![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156644995/rectangle_large_type_2_af2622d780a2ffa05de408a34dc66d00.jpg?width=1200)
インプットまとめ[2024年9月]
なんだかあっという間の一ヶ月だった。
最近小説を書きたい、というよりは書かなくては、という焦燥感に駆られていて、しかし実際には全然書けないという状況にある。個人的な信念として、「良いアウトプットは良いインプットから」というものを掲げているので、しばらくは精力的にインプットをしようと決めたはいいが、なかなか思い通りにいかない、
しかしそんななかでも朗報がある。9月の初めについに念願のプロジェクターを手に入れることができたのだ! プロジェクターがあると、びっくりするぐらい映像系のサブスクへのハードルが下がり、最近はドラマを観てばかりいる。インプットの面白いところは、ひとつ勢いづくと雪崩のように他のインプットも捗りだしたりするところだ。そうは言っても最近読書量が減っているのは嘆かわしいので、10月はそっちも増えたらいいなあ、なんて思っている。
そんな9月のインプットまとめです。
映画
「キングスマン:ファースト・エージェント」
英国好きの姉から「美甘はぜったいに好きだと思う」と勧められて観てみたら、どんぴしゃで好みだった。身近なひとのおすすめほど信頼に足るものはない。
特に、踊りながら戦うラスプーチンのシーンは、ずっと前にFoxのTwitterに載っていたのを観て以来すごく気になっていて、ここが一番の盛り上がりだろうと思っていたらから、意外に序盤で出てきてびっくりした。というか、「このあとにこれ以上の盛り上がりがあるのか?」と心配になってしまった。でもちゃんとそれ以上に盛り上がるシーンがたくさんあったので安心、そして感嘆。
ラスプーチン以外でぐっときたのが、ふたつある。
ひとつめは、コンラッドがスコットランド兵に扮して戦場に行き、変装がばれてしまったところ。2月にスコットランドに滞在して以来空前のスコットランドブームが湧き上がっている我が家なので、コンラッドが変装をごまかすために発した言葉が「Aye」だったことに大興奮してしまった。瞬間最大風速的には、「毒戦believer」での「형」くらい盛り上がった。
ふたつめは、最後の戦いのシーン。オックスフォード公が飛行機から飛び降りてから、最後の決着まで興奮しっぱなしだった。特に序盤で角を切られたヤギが敵の親玉に襲い掛かったところが最高に盛り上がった。やはり角の恨みは深いですよ。ちゃんとエンドロールのところで「動物は傷つけられていません」と書いてあって安心した。ちゃんと人間にも言及しておくと、一騎打ちのシーンのカメラワークがすごくよかった。
ちなみに今作での推しはショーラです。
「となりのトトロ」
風邪を引いた夫が見たいと言ったので観た。
最初にお母さんのお見舞いに三人で行くシーンでもうちょっと泣きそうだった。ずっと子どものままでいたかったのに、気がついたらもうトトロにおいてはお父さんお母さんと同世代になってしまっていて、どちらかというと親目線で観てしまうようになっている。こんなに小さな子どもを残して入院するなんて、とても辛いだろう。
「キングスマン」
なにも前情報なしに観たのだけれど、最高にぶっ飛んだ映画だった。いまあるシリーズ3作品の中だと、これが一番好き。
ヴァレンタインが言っていた「パーティ」というのが、世界の終わりの比喩表現だと思っていたら、ほんとうに世界を破滅させる裏でパーティを開催しようとしていたのがもう、最高に好き。ミラーボールがぐるぐる回りながらの最終決戦なんて誰が考えたんだろう。天才だと思う。ミラーボール映画リストを作るとしたら、もう一番最初に位置付けたい。セレブ達の頭が次々吹っ飛ぶシーンは、最高に過激ながらも、ちゃんと必要以上にグロくならないように配慮されていて、それも良かった。アクションは好きだけどグロはダメな人間に最高に向いている。
