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Steamでのゲーム販売、めっちゃ時間かかる(略)〜体験版編〜

Steamworks(Steamの開発者向けサービス)の手続きがずっと難しい。
10月のSteamNextフェスが近付いてきた今回は、体験版のアップロード〜公開にかけての備忘録です。
ややこしいフェーズに入ってきたので各項目がちょっと長めです。
※2024年9月時点の情報です。


なお、体験版は製品版のストアページが公開されてから準備できるようになります。
ストア公開がまだの方はこちら↓をどうぞ。

Q. 体験版データをアップロードするだけだよね?

A. 体験版アプリを設定するなど、アップロード前にも準備が必要です!諸々の審査もあるよ!
油断してると案外やることが多くて泣きを見ます(見ました)。早めに動きましょう!
詳しい手順はindiegamesjapan様↓をご覧くださいませ。いつもありがとうございます!

ただ…今年の7月末、体験版の仕様に変更が入りまして。手順に従い、
関連する全てのパッケージ、DLC、体験版、ツール
▶︎ 体験版を追加 を選択すると、こんなポップアップが出てきます。

更新されたSteam公式のドキュメント↓もどうぞ。

以前:体験版のストアページは存在しない(あくまで製品版の一部)
現在:体験版のストアページを作れる(オプション)
オプションです。作らない選択肢も取れます。
作っても作らなくてもSteam上の露出は変わらない、とSteamのお知らせでも説明されています。
とはいえ、初めて体験版を公開するときはどっちがいいん??となると思いますので、詳しくは次項で。


Q. 体験版のストアページって何?

上で触れた通り、これまで体験版は製品版のストアページに組み込まれていました。

一例としてDELTARUNEさん。
製品版ストアの一番上に緑のバーが表示され、ここから体験版がダウンロードできます。

DELTARUNEの場合、現在Chapter1と2が体験版として無料プレイできるようですが、
この情報は製品版ストアや体験版用バナーにしか載ってませんでした。(右の説明欄にチラッと映ってますね)
SNSやメディアを介さず、Steamで直接このページに辿り着いた人は、その情報を見つけづらい…かもしれません。
また、製品版リリース前はレビューをつけることができないので、体験版を遊んだ人たちの感想をここで知ることができません。

体験版専用のストアページが作れるようになったことで、体験版の詳しい説明を表示したり、レビューを書いてもらったりできます。
これはこれで便利に思えるのですが、専用のストアページを作るためには準備が必要です。製品版のストアページを作るときと一緒ですね。
具体的には、以下の項目のうち太字部分を追加で設定しないといけません。

  • 基本情報

  • 説明

  • 成人向けコンテンツ設定

  • 予定リリース日

  • システム要件

  • コントローラサポートの説明

  • 5枚以上のスクリーンショット

  • カプセル画像

  • ライブラリアセット

  • サポート情報

  • 開発元とパブリッシャーの名称

  • ストアページの説明タグ

  • コミュニティアイコン

  • クライアントアイコン

  • 予告編(PV)

かつ、これらに対する審査が入ります。公式ドキュメントにも以下のように記載されていますが、これ、体験版本体を用意しながらストアも用意するの、めっちゃ大変じゃない…??

「ストアプレゼンス」にはリリースチェックリストがあります。体験版用に別のストアページを作成することを選択した場合は、チェックする項目が増えます。 別のストアページを作成しない場合、このストアチェックリストは製品版のゲームよりもはるかに短くなり、通常必要となるのは、いくつかのアセットと、体験版と製品版の違いの簡単な説明のみです。

体験版が製品版の一部ではなく全然違う内容になるとか、体験版公開から製品版リリースまでにすごく時間がかかる予定だとか、体験版と製品版で対応言語が異なるとか…
そういうケースであれば、体験版用のストアページを作成するのもいいのかな…?私は今のところ「スケジュール的に無理!」派です。
実際に体験版ページ作られてるゲームもまだ見たことないので、次回Nextフェスで要チェック。

追記:体験版ストア、体験版公開後でもいつでも作れるみたいですね!
余裕がなくて今は無理なんだけど本当は必要で…というときも、後から対応できそうです。


Q. どうやってデータをアップロードするの?

A. Windows版で2GB以内なら、ブラウザからzipでアップできます。一番簡単。
2GB以上でも公式ツール(Steamworks SDK)をダウンロードすれば、「SteamPipeGUI」というアップロード用アプリが使えるので、そんなに難しくないです。

Mac版は…とても…難しいです…。
Mac用のzipはどんなアップ方法を試してもファイルが壊れて、Steam上で開くことができませんでした…。
SteamにMacユーザーが少ないこともあり(何ならSteam公式があまりMacをサポートしてない)、
Macも一応持ってるけどターミナルコマンドとかよくわからんよって方は、無理に対応しなくてもいいかなーと思います。

ゲームデータのアップロード、もといビルドの手順は、indiegamesjapan様のこちら↓第3回「最低でも1つのデポを設定」辺りからを参考に進めてみてください。


