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社会科とは何か?

社会科とは、どのようなことを目標に授業を展開していけばいいのでしょうか?

なんとなく、分かっているようで、わかりません。
私自身も、社会科について研究してきましたが、いまだ難しいと感じています。

社会科とは何か?

今日は、この問いについて考えてみます。

まず、社会科の学習指導要領を読んでみました。

「広い視野に立ち、グローバル化する国際社会を主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を育成する」

小学校学習指導要領社会科編 P20

というように書かれています。このことが、社会科の究極的な目標なのです。

しかし、この力を小学生に身につけるためには、あまり現実的でないように見えますね。簡単に身につけさせることは難しそうです。では、小学校の段階では、どうしたらよいのでしょうか?

そこで、小学校の段階では、身の回りにある様々な社会的事象に出合わせていきます。その中で、社会的事象に関わる様々な問題に気づき、向き合い続け、適切に解決できる人間に育てていきます。

では、どのような手立てで、問題に気づき、向き合い続け、解決できる人間に育てていったらよいのでしょうか?

そこで、学習指導要領で求められている知識・技能。思考・判断・表現。学びに向かう力、人間性が必要になってくる、というわけです。

知識・技能
今ある社会的事象の中にある仕組みや意味、役割を知るため、情報を集め、読み取り、まとめる力。
思考・判断・表現
手に入れた知識を活用しながら、社会的事象の特色や相互の関連、意味などを考え、問題を解決する力。
学びに向かう力、人間性等
地域社会への愛情と誇りがあれば、その一員として主体的に問題解決しようと問題を見つけながら、社会に参画しようとする力。

授業の中で、このような力を育てていくことで、社会的事象に関わる様々な問題に気づき、向き合い続け、適切に解決できる人間に育てていきます。

さて、有田和正先生の言葉を最後に引用したいと思います。これまでのことを踏まえ、社会科とは何か、こういう視点で考えればわかるかと思います。

 私の家のそばに矢沢川という川が流れていて、樹齢70年にもなる桜の木があるのですが、今日、でかけようとしたら、その枝をバサバサ切っているんですよ。聞くと、「今度、川の工事をするために切っている」という。「道の方は関係ないじゃないか」と言っても、「命令されたとおりにやっているだけなので、こちらに言われても困る」という。それで役所に電話をかけて、「街の景観が壊れる。どういう考えでやっているのか」と尋ねました。
 私は、これが社会科だと思う。社会科の学習というのは、自分の住んでいる地域を改善していくもので、そういうエネルギーが、子供にも影響すると思いますよ。
 自分が率先してやらなければ、教えられません。一度木を切ったら、もとにもどるのには70年かかる。その間に私は死ぬけれども、子孫に何をのこすか、どういう景観や価値を残すのか、ということではないでしょうか。社会科はやはり社会を改善するというか、活動しなければならないと思います。社会科というのはソーシャルスタディーで、ソーシャルサイエンスではないですよ。今やっているのはソーシャルサイエンスで、それは頭の中だけでやる科学になっていますが、私は、体をはってやるソーシャルスタディーズを目指しているのです。

有田和正

自分が愛する地域を守るために、どのようなことが必要かを考えることができる。そして、行動にうつしていく人間を育てていく、これが社会科の姿なのかと思います。

教科書や副読本で扱っているように、私たちの住んでいる地域の良さ、そして支える人々の仕事や思いに触れていく授業を仕掛けていくことは、非常に価値があるのです。さらに、そうした社会的事象に働きかけ、なにかできることを行動化し、形にしていく。こうした価値を授業でつくっていけるよう、心がけていきたいものです。

                        三浦健太朗

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