しかし実は「パーティ」以上にぐっときてしまったのが、ハリーが教会で周囲の人間を皆殺しにするシーンだった。ハリーはとても強いけど、度々ピンチに陥るし、人間味もあって、最高に推せると思う。みんなが最も信頼しているハリーが、単身敵地に乗り込んで、敵の術中に嵌まってしまい、我を失って一般人を皆殺しにするなんて、もうそれだけでスタンディングオベーションだ。しかも、そのハリーの闘う姿が最高にかっこいい。世界の平和を守るエージェントとしては絶対にやってはいけないことをしているという背徳感もあって、ぞくぞくする。
結論としては、脚本家が天才。そしてわたしの推しはやっぱりマーリンです。
「キングスマン:ゴールデン・サークル」
シリーズのファンこそ、何も知らずに観た方がいい。ポスターすら見ない方がいい。
というわけでネタバレをするけれど、まさかハリーが復活すると思っていなかったのでとても嬉しかった。まさか冒頭の「ミスターピックルもそう思ってるよ」が伏線になるとは思っていなかった。記憶を失っているときのハリーと、自分を取り戻したハリーで、表情ががらっと変わるのがすごい。そして記憶を取り戻してもなお、本調子が出なくてちょっと落ち込んでいるのがかわいい。
そしてマーリン! ああマーリン!! お酒を飲んで泣き上戸になっているのも意外性があって推せるし、泣きながらスコットランドに献杯しようとするのも、推せる。ハリーに記憶を取り戻させるためとはいえ、あまりひどいことはできないところもいい。ああマーリン……あまりに惜しいひとを亡くした。でも、遺体が映っていなかったということは、まだハリーのように復活する可能性はあると思う。そういう意味で言えば、ロキシーも復活してほしいけど。
男性同士の関係性というものにあまり着目しないで観ていたので、最後の結婚式のシーンでようやく、なるほどエグジーにとってはハリーは父親代わりだったんだと気づいた。気付くのが遅いですね。
ジュリアン・ムーアがサイコパスの役で出てくるのも良かった。相変わらずちゃんとグロには配慮されているし。麻薬によりウイルスに感染したひとたちの「Mania」の状態が、いやもう正しく躁状態すぎて、笑っちゃった。躁状態への解像度が高い。
キングスマンシリーズは、暴力的すぎるとの批判があるらしいけれど、わたしに言わせれば、この映画におけるアクションは、どちらかというと殺陣に近い。つまり戦う相手と呼吸を合わせて、舞を舞うようなものなのだ。だからわたしはこの映画シリーズにおけるアクションが好きなのだと思う。そして一作目も二作目も、大勢無くなってはいるものの、基本的に死ぬのは悪に加担した人間ばかりで、凄惨さという意味ではかなり配慮されていると思う。
ドラマ
「恋せぬふたり」第5話~第8話
親友を恋愛的な意味で好きになってしまうのって、とてもしんどいだろうなと思った。そんなかたちで親友を失ってしまうことは、どちらにとってもしんどい。いつか気持ちの整理がついて、ふたりが親友に戻れることは、果たしてベストだろうか。
大好きな菊池亜希子さんがとても素敵なひとの役で出てきて嬉しかった。菊池亜希子さんは、観たいなと思っていたドラマに出ていがち。高橋さんがはるかさんに抱いていた感情は、たしかに愛だったんじゃないかと思う。触れられなくても、性欲を伴っていなくても、ともに生きていきたいと思えることは愛だと思う。
高橋さんと咲子が根本的なところですれ違っているのではないか、という疑問は残ったものの、ふたりのつかずはなれずな関係性はとても居心地が良さそうで、なんだかいいなと思った。たとえ一緒に住んでいなくても、家族でありつづけることはできるし、パートナーのために自分のやりたいことを諦める必要はなくて、お互いが納得してベストの状態がやっぱり理想なんだろう。やりたいこと全部取りでベストの人生を目指してみてもいいのだろうか。
「虎に翼」第1話~第30話(第6週)
とっても話題になっていたので気になっていたところ、紫乃におすすめされてついに見始めた。「恋せぬふたり」を観ていたことからお察しのとおり、NHKオンデマンドが見られるようになったので、観たいドラマがどんどん観れてしまって嬉しいやら困るやら。
