【SEA】Jarred Kelenicの成長痛はいつまで続くのか ~MLB昇格編
初めに
今季昇格したJulio Rodríguez。
彼はMLB1年目ながらオールスター出場、新人王最有力候補、更にはマリナーズを21年ぶりのプレーオフへ導くなどトッププロスペクト"マリナーズのミライ"の中でも1番の輝きを見せた。
そうした活躍をふまえ、マリナーズは彼に最大17年/470MMの契約延長をしたのである。まさに今後のフランチャイズの顔であり、マリナーズの眩い光となったのである。
…ただ、そこに光があれば影もまたある。
1年前はJulioよりも高い評価を受け、期待されていたマリナーズのミライJarred Kelenic。
彼のMLB生活は挫折の連続であった。
これはそんな彼のこれまでをマイナーからMLBまで振り返っていくnoteである。
全ての期待を背負った有望株
開幕前のKelenicの期待度はどれ程であったか。これは言うまでもなく、とてつもないものであった。
さかのぼること2018年、このオフにマリナーズは再建へと舵を切る。理由としては主力の高齢化とそれによって生まれたペイロールの圧迫、加えて30球団中最下位のファームシステムという八方塞がりな状態である。
そこでDipotoGMは大型トレードを敢行した。
内容としては
である。
OPS.845と活躍したものの、35歳で残り5年/150MMの契約が残っているCanóに前年ERA1.96 57セーブをあげたDíazを付けることで18年ドラ1Kelenic、16年ドラ1Dunnを獲得。
CanóというシアトルをFAで選んでくれた主砲が残した置き土産として、幾度となく失敗に終わったプロスペクトの流れを断ち切るため、そして何度目か分からない再建期を終わらせるためと、その期待は当時19歳のKelenicには荷が重すぎるほどのものだと考えられていた。
マイナー無双
大きすぎる期待を背負ったKelenicはマイナーでどうなったのか。
結論から言うと向かうところ敵なしの状態だった。
2019年Aからスタートし、A+、AAと1年で3層を昇格し、打低AAアーカンソーでOPS.857を残した。これはマリナーズファンの大きすぎる期待を更に超える成績であり、ファンの心をがっちりと掴んで離さなかった。
まさに長きにわたるプレーオフ連続不出場記録を止める存在となる、皆が思い描く"マリナーズのミライ"の理想形なのである。2020年はコロナによるマイナーリーグ中止によりKelenicの出場機会は無かったが、その評価は変わることはなかった。
彼の評価は20-80スケールですべて高得点をマークし、55を割った項目は無かったのである。コンタクトまでスムーズな打撃力、全盛期はCFに残れるであろう守備力、20-20達成が見込める走力と文句のつけようがない。
まさに走攻守揃った5ツールプレイヤーであり、Prospects Liveの総評として、インパクトプレイヤーかつオールスター常連になれるは彼の期待値をよく表している。そしてこの時点でAAで結果を出しているため完成度も高く、MLBで躓くリスクは低いと考えられていた。
球団とのトラブル
超大型新人Kelenicはついに2021年デビュー目前となる。開幕前プロスペクトランキングでは球界全体4位、マリナーズ傘下1位となりいよいよ彼の活躍をMLBで見ることができる…前にトラブルが起こった。
まあ、約一名の愚か者が原因なのだがその愚か者がなんとびっくり球団社長だったのである。
すべての元凶Mather元球団社長が2/5になんと公の場で爆弾発言を連発したのである。このスピーチと質疑応答は言葉では表せないほどグロいのものであったが今回はKelenicの記事なのでスピーチから彼に関わる部分だけを引用する。
要約すると、球団側は昇格前契約延長としてかなりの額の6年契約+1-3年のオプションをKelenic側に提示したが断られた。その後同じくトッププロスペクトのLogan Gilbertのサービスタイムマニピュレーションをすると宣言していることからKelenicも契約延長の破棄によって開幕戦の昇格はないであろう。
といった内容である。このドクズっぷりには本当に呆れる以外の言葉が出てこないが、とにかくKelenicは昇格前契約延長を断りスーパースターになるという自身の可能性を信じたのである。
まあ、この後にこの発言も含めて大問題になって、Mather球団社長の首が飛んだのは至極当たり前な話ではあるが。
いざMLBの舞台へ
球団とのトラブルの後程なくしてスプリングトレーニングが始まった。Mather元球団社長の発言でKelenicを含めたプロスペクト、選手、何よりファンの信頼を失いかけたマリナーズフロントは信頼回復のためにスプリングトレーニングの結果次第ではKelenicの開幕戦昇格も視野に入れていただろう。
ただ左膝を怪我してしまったKelenicは
スタッツを
20打数 打率.300 OPS 1.140 2HR
と驚異的なものにしたが、いかんせん打数が少なくAAAで開幕を迎えることになった。
5/11からの6試合をFrance、Muñoz、Brashなど今季主力として活躍した選手をトレードで与えてくださったあのパドレス様の傘下AAAエルパソ・チワワズを相手に
打率.370 OPS1.043 2HR
と圧倒的な力を見せつけ、そして現地5/13、この当時何故か来季からコンテンドするはずが
MLB最下位のチームOPS.639
MLB24位のチームwRC+80
と恐るべき打低ぶりを見せるシアトル野球同好会に合流することとなった。
↑Kelenic昇格前日のラインナップ。
対戦チームがNLのLADであったため、投手が打線に入っているがそれにしても酷い。
OPSが8を超えている選手は怪我から復帰した直後のシーズンであるHanigerのみで、5番以下もれなく全員OPSは6を割っている。
ちなみに試合は1-7のボロ負けだった。
以下蛇足
マリナーズで昇格前契約延長に関わった選手の覚え方として、昇格前契約延長を断ってコケたのがKelenic、昇格前契約延長をしてコケたのがEvan Whiteである。
ちなみにWhiteの契約は6年/24MM+26~28年クラブオプションであるが度重なる怪我で21年5/13以降MLBでプレーをしていない。
来季活躍してくれ…頼むよ…
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?