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お金と戦い

数日前、更衣室から出てきた先輩のコートに目が留まった。
キレイなベージュだったので“ 良い色ですね ”と言うと年始のセールで買ったことと、そのお金は旦那さんのヘソクリからだと補足情報付きで教えられた。
年末、旦那さんが挙動不審だったので、カマをかけたら趣味のバイクの部品をボーナスで買ったこと、その話の流れからヘソクリの存在も自白したそうだ。
旦那さんは今月の小遣い減額、ヘソクリ没収と、やったことに対してペナルティがオーバーキルな気がしてならない。

ヘソクリを巡る攻防戦は子供の頃、叔母夫婦の戦いを見ていたので、どんなものか知っていた。夫婦って怖いな。と子供心に思った。

叔父は幾度となくヘソクリをしてはその都度、叔母に見破られていた。数年おきにしか会ってないので正確な攻防数は分からないが5回あったのは知っている。
叔父は、ヘソクリ用の口座を作ってたが通帳を発見されバレる&没収が多々あった。その反省から現金を隠す方向へシフトしたが叔母は見破った。

叔父が隠していたのはガレージ。車だけでなく趣味の釣り具も置いていて手入れもするのでガレージは叔父のテリトリー。
叔母は叔父の前科からガレージを疑い、留守中にガサ入れしたが発見できなかった。が、ガレージを掃除する叔父の行動で隠し場所に気付いた。

ガレージの床はコンクリートだったので直接座ると冷たい。
そのため座って釣り具を手入れするため一部分だけスノコを敷いていた。
車が出入りするので埃っぽいガレージを月一で水を流して掃除する時、いつもはスノコにも水をかけて、後で外に出して立てかけて乾かしていたのに最初にスノコを壁際にどかしてから水を流しスノコに水をかけなくなった。

叔母はその変化に気付き、翌日、叔父が出勤後、スノコをひっくり返すと四つ折りしラップでくるまれた一万円札がマスキングテープでスノコの裏面に数十枚貼り付けられてるのを発見した。
叔父は悪質な税金滞納者みたいな隠し方をしていた。
思い付いた叔父も叔父だが掃除の時の些細な変化に気付いた叔母も叔母だ。

今もどこかの夫婦の間で、ヘソクリの攻防戦が起きているかもしれないが奥さんの“ 女の勘 ”を突破するのは容易なことではない。
一見、遠回りに感じるかもしれないが世の旦那さんは交渉術を学び“ 合法的 ”に小遣いを上げてもらう方が自由に使えるお金を増やす近道だと思う。

ジュースが飲みたいです('ω')ノ