いまのところの推しは、久保田先輩と香淑ちゃんだけど、共感してしまうのは花江ちゃんとはるさん。特に、花江ちゃんが「ひとりぼっちだなって」と泣いてしまうシーンはとてももらい泣きしてしまった。結婚してから近い境遇のひとがいなくて孤軍奮闘している自分とつい重なってしまったし、花江ちゃんが「戦わない女性でいることがつらい」と言っている気持ちもすごくよく分かる。だからよねさんが「自分で選んだことじゃないか」と言ったとき、思わずそんなこと言わないで、と思ったし、それに対してお兄ちゃんが「僕にとっては花江ちゃんが一番だ」と言ってくれたことがすごく嬉しかった。とらつばは、闘う女性、働く女性の物語だけど、そうではない女性の存在もきちんと肯定してくれることが嬉しい。
だからこそ、第30話の最後の寅子の演説はすごく良かった。これも観ながら泣いてしまった。女性が女性であるというだけで差別されない世界は残念ながらまだ実現できていない。わたし自身、差別されることと闘う上ではまだ土俵にも立ててもいないかもしれないけれど、それでも闘う価値と意味はあるのかもしれない。すべての闘う女性と闘えない女性にこのドラマが届いてほしいと切に願う。
「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」第1話~第4話
小学生の時から星新一が好きなので、こんな豪華キャストでドラマ化されていたとは知らず、嬉しい。昔ずいぶんたくさん読んだはずなのに、細かい話を全然覚えていないので、これを機に原作も読みたくなった。
「ボッコちゃん」役の水原希子がとても良い。ロボットらしい話し方も、人間らしい話し方も、どちらもとても自然でそれらしく見える。
「不眠症」は、星新一は不眠症で悩んでいたことがあるのだろうかというくらいリアリティがあった。実際眠れないときは無理に寝ようとしないほうがいいというけれど、じゃあその時間を有効に使えるかと言ったらそうではないものなあ。
「生活保障省」は、ユートピアの怖さが前面に出ていて良かった。ロケ地が大好きな国際フォーラムなのも嬉しい。近未来感ある建物だものね。ちょっとブレードランナーに似ているなと思った。
「地球から来た男」は、映像だからこそ騙されてるんだよと笑って観ていられたが、小説で読んだらものすごく怖いだろうなという感じがした。
大学生の時から欲しかった『星新一ショートショート1001』がますます欲しくなる。
「Ā TABLE!」シーズン1
夫に勧められて一緒に観ている。夫婦ものなので、どことなく自分たちに重ねて観てしまうところがある。結婚15年で、こんな感じの穏やかな関係性でいられたらいいなと思う。
セットと食器と衣装がいちいち可愛い。料理を作るところと実際に食べるところは、ほとんどアドリブなのだろうか。ワイン監修のひとが入っているくらい、ワインが毎回ちゃんとしていて、とても気になる。実際に飲みながら撮影している感じもする。
ジュンが「これからやりたいことある?」と訊いたときに、ヨシヲがすぐに「ふたりでやりたいこと?たくさんあるよ」と返していたのが、最高に愛を感じた。わたしだったらこんなこと言われたら一生一緒にいたいと思ってしまうな。
ジュンは口には出さないけれど、ヨシヲが長野と行ったり来たりの生活なことを、実はけっこう寂しく思っているんじゃないだろうか。教授の「ひとりが寂しいから結婚したわけじゃない」という考え方が、わたしには分からないし、ジュンにもきっと分かっていない気がする。だから、「ふたりでいられる毎日が幸せ」に繋がるのだと思う。シーズン2も楽しみ。
本
米原万里『ロシアは今日も荒れ模様』講談社
思っていたよりも政治的なネタが中心で、正直それほど好みではなかった。やはりわたしにとっては文化や文学を題材としたもののほうが馴染みやすいらしい。しかしだからこそ、コラムの部分はとてもおもしろく読んだ。
