『抗えない力』と『もどかしい壁』~映画:「君の名は」の感想~
※ネタバレあります。
『君の名は』の見終わった後のもどかしさや、切なさの正体は何なのか。
何が面白かったのか、何が気持ちを盛り上げたのか、何が切なくなったのかを考えてみた。
ーーーーーーーーーーーーーー
人と人は偶然出会い、いつの間にか蜜に関り、そしていつの間にか疎遠になる。
人と人とを結びつけるもの。離すもの。
もっと一緒にいたいのに、かなわない瞬間がいくつもある。
それが死や、災害、病気、という『抗えない力』だと思う。
これらより力は弱いが『もどかしい壁』として存在するものが、2人の(物理的な)距離や、思いが届かないこと。
映画の中のシーンでいえば、
前者は、”糸守町と東京”や”並走する電車”。
後者は、”カタワレ時が終わる瞬間”。
そして、”2人の物語を見ている映画の観客”=自分。
この映画は何十にも、何重にも、
2人の想いとは真逆の『抗えない力』が二人を引き離す。
これが切ない。
そして映画のラスト10分。
じらしにじらされ、最後に二人は出会う。
映画を見終わった後、ホッとする思いとともに
「フィルムの中の2人に、本当のことを伝えられない自分」という、最大級の『もどかしい壁』をお土産に持たされる。
①2人の記憶が無くなっていく過程も見ている自分が、一番切ない。
②けど、2人は出会えたから良かった。
※以後、思い出しながら①②を繰り返す
この2つの想いをグルグルさせながら、四谷を通り、代々木を通り家路につくのだった。
おしまい。