市があり今の被災地の復興があるということです。
1月1日の能登半島地震の報道に接して、我々は決して他人事ではない、と思いました。
我々が復興の過程で受けた感謝を思い出し、被災地のために何ができるのか、困っている方々へ寄り添う気持ちを忘れずに、そしてもしまた大きな災害がふるさとを襲った時にどうするか、防災・減災について改めて考える機会にしていただきたいと思います。
2.努力のつみたて
2つ目は「つみたて」ということです。
「つみたて」は、金融の分野ではよく聞く言葉ですが、みなさんにとってはあまり馴染みがある言葉ではないかもしれません。
私が大臣政務官として担当している金融庁では、この1月からNISA(少額投資非課税制度)を抜本的に拡充し、皆さんにこのNISAを活用してしっかりと資産形成を進めてくださいということを呼びかけています。
実は、「つみたて」というのは資産運用の根本原理なのです。
つまり、株価のように価格が変動する資産に対しては、「定額を長期にわたって積み立てる」という手法が、投資からのリターンを高めるのに大変有効と言われています。
この理論は、専門用語では「ドル・コスト平均法」と呼ばれます。
例えば「毎月1万円」を株式に投資することとします。
価格が1万円の株式は、毎月1株買えます。
一方で、株価が5千円に下がれば、同じ1万円で2株買えます。
実はこの、下がった時に安く買った株が、株価が上がってくる局面で大きく全体の資産価値を伸ばしてくれます。
ですから、株価が下がった時でも我慢してコツコツ定額を買い続けて、10年、20年と継続すれば、大きな資産形成につながるという理論になります。
ただ、私は皆さんに、資産形成をしてくださいとお願いしているわけではありません。
いえ、資産形成も大事ですからぜひやっていただきたいのですが、今日皆さんにお伝えしたいのは「努力のつみたて」ということです。
例えば、昨日よりも今日、自分が0.1%成長しようとして何かを頑張ることにします。
0.1%は1000分の1ですから、例えば英単語を何十個か覚えたり、スポーツを頑張ったり、本を読んで新しいことを考えたりすれば、そんなに難しいことじゃないように思えます。
でも、毎日0.1%ずつ成長すれば、1年間で1.001の365乗で1.4倍以上になります(正確には1.44倍以上)。
2年間続ければ1.4の2乗で2倍以上。
4年間で4倍、6年間で8倍、8年間で16倍、10年間で32倍以上になります(正確には38.4倍以上)。
今の皆さんが30歳になった時に、自分の能力が32倍になっていれば、どんな夢でも達成できそうな気がするのではないでしょうか。
努力も「ドル・コスト平均法」と同じで、毎日コツコツ積みたてることが大事なのだと思います。しかも苦しい時に頑張ったことが、調子が良くなってきた時に大きく伸びる原動力になります。
例えば、部活の冬練習で頑張ったら、春からの大会でこれまで以上にいい成績が残せるかもしれません。
また、みなさんはこれまで新型コロナなどの厳しい制約の中で、夢に向かってコツコツ頑張ってきたことでしょう。その努力は、まさにこれから大きく花開きます。
ぜひとも、今日1日で0.1%、何か成長しようと思って10年間過ごしてみてください。
3.失敗のすすめ
3つ目は、失敗を恐れずにチャレンジしてください、ということです。
今の時代は、変化の早い時代、先の見えない時代、不確実性の高い時代と言われています。
世界でも戦争など、様々なこれまでにない動きが出てきています。
先が読めない時代、つまり正解が分からない時代、何をすれば正解に辿り着けるかが明確ではない時代です。
こういう時代に少しずつ着実に正解に近づいていくためには、失敗を恐れずに挑戦することが大事です。
色々チャレンジして、失敗をして、その経験をもとに軌道修正していくこと、これを「ピボット」と言います。
この「チャレンジ、失敗、ピボット」を繰り返していくことで、正解に着実に近づいていくことができます。
去年、AI(人工知能)が世界的に大きな話題になりました。
AIはどうやって学習するかというと、たくさんの膨大なデータを読み込むんです。
何十万、何百万、何千万、何億というデータです。
でもそのデータは、正しいデータだけではダメなんです。
正しいデータと間違ったデータの両方をたくさん読み込むことで、どれが正しいものなのかを判別できるようになるのです。
ですので、たくさんのデータを読み込むことも大事ですが、間違ったデータ、失敗したデータを読み込ませることこそ、AIの学習のためには大変重要なんです。
今は少子化の時代です。
私たちや私たちの親の世代は、団塊の世代や団塊ジュニアなどと呼ばれ、何をやるにも多くの同年代の仲間との競争でした。
そうした中で、失敗すると取り残されるような、生き残りゲームのような雰囲気も多少あったかもしれません。
でも少子化の時代には、一人一人の個性が輝くことが大事です。
少しぐらい失敗しても、みなさんが自分らしく挑戦することを、政府も、社会も、全力でサポートします。
安心して、夢に向かって挑戦してください。
4.結びに
結びになりますが、本日ご来場の皆さまと、ご両親や先生方、地域の皆様を含めた皆様のご健康とご多幸をお祈りし、また皆さまの今後の人生が素晴らしいものになることを祈念し、そしてそのことこそがこの八戸市の発展の大きな力になり、日本の発展の大きな力になることを皆さんと共有させて頂き、私からの二十歳になった皆さんと、私の娘に対するお祝いの言葉とさせていただきます。
本日は、本当におめでとうございます。