短距離選手のジョギングは必要か? 〜接地時間は長くなってしまうのか?〜

いつもながらお久しぶりです。
なかなか更新できずにいますが、マイペースにやっているブログなので
お付き合いください。

さて、先日先日Xを見ていたら、
こんな趣旨のポストがありました。

「短距離選手にはウォーミングアップでのジョギングはいらない。
流しもいらない。接地時間が長くなってしまう。」

色々な返信を見ていて思うところがあったので、
今回のテーマにしました。


始めに私の現役時代を思い起こしてみようと思うのですが、
私はジョギングっぽいようなスプリントっぽいような、
そんな絶妙な走りをしながら合間に動的ストレッチを入れるという方法で
ウォーミングアップをしていました。
皆さんが思い描くような「ザ・ジョギング」はしていません。
しかし、ジョギングに毛が生えた程度のスピードで
脚はお尻に引きつけ、走っているのと極めて近いフォームで
競技場トラックの200m区間の外周を行ったり来たりしていました。
稀なタイプだと思います。私以外見たことがありません。
ウォーミングアップは短い方がいい、というコーチの言葉を受けて
自分で考えてたどり着いた結果がこれになりました。
あと、ちょうどこの時代のサッカー日本代表監督がオシムさんで、
オシムさんも「虎が獲物を狩るのにウォーミングアップするのか!」と
当時の選手たちを鼓舞して、いきなり本練習を始めていたそうで、
それに若干感化されていたところもあります。

では、この論争の結果として、
ウォーミングアップにジョギングはいらないのか、と言われれば、
私の答えは「目的意識による」です。
無目的な、ただなんとなくやっているジョギングはいらないと思います。
しかし、目的があれば、というか、効果的に取り入れれば
とても有意義な「ドリル」になると思います。


ここからは、「接地時間」を紐解きながら
ジョギングを考えてみようと思います。

接地時間が長くなるメカニズムは、
以前「跳躍の秘密②」として記事にした踏切のメカニズムに
似たことを書きました。

この中で、リードレッグが遅れると勢いがなくなる、と書きました。
スプリントも同じ事が言えます。
足を接地した時に、反対の脚がまだ後ろにあれば、
その分だけ次の脚を出すのが遅れます。
それがイコール接地時間の長さです。
なので、最低限、脚を接地した瞬間には、
反対脚の膝が接地した脚よりも前にあるべきです。
この辺は跳躍種目の踏切と変わりません。

そこで、ジョギングを行うときに、この脚の入れ替え
(私は「切返し」と言っていましたが伝わるでしょうか?)を
意識しながらジョギングをするだけでも、立派なドリルになると思います。
スピードが速い時には技術的なことは意識しにくい、という話は
このブログで何度もお伝えしていることです。
ジョギングの段階で切返しを意識して走ってみると
きっと走る意識が変わるはずです。

次に本題の接地時間について。

このニュアンスをお伝えするのは難しいのですが、
私が考える接地時間は「短くする努力をする」のではなく、
「正しい接地を行なった結果、短くなる」だと思っています。
似たような言葉ですが意味は違います。

まず、ジョギングを行なった結果、
スプリントの接地時間が短くなるというのは間違いだと思います。
スプリントは、地面からの反発力を推進力に変えて前に進んでいます。
大きな反発力を得るためには、大きな力を地面に加えないといけません。
そして正しく反発力を受け止める姿勢、脚の運び方が必要です。
スピードを上げればその分地面に伝わる力は勝手に増大し、
ジョギングではスピードが抑えられるので
地面にはあまり力が加えられません。
つまり正しい姿勢、正しい脚の運びをしている分には
ジョギングで接地時間が長くなり、
スプリントで接地時間が短くなるのは当たり前の話ですよね?
なので、接地時間を短くしたいのなら
やるべきはスプリントフォームの改善であり、
ジョギングをやらないという選択はあまり意味がない気がしています。
つまりどっちでも構わない、ということです。

また、地面の反発力を得たいのなら、
闇雲に接地時間を短くしようという試みはお勧めしません。
接地時間のことは頭の片隅程度で十分です。
特にアップシューズで走っている時には、
姿勢を前にも曲げず後ろにも反らさず、
身体の真下で足を接地し、切り返しが上手になれば
勝手に地面が正しい方向に身体を導いてくれます。
接地時間も勝手に短くなるでしょう。
あとはより大きいストライド、より速いピッチで進めるように
フォームを少しずつ改善するだけです。
接地時間を短くする意識を持ちすぎると
努力の割には前に進んでいないような
そんな走りになるのではないかと思います。
アップシューズからスパイクに履き替えた時に、
力が制御できずにバネバネしいけど力が上に逃げてしまって進まない、
そんな現象は上記のことで防げると思います。

よって、ジョギングを行うと、足の裏で地面を踏み締める感覚を
十分に感じながら走れると思います。
そしてこの感覚が大事な理由がもう一つあって、それは、
どんな感覚が「長い接地時間」で、どんな感覚が「短い接地時間」かを
自分で確かめないと、最適な接地時間は見つけられないと思います。

ただし。
前にも書きましたが、ジョギングに目的意識を持っている人は
この効果にあやかれると思います。
ダラダラ走っていて、何も生み出さないジョギングは
さっさと捨てるべきです。
きっとXでジョギングいらない、と言っていた人は
こういうのを想像していたんでしょうね。


だんだんまとまりがなくなってしまいました。
ジョギングによってスプリントの接地時間が長くなってしまうことは
ありません。
あるとすれば、ジョギングの方法が間違っていて、
無目的に変な姿勢で続けてしまった結果、
スプリントフォームにも影響が出てしまうことでしょうか。
それも少数だと思います。
もっと言えば、接地時間に気を取られていると
地面の反発を得ることに意識が向かなくなり、
肝心の推進力が失われてしまう危険があるため、
正しいフォームを身につけることに専念した方が
結果的には記録の向上につながる。
そのドリルの一つとしてジョギングを行うのであれば、
それは有効なトレーニングになる。
という事が言いたかったのですが、
これまで書いた文章でうまく伝わったかどうか・・・。

拙い文章ですみませんでした。
今回は難しい課題だったので、
考えをまとめるのも難しかったです。

それではまた。

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