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鵲 かささぎ

北海道
晴れた冬の日はとても眩しい。
太陽が低く視界に入ってくるし
何より真っ白な雪の照り返しがものすごい。
地元・旭川は雪の日が多く
冬の空はどんより白いことが多かった。
だから余計に眩しく感じた。
ぎゅっ、ぎゅっと踏みしめながら
薄目を開けて歩いた通学路。

千葉に仕事の関係で住んだ。
雪は降ったら事件。
ぐちょぐちょのあれを雪景色とは呼ばない。

北海道の雪景色を撮した写真を見ても
心が動かないのが不思議だった。
綺麗だね、とは思うのだが。
自分とは関係のないもの、物語のないもの
何かが一致しなかった。

モネの本を見た。
パラパラとめくっていたのだが、あるページでハッと手が止まった。
「鵲」という作品
雪景色の中、木製のハシゴに鳥がとまっているだけの、色も情報量も少ない絵なのだが。

あまりに眩しいと、木の枝が途切れて見える。
それが描かれているのだ!
くっきりはっきり写る写真では有り得ない
心の中にしかない映像
それを見せられて私は本屋で泣いてしまった。

「北海道に帰ろう」

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