ブランド症候群②
いくつになっても子供な私は
「ブランド」という言葉に
とっても弱いのが欠点なのだが
そんなちっぽけな話じゃなくて
歴史の中のブランドはどうなのだろう
特に古代国家レベルのブランドは
どのようなものがあって
どう利用されたのだろう
目次
1、 もらった鏡は
2、ブランド化成功!
3、ブランドは無くならない
1、もらった鏡は
さて、考古学の分野で贈り物というと「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」が最も有名
この鏡は魏(ぎ・約一千八百年ほど前に黄河流域を支配していた国)から卑弥呼が貰ったものとされており、別名「卑弥呼の鏡」とも言われている
そしてその枚数は、百枚(不思議なことにこの鏡は、中国大陸では一枚も確認されていない)に及んだと「魏志」に記されている
つまり彼女は倭国(当時の日本)の代表として
魏の支配下に入ることによって、権威の象徴である鏡を貰ったのである。
これ以前にも中国大陸の鏡は日本にもたらされているが
卑弥呼がこの鏡を独占したことによって
それが特別な権威物(ブランド品)となったのである。
2、ブランド化成功!
で、卑弥呼はその鏡をどうしたのだろうか?
ずーと隠し持っていたのでは
ブランド品の価値が下がる
というより、それらがブランドにならない
やっぱ、ブランド品は小出しにするのが一番
貰った鏡は支配下にある王達に
うまーく分配したのである。
当然ながら、あちこちでコピーが横行する
こうなるとブランド品を出す方はしめたもの
いよいよブランドの価値が高まる。
多分、地方の王達の中では
本物とコピーを持つ者の相関関係が細分化されていったのだろう
「おっ、君の鏡は本物やなぁ。でも俺は、君より一枚多く持ってるで」
「ほんまやぁ。俺も卑弥呼にもうちょっと気に入られていたらなぁ。君と同じ枚数やったかもしれんなぁ」
「あ、でも川向こうの○○王なんかは一枚しか持ってへんよ。しかもコピーやったで」
「マジか?あいつ卑弥呼に相手にされとらんのやろうか?可哀そうになぁ。あれだけ貢物を送っているのに…」
という会話がいっぱい聞こえてきそうである。
なんだか何処かで聞くような会話だが
この鏡は卑弥呼がその権力を系統立てるのに
とても役立ったブランド品だった。
しかしそれも、貰った側の王達によって
実に八割までが古墳に埋められてしまう。
つまり鏡を遺体と一緒に埋めることによって
彼らは自分自身を権威付けたかったのである。
そして、これによって三角縁神獣鏡のブランド力は、古墳時代で終わってしまう。
3、ブランドは無くならない
ただ、これでブランドが無くなるかというと
そうではない!
後世の者達は、自分達と、その時代の価値観に合ったブランドを次々と作り出す。
これはどうも、現代とも共通するようでもある
そう、
ブランドという概念を長い歴史の尺度で測ると
積もることのない春の淡雪のみたいである。
しかし、それを求める事を止められないのは
卑弥呼に限らず
抑えることの出来ない
私たち人間本来の欲望なのかもしれない…。
自分自身にそう言い訳をしながら
再びサーフや雪山を走りたいという
ちっぽけな欲望に負けてしまい
夜な夜なPCの前に座り
クルマの各サイトをネットサーフィンしながら
ブランドグルマの画像とデータを
穴が開くほどながめる私がここに居る。
ここまで読んでくださって
ありがとうございます。
またこのブログを訪ねてみてください
ありがとうございました。