由井薗先生から学んだこと
授業てらすとの出会い、そして由井薗先生との出会い。これらは間違いなく、私の人生の中でも大きな、大きなターニングポイントとなりました。
1.子どもの知りたい、学びたい意欲の引き出しかた
これまでは私の方から資料を提示し、子どもたちがその資料を読み取る。読み取ったら確認をして終わりという流れでした。恐ろしく静かな教室で、子どもたちから「つまらないな〜」という空気を感じ取れるぐらいでした。
しかし、それが激変しました。変えたのは子どもの何気ない発言に根拠を求め、それに対応する資料を見つけた子どもを大きく取り上げたことです。そこからは必死に教科書、地図帳、資料集やタブレットから情報を探そうとする姿が教室に広がっていきました。子どもたちのエネルギーは凄まじく、非常に嬉しい変化でした。
2.発問に使う言葉の意識
主発問につながるHow(どのように)、補助発問のWhen、Where、Who、What、まずはこれらの発問を駆使することで事実を捉えていくことから始まります。ここは前述した教科書や資料集、地図帳が大活躍する場面ですね。
そして、そこから概念的知識を問います。深い学びにつながる発問のWhy(なぜ)、Which(どちらがよいのか)、What to do(どうすればよいのか)を意識して使うようになりました。
意図的に組み合わせることで、子どもたちはさらに考え、また根拠を求めて資料を探し始める。そして新たな発見があり、また疑問が生まれる。このサイクルが繰り返されることで「社会科は楽しい」という思いを子どもたちがもち、さらに興味をもって調べ、考えるという好循環が生まれるようになりました。
3.3つの汗をかく社会科授業を!
①体の汗!
これは自分自身で調べる知識・技能をさします。知識は自ら獲得するものであること。
②頭の汗!
これは多様な考えを受け止め「自分ならではの考え」をつくる思考力・判断力・表現力をさしています。思考をアクティブにしていくこと。
③心の汗!
これはみんなが幸せになるために「どうすれば良いのか」を問い続ける学びに向かう力、人間性等のこと。人の幸不幸に関心をもち、その条件に眼を開こうとすること。
と、由井薗先生は説明してくださっています。
先日、私のクラスで水俣病の授業のまとめとして、これまでの学習を踏まえた上で、学習問題に対しての自分の思いを書く時間を設定しました。
すると、「納得した」「納得していない」あちこちで自分の主張を展開しながら議論を始める子どもたちの姿がありました。「なんで?!」「それおかしいよ!!」「だって!」と、自分の主張とは違う考えに対して自分の考えをぶつけ合う子どもたち。一方で「たしかに」「そういう考えもあるか…」とはじめは違う主張をしていた子も、友だちの考えに納得する子どももいました。こんな風に自分の思いを伝えたい、わかってほしいという強い思いをもってくれたこと。また、相手の考えを受け止められる子どもたちになってくれたことが嬉しくてたまらず、しばらく見守っていました。
体の汗と、頭の汗のかき方をこの一年間で由井薗先生から教えていただき、まだまだ拙くはありますがチャレンジしてきました。それが最後に、自然と心の汗まで、子どもたちは自らの力でかくようになったのです。
ノートには
「水俣病で苦しんだ人たちがいることを忘れてはいけないと思いました。」
という記述が多くの子どもたちから出てきました。
授業てらすと出会えたこと、由井薗先生と出会えたこと、多くの偶然が重なって起きたこの奇跡に感謝し、これからも学び続ける教師「学びスト」でありたいと思います。
一人でも多くの子どもたちが、笑顔で未来を歩むことができるように。
授業てらす
おざ_小沢享平