Q. 「デポ」や「ビルド」がよくわからんのだけど…

デポとは、ファイル群の論理的な集合体で、単一のグループとしてユーザーに配信されます。
ビルドとは、コンテンツがSteamにアップロードされた生成結果で、1つ以上のデポを含み、その時点でのデポのコンテンツをまとめて表したものです。

Steamworks公式ドキュメント

A. えっと…。

何にせよ、デポという枠組みにゲームデータをアップロードすると、Steamに自動でビルドが出来上がります。
出来たビルドを、defaultブランチの「ライブに設定」して初めて、そのデータを持ったゲームが遊べるようになるのです。
(ブランチは初期設定だとdefaultしかないです。これがSteamユーザーの遊べる本番環境)

WindowsとMacでは遊べるファイルの形が異なるため、両OSに対応している場合、デポという枠は別々のものを作らないといけません。
その際、ビルドも2つのデポを保持するように設定します…といっても、デポそれぞれのビルドを「ライブに設定」するだけでOK。
正しいデータをアップできたらビルドを設定する、というのがわかれば!いいんじゃないでしょうか!!


Q. アップしたデータを修正したいんだけど…

A. アップし直してビルドを再設定すればOK!
Steam、例によって一度審査に通過すると、ストアやゲームの内容変更は開発者に委ねられます。以後、ノー審査なのです。
すでに体験版を公開している場合は、リアルタイムでユーザーの環境に反映されてしまうのでご注意を。
ゲームを起動している人が少ない時間帯を狙うのがいいと思われます。

すぐ修正きくのはSteamのいいところでもあるんですが…
即反映はわりと怖いので、betaブランチでテストプレイするこちらの方法もご紹介します。

ちなみに、うっかり「〜.exe」のファイル名やパスを変えてしまうと、
起動オプションの設定と相違してしまってゲームが立ち上がらなくなるので、これも要注意ポイントですね。


Q. SteamNextフェスに参加登録したけど、何を準備したらいい?

A. 開催時間までに体験版の審査を通過&公開する必要があります。
「までに」なので、公開は前日でも一週間前でもOK。
1〜3日前に公開されてるゲームが多い気がしますね。
直近だと10月にSteamNextフェス開催が迫っているので、参加される方は余裕を持って9月中に審査に提出されるのがよいかと。
審査、私のときは一度で通過できましたが、それでも1週間かかったのでソワソワしました…!

ちなみにドキュメントは太平洋時間のPT表記なので、日本時間だと10月15日(火)のAM3:00からNextフェス開始です。
(PTのAM10:00=日本の翌日AM3:00、PM11:59=翌日PM4:59だけでも覚えておくと便利)

通過&公開さえしていれば、ほかに特別な操作は必要ありません。開催時間になったら特集ページに掲載されています。
あとはNextフェス用のデザインテンプレートが公式で配布されるので、SNS告知などで活用させてもらいましょう!


Q. Steam以外で体験版を無償配布できるサイトってある?

A. データが1GB以内ならBOOTHとItchがあります。
DLsiteは容量制限大きいんですが、価格設定を無料にできなかったので、あくまで販売用サイトなんですね。
需要あるかわかりませんが、以下それぞれの詳細です。

BOOTH:1ファイルにつき1GB上限。有償設定も可能。
なので、たとえばゲームデータが1.6GBあったら、800MBの分割zipを2つアップロードすることは可能です。
ただ、分割zipの解凍方法はわからない方が多いような気がしています。私はそもそも人に教えてもらうまで存在を知りませんでした…。
配布する場合は解凍方法(2つともDLして7-zipで解凍してね〜)も記載してあげると親切だと思います。

BOOTHは売り物の倉庫というか、ゲームの公式サイトやSNSからの誘導ありきで、何もせず人目に触れる仕組みにはなっていないので、
そんなにゲームしないしSteamアカは持ってないけどBOOTHなら使ってるよ、という国内ユーザー向けの対応になると思います。
ゲーム実況用の素材を配布したい方がついでに、とか、ADV・ノベルゲーの制作者さんであれば検討してもいいのかも。

Itch.io:1ゲームにつき1GB上限。有償設定も可能。
ただし、1GB以上になる場合はサポートに問い合わせて容量を解放してもらうという道が開かれています。
その場合「何が重いの?軽くできないか色々試した?」と聞かれるようなので、どう頑張っても1GBを切れないときにだけお願いしましょう。
Itch、日本語パッチを入れつつ私はまだ全然使いこなせてないのですが、コミュニケーションツールが充実してそう?
海外のインディー開発者やファンと交流したいときにはアリなのかなと思っています。


体験版公開、開発畑出身ではない自分にはだいぶハードルが高くて大変でした…一番きつかったまであります。
ただ、製品版でも同じ作業が当然必要になるので、無料で提供できる体験版で先に手順を覚えておけるのはよかったです。

もしSteam公式に問い合わせてもわからないことが出てきてどうしようもなくなった場合は、
ここにコメントいただけたら…答えられることがあるかも…ないかも…Steamworks上で完結することならわかるかも…です。

皆さんのゲーム開発を心より応援しております。それではまた!

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