PFIとBTコンセッション
豊橋市は、新アリーナをPFIのBTコンセッションという方式でやろうとしています。
コンセッションとは「公共施設等運営権」のことで、公共の施設をかなり自由にかつ排他的に運営する権利のことです。
BTコンセッション事業は
①設計・建設費
②維持管理・運営費
③利用料金収入
④運営権対価
の4つで構成されます。
④がコンセッションの価格、つまり事業者が豊橋市から、かなり有利な権利を取得するために支払う金額です。
①設計・建設費
②維持管理・運営費
③利用料金収入
④運営権対価
この4項目の関係は
④ = ③ − ②
入札金額が
① ー ④
となります。
現在パブリックコメントを募集している、「多目的屋内施設基本計画案」では
② が2億2600万円
③ が1億6700万円でした。
④の運営権価格は ③ ー ② つまり
1億6700万円 - 2億2600万円 = -5900万円
豊橋市の新アリーナの「運営権対価」はマイナス5900万円にな、値段が付けられません。
これはどう考えたらよいのでしょうか?
これはつまり、豊橋市は運営権を事業者に買ってもらうのではなく、毎年5900万円、30年事業なので合計17億7000万円税金から支払って、運営権を民間事業者に差し上げることになりませんか。
これでは、なんのためにコンセッション方式で新アリーナ事業を行うのかわかりません。
コンセッション(公共施設等運営権)方式とは、大まかに言えば、公共の持っている「施設の運営権」を、民間事業者に買ってもらうことで、公共の負担を大幅に減額しようというものです。
この方式では、このメリット(運営権対価)を得るために、コンセッションという強力な権利を民間事業者に渡してしまいます。
ここにコンセッション方式の最大のリスクがあります。
豊橋公園の真ん中の、2万平方メートルの土地に150億円の施設を税金で建設するのに、運営権価格に値が付かない。
それどころか税金で補填して民間事業者にくれてやるなんて事業が成立しますか?
中間報告を見る限り、豊橋公園の新アリーナ計画は、豊橋市にとって明らかにメリットよりもリスクが大きい、大変危険な計画と言えます。
この基本計画案中間報告を作っている「株式会社日本総合研究所」は、2年前に豊橋市に提出した「基本計画策定に向けた基礎調査」で、豊橋市の新アリーナは市民利用が中心で収益性が低いので、コンセッション方式は検討の可能性が低いと書いています。
つまり、コンセッションに値が付かないので実現しないと考えていたのです。
ところがこの2年間の間に、誰かがコンセッション方式の根幹となる部分を、捻じ曲げて、値が付かなければ税金で補填しても良いなどと言い出しました。
豊橋市がこのまま進めたら、全国初の間抜けな自治体の汚名を着せられることになります。
さて、このように杜撰で危険な計画を強引に進めようとした結果、この多目的屋内施設基本計画(案)中間報告には多くの問題点が解決されないまま残されています。
「情報が独り歩きして誤解される」などと陳腐な表現を使っている新聞を見ましたが、情報は誰かが発信しなければ「一人歩き」することはできません。
豊橋市は、パブリックコメントを開始する際にも、市が定めた要綱を守らず、広報とよはしなどに事前に告知もせず、その上これだけの内容の基本計画の「説明会」すら行わず、資料を含めると140ページほどの膨大な資料の「概要版」すら市民に示さず、できるだけ情報を市民に示さずに進めようとしています。
豊橋市民の皆さんが、この計画を正しく理解するためにも、これまでの研究に基づいたできるだけ正確な情報を提供していきます。