Black Coffeeのクリエイター、ミシェル・ジョンソン氏へのインタビュー(2019年1月の記事から)
元記事:A Chat with Black Coffee Creator Michelle Johnson as She Plans US Return - Daily Coffee News [Lily Kubota | January 24, 2019]
2019年を迎えコーヒー業界がイベントや大会の企画や準備に追われている中、アメリカに戻ってきたミシェル・ジョンソン氏は計画を立てるのに忙しく、彼女のブログ The Chocolate Barista や Black Coffeeイベントなどで次のレベルへと進み続けています。
ジョンソン氏はコーヒー業界における人種問題や格差、あからさまな人種差別、そしてそれらがコーヒー業界で働く人々の生活にどのような影響を与え続けているかについての重要な発言者となっています。
The Chocolate Barista はブログにとどまらず黒人のコーヒープロフェッショナルを対象としたイベントやパーティーなどの開催に発展し、様々な問題に関する重要な会話の場を提供しています。 ジョンソン氏はこの一年間オーストラリアに住みながらも Black Coffee のイベントを2018年中にアメリカ国内3都市(オレゴン州ポートランド、ニューヨーク、ワシントンDC)で開催するなど、アメリカのコーヒー業界と常に関わっています。先月には Black Coffee のニューヨーク・ワシントンDC版のビデオを公開し、野心家な元バリスタであるジョンソン氏にとって好調な一年の締めくくりとなりました。
ここ数年にジョンソン氏が行ったいくつかの講演で、コーヒーを飲んでいる多くの人々が不快に感じたり直面することを嫌がったりしていたテーマについて、聴衆とつながることができました。 ジョンソン氏は、2016年の Tamper Tantrum における最初の講演で多様性のための基礎を築くことに着目し、2017年の SCA Expo でのパネルディスカッションでは権力構造の変化を探りました。2018年の Re:co シンポジウムでの講演では特にオンライン空間での多様性とインクルーシブなコミュニティの構築に焦点を当てました。
ジョンソン氏がアリゾナ州フェニックスでバリスタとして働いていた時に立ち上げた「The Chocolate Barista」は、今月で3周年を迎えます。 「フェニックスで暮らし始めるまで、コーヒーに多様性の問題があることには気づきませんでした 」と、ワシントンDC出身のジョンソン氏は Daily Coffee News に語っています。「DCの人口動態はもっと多様性に富んでいます。アリゾナに引っ越してきて、当時のコーヒーシーンで私が唯一の黒人女性だったことに気付いたのです。」
2016年5月、ジョンソン氏はブログに「The Black Cup of Excellence: Being Black in Specialty Coffee」(注釈:「スペシャルティコーヒー業界で黒人として働くこと」)という記事を投稿しました。彼女の言葉は知り合いや読者を通じて急速に広がり、予想外の反響を巻き起こしました。「その記事が予想外に議論を呼んで、それがそのまま続いています」とジョンソン氏は語った。「まだ言いたいことは沢山ありますが、時間が経つにつれて楽になっていきました。手を差し伸べてくれる人が増え、支えられていると感じ、新しい人との出会いも増えましたから。やらなければならないこと、言わなければならないことがもっとあると思いました。他の人がやらないなら私がやろうと思ったのです。」 コミュニティの反応とそれらのつながりから、Black Coffee のイベントシリーズはこの流れにおいて自然な延長線上にあるように思えました。
「Black Coffee は、面白くて軽快でありながらも、とてもリアルなものにしたかったんです。会話は私たちのためのものであり、私たちによって行われています。毎回パネルには言っていますが、私たちは観客に話題を提供をしているわけではありません。私たちが心に留めておきたいことは、コーヒー業界で働いていてもいなくとも、コーヒー愛好家でもそうでなくても、単に好奇心があって通り過ぎるだけの人だったとしても、この会話が他の黒人の人々に本当に到達し、浸透することです。このような経験は私たち全員が共感できるものだからです。」 ジョンソン氏は、確かに他の参加者もおり、彼らにとって間違いなく学びの場になるとはいえ、これらのイベントは教育の場になることを意図したものではないと指摘しました。Black Coffee は、元々はポッドキャストのライブシリーズ「The Read」からインスピレーションを受けたもので、ジョンソン氏はコーヒーの世界の内外問わず様々なトピックについてカジュアルで率直な会話ができるスペースを作りたいと考えていたのです。
「これは、全国各地の様々な場所に住む人々と、そうでなければなかなかできないようなカタルシスのある会話をするためのものです。いわば同窓会のような感じを目指しています。このイベントシリーズでもう一つの目標としているのは、コーヒー業界で問題を抱えている人や、そのエリアで唯一の黒人かもしれない人たちに手を差し伸べることです」とジョンソン氏は語った。「 旅に乗り出そうとしているのだから、壁にぶつかって不満を感じても大丈夫、でもあなた自身を『脱線』させてはいけません。自分が本当に情熱を持っているのならば、情報を隠している人やあなた自身を評価しない人に、あなた自身がやるべきことだと感じていることの邪魔をさせてはいけません。それに、私みたいな人がコーヒー文化に関わっているところをもっと見たいですね。あなたの力が必要です!」

ジョンソン氏はコーヒーの多様性をテーマに主導的な声を提供していますが、コーヒーとマーケティングの専門家としての関心を持つ彼女は専門家としての枠にとらわれないようにしたいと考えています。 2017年には、オーストラリア・メルボルンのディスカッションプラットフォームとサブスクリプションサービス「Barista Hustle」でコミュニケーションのポジションに就きました。 彼女は最近その職を離れ、フリーランスの世界に足を踏み入れるためにアメリカに戻り、マーケティングとコンテンツ開発のスキルを活かしてコーヒー業界の様々な分野のクライアントと仕事をする準備をしています。 「本当にコミュニティの一員になりたい」とジョンソン氏は言った。「そのために投資したいです」

ミシェル・ジョンソン氏への3つの質問
コーヒーで一番インスピレーションを受けるのは何ですか?
人々と、それにまつわる物語です。人々がコーヒーと結びついた無限の方法と、それが彼らにとって何を意味しているのか。人々がどうやってコーヒーと出会ったのかを聞くのが大好きなんです。どうやってハマって、どうやってコーヒーを通じて他の人とつながったか。とても感動的です―――私にはもう他のことはできないと思います。
コーヒーで一番悩ましいことは何ですか?
給料や賃金の問題です。多くの人にとってどれほど持続不可能なことか…小売の人間だけでなく、生産の人間もです。この業界にはどれほど低賃金の人がいて、トップ数%の莫大な利益のために搾取され続けなければいけないのか、ほとんど天文学的な話です。
コーヒーがなかったら何をしていたと思いますか?
ワシントンDCの学校に残って数学の学位を取っていたと思います。恐らく、街中で変な会社の役所に隣接した仕事に就いて…とてもつまらなくなっていたと思います。
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junko