アラビカ、ロブスタ、その先は?コーヒーの未来を担う3つの野生種
元記事:Scientists and Industry Convene for a Remarkable Tasting of Three Wild Coffee Species - Daily Coffee News [Nick Brown | January 8, 2021]
約一か月前、長い一年の終わりを世界が待ちわびる中、数十年・数百年先のコーヒーの未来を見据えた科学者・コーヒーの専門家らが南フランスに集まった。
この集会は、フランスの農業研究機関 CIRAD 主導のもとモンペリエとヨーロッパ各地のバーチャルオフィスで行われ、3 つのコーヒー種のテイスティングが行われた。アラビカ種、ロブスタ種とは異なり、現在商業目的での栽培が行われていない野生種―――コフィア・ステノフィラ Coffea stenophylla、コフィア・ブレビペス Coffea brevipes、コフィア・コンゲンシス Coffea congensis の 3 つだ。
試飲会では、既存のコーヒー種・品種の遺伝的なコンパニオンとなる可能性があるかどうかを判断する目的で、実験室条件下で焙煎した各コーヒー種の味覚特性調査が行われた。
CIRAD のブリーダーであるブノワ・ベルトラン氏 Benoît Bertrand は試飲会後、研究グループからの発表で「一般の消費向けに新種を適合させるのは簡単ではありません。まず生産性と品質の面におけるメリットを科学的に証明する必要があります。さらに業界と消費者に受け入れてもらわねばなりません」と述べた。試飲会には CIRAD の代表者のほか、ヤコブス・ドゥエ・エグベルツ Jacobs Douwe Egberts、ネスプレッソ Nespresso、スターバックス Starbucks、スプレモ Supremo、ASTセンサリースキルズ AST Sensory Skills、ラルブレ・ア・カフェ l’Arbre à Café、ラ・クラーク La Claque、ベルコ Belcoなど、ヨーロッパの著名なコーヒー会社のコーヒー官能(コーヒーセンサリー)の専門家が参加した。
専門家らは、これまであまり知られていなかったコーヒー種が商業栽培に適した味を持っているかどうかを評価するために招かれたが、コーヒー栽培地域の景観を変化させ、病害虫によるアウトブレイク発生を増加させ、コーヒー産業を脅かしている気候変動に備えてコーヒーセクター全体の準備をさらに進めるという目的もあった。具体的には、CIRAD はコーヒー品種をより持続可能なアグロフォレストリーシステムに適応させる方法を探ってきた。
コーヒー産業、ひいては消費者は、これまでの歴史の中で主にコフィア(コーヒー)属の中で3つの種に関心を寄せてきた。最も広く栽培されており、その風味が評価されているアラビカ種。そのアラビカ種よりも生産性が高く、病気や害虫に強いことが評価されているロブスタ種。そして世界のコーヒーマーケットの 0.1 %ほどしか栽培されていないリベリカ種だ。
CIRAD によれば、コフィア属には 124 種が含まれていると推定されているが、野生のコーヒー種の大半は絶滅の危機に瀕していると考えられている。 モンペリエでのテイスティング対象となった 3 種は、アラビカ種コーヒーの最大の敵の一つであるコーヒー葉さび病に対する耐性を示している。
さらに CIRAD によると、コフィア・ステノフィラは良質な香味を保ちつつもより高温への適応性が高いと考えられており、一方、コフィア・ブレビペスとコフィア・コンゲンシスはより生命力が強く、風味の面で「ロブスタに匹敵する」と考えられているという。DCN は以前、有名な植物科学者のアーロン・デイビス氏 Aaron Davis に、彼のチームが最近野生のステノフィラを再発見したことについて話をしている。(注釈:この記事は面白そうなので多分いつか翻訳します)
CIRAD は、試飲会の完全な分析結果を発表することを約束しているが、結果は非常に有望であったという見解を発表している。
CIRAD の研究者デルフィン・ミューレ氏 Delphine Mieulet は「このセッションの目的は3種のコーヒーの味覚の質を評価し、消費者の嗜好に対応しているかどうかを確認することでした。結果が決定的であれば、次のステップとして農学的なメリットを評価した上で、より病害虫への耐性を高め、収量を上げ、品質を向上させるためにコフィア・カネフォラ(ロブスタ)とコフィア・コンゲンシスもしくはコフィア・ブレビペスの交配を視野に入れていくことになるでしょう」と語った。
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junko