しかし裏表紙の説明に「爆笑エッセイ」と書いたひとは、ほんとうにちゃんと本文を読んだのだろうか? どちらかというと、真面目に深刻な当時のロシアと旧ソ連圏の窮状をありのままに伝えている本だと感じた。いまロシアがウクライナを侵略している背景には、この本が書かれた当時の30年前から、そしてきっともっと以前からロシア社会に蔓延していた閉塞感が強くあるのだろう。もし米原万里がいまも生きていたら、現状をどう書き著しただろう。
J.D.サリンジャー/野崎孝訳『ナイン・ストーリーズ』新潮社
公式サイトの煽り文が、ちょっとどうにかしてよという語彙力のなさで若干引いた。
それはさておき、ボルドーで読み始めたのを2年かかってようやく読み終わった。全体的にもの悲しい雰囲気で、沈んだ気持ちの時にはひっぱられてしまいそうな危うさもあって、それで読むのに時間が掛かってしまった。しかしそれでも読んでいて心地よさを感じる。
特に好きだったのは「小舟のほとりで」と「エズミに捧ぐ」だった。
「小舟のほとりで」について、解説ではライオネル少年について魅力的なキャラクターだと述べられていたが、どちらかというと母親のブーブー・タンネンバウムがとても魅力的だと思った。もし日本で実写化するとしたら市川実日子に演じてほしい。
「エズミに捧ぐ」のエズミもとても好ましいキャラクターだった。
いつか英語でも読んでみたい。
川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』講談社
※あまりいいことは書いていないので、この作品が好きな方は読み飛ばしてください。
正直に言って、全然好きになれなかった。口当たりの良いスープのなかに、ぜんぜん煮えていない具材がごろごろ入っているような感じがして、口に合わなかった。特に聖というキャラクターがまったく好きになれず、この物語にこの登場人物は必要だろうかとまで思ってしまった。
その他
「あんさんぶるスターズ!The Stage Party Live」
これを無料配信してくれるなんてありがたすぎる。
どのキャストも素晴らしくて、パフォーマンスも甲乙つけがたいけれど、特にEdenがあまりにもかっこよすぎた。3人なのに完全に優勝していた。Edenのところだけ何度もリピートして先に進めないかと思った。凪砂くんが圧倒的にかっこよすぎて歌もダンスも最高なのはもちろん、ジュンくんも顔と声が最高にかっこよくて本物のマッチョなのもうれしいし、茨の声がとにかく好きすぎてもうやばかった。日和くん役の宮城さんが復帰してくれたので、きっと4人そろった姿もまた見れるよねと期待している。
配信期間が終わる前にもう一度観なくては。
「あんさんぶるスターズ!Drem Live 1st Tour -Morning Star!-」
2017年って大昔じゃないか。スタライは観に行けたり行けなかったりしていて、どれを現地で観たのかあまり記憶が定かじゃないけれど、この公演は観に行ったことをはっきり覚えている。しかし内容はすっかり忘れてしまっていて、こんなセットリストだったけ、とびっくりした。
途中で一度離れてはいるものの、もう9年も推しているジャンルなので、まだ初期曲はさすがにほぼ歌えることが分かって嬉しい。いまと比べると、歌もダンスもまだ伸びしろがある感じがして、声優さんとスタッフさんの努力を感じる。ありがたいことです。
「あんさんぶるスターズ!Drem Live 2nd Tour -Bright Star!」
観に行ったか全然覚えていなかったけれど、爪の写真とフラスタの写真が残っていたので観に行っていたらしい。
1stと比べると急にカメラの画質が良くなって、会場も広くなってびっくりした。カメラの台数もだいぶ増えている感じがする。あえて会場の音(歓声や掛け声)をあまり拾わないような仕様になっていたけれど、個人的にはもうちょっと観客の声が入っている方がライブ感があって良いかなと思った。
1stのときも思ったけれど、「Silent Oath」はライブのバンド体制に音質が合っているのか、CDで聴く以上に綺麗に聞こえる。特に好きな曲なので贔屓目なのはあるかもだけど。
毎月読んだ本や観た映画などを記録しています。