鬼滅の刃ー遊郭編ーについて
「無限列車編」が歴代映画興行収入を更新するなんて思ってもいなかった元ジャンプ読者です。
ジャンプ作品で「千と千尋の神隠し」の興収を超える可能性があるとすれば、「ドラゴンボール」か「ワンピース」だと思っていました。
確かに、私が最初にネット上で「鬼滅の刃」がバズったと認識し、コミックを追いかけ始めたきっかけは、煉獄vsアカザ戦からでした。
それまでは作品の存在は知っていましたが、「光るものがある」と通なジャンプ読者が支えていた印象でした(この絵柄でジャンプだと、打ち切りかなと最初は思っていました)。
ufotableがアニメ化するので「海外人気は出るな」と思いました。
アニメをニコニコ動画で見て「素晴らしい作品だ」「やはり大正時代を舞台としてコミカルな要素も持つ創作は面白い」と思いました。
「無限列車編」を見て「さすがufotableだ」「煉獄絡みの話がたまらないな」と思いました(零巻が欲しかったので、舞台挨拶のあった土曜日に見ました)。
しかし、コミックがランキングを独占するほど売れるのを不思議に思っていました。それでこの映画興収なので驚きです。
主題歌を歌うLiSAがレコード大賞を受賞し、二年連続で紅白歌合戦に出場することを「Fate/Zero」の放送当時に予想できた人はいないと思います(LiSA名義で初めて出した曲は「Fate/Zero」の主題歌「oath sign」だと記憶しています)。
ufotableは、「空の境界」の映画アニメから知りました。厳密に言えば、「阿波おどり」のポスターが盗まれてネットで10万円で転売されているというニュースを見た時からです(ufotableの社長の出身が徳島で、徳島にもアニメ制作スタジオがあります)。
私はTYPE MOON(型月)をスタジオディーンが制作したアニメ版「Fate/staynight」で知ったので、「空の境界」はこのニュースで初めて知りました(「空の境界」は奈須きのこ先生の名義で出された小説なので、当時は気付けなかったです)。
最終巻まで読んで吾峠先生の感性の良さと潔さに感銘を受けましたが、小学校低学年や未就学児にまで人気が広がる中で、いずれバッシングされるのではないかと不安に思っていました。
鬼は人間を食べ、その鬼を倒すために鬼の首を落とし、隊士(特に「柱」)は傷つき身体が欠損する状態になっても最期まで戦い続けます。
マンガだと白黒で絵もさっぱりしているのであまり気になりませんが、アニメだと描写がグロくなると思います(同じように刀を使うバトル描写でクオリティが高いがためにグロいと評されたアニメとして、夕方6時に放送された「BLOOD+」という名作があります)。
どんなに優れたストーリーでも、凄惨なシーンに目を奪われてしまい、ストーリーが真っ当に評価されないことがあります。中身ではなく見た目で判断しがちなのは、慣れがないと仕方ありません(物事の本質を見る目を養って生きたいです)。
深夜アニメだからできる表現なのかと思っていたので、深夜アニメを見ることを想定していない子供にまで見られるのはマズいなと思っていました。
「ワンピース」ですら、「赤足のゼフ」が「サンジ」に自分の食料を与える代わりに、自分の足(「ゼフ」は足技を得意とする海賊)を食べたという凄絶な描写がありますが、アニメではこの描写が変更されました(この頃の尾田先生の感性は尖っていたと思います)。
「サンジ」は「オールブルー」への憧れがありますが、最初は「ルフィ」の誘いには乗りませんでした。「ゼフ」がオーナーでコックとして働くレストランを乗っ取ろうとした海賊との戦いの中で葛藤の末に、「クソお世話になりました」と「ゼフ」に別れを告げて、「ルフィ」の船に乗り海賊になります(「オールブルー」は「ゼフ」が誰にも打ち明けることのできなかった夢でもあり、他人に馬鹿にされながらも同じ夢を堂々と語る「サンジ」だから、自分の足を食べるまでして助けたのです)。
「サンジ」が葛藤した理由付けとして、私はこの描写がとても好きです(ネタバレして、ごめんなさい)。
ただ原作至上主義者ではないので、残念でしたが、テレビアニメの変更は仕方ないと思いました(夜7時という子供が視聴する時間で、お食事時での放送なら仕方ないです)。
その中で「鬼滅の刃」で炎上したと聞き不安が的中したかと思って調べたところ、「遊郭を子供にどう説明すればいいのか」「女性差別だ」というものでした。
なお、報道では「炎上」としていましたが、私が調べた限りでは「ボヤ騒ぎ」にもならない程度でした。
「遊郭」をどのように評価するかという歴史見解の議論でした。「前後の文脈を無視して単語だけを抜き出す」マスコミのお得意報道で飛び火した感じです。
マスコミの平常運転には、簡単に乗せられないようにしないといけません。不幸行きのバスには毅然と乗車拒否すべきです。
ただ折角の機会なので、「遊郭編」の言葉だけで過剰反応された方に、お薦めをしたい作品があります。
「ーJINー仁」という名作ドラマです。
「ーJINー仁」は、原作がマンガで、タイムスリップ物の時代劇であり、現代の医者が幕末を舞台に活躍するテレビドラマです。
TBSで日曜夜9時に放送されていましたが、坂本龍馬など登場するキャラクターがコミカルで、子供にも人気があったと記憶しています(平均視聴率が20%超のドラマだったと思います)。
話の中で、重度の梅毒に罹った「花魁」を救うために「ペニシリン」が必要になります。主人公である「南方仁」は「ペニシリン」を開発することで過去を変えてしまうことに葛藤します。葛藤の上で決意し、苦労の末「薬効あり」に至るシーンには感動しました。
「ーJINー仁」には「遊郭」のシーンが多くあり、登場人物に語らせることで「遊郭」の説明をしていたと思います。歴史だけでなく医学にも興味が持てるドラマなので、ぜひ子供と一緒にご覧ください。
ある表現がアニメだとダメで、実写ドラマではOKとする理由が分かりません。
子供が見るからという理由だけで、アニメだけ強い表現規制を行うことには関心しません。
同じフィクションなので、同程度の表現規制になるのではないかと思います(むしろ実写はリアルにより近いので、表現規制がアニメよりも強いのではないかと思います)。
なお、「銀魂」でも遊郭編はある(「吉原炎上編」としてアニメ化もされました)ので、少年マンガで「遊郭」を出すこと自体に問題はないと思います(内容次第だと思います)。
「銀魂」は「鬼滅の刃ー無限列車編ー」の週間映画興収ランキングの連続一位記録を破った人気作品です。マンガ・アニメ・実写の全てがヒットした、週刊少年ジャンプでも稀に見る傑作です。
「鬼滅の刃」は「銀魂」と「ジョジョ」から強い影響を受けていると思います。おそらく吾峠先生が両作品をかなり好きなんだろうなと思います。
以上のとおり、報道記事とTwitterを調べて思ったことを書きました。今から遊郭編が楽しみです。
刀鍛冶の里編もテレビアニメで、無限城編から映画アニメかなと予想しています(因縁のアカザ戦はまた映画館で見たいです)。
「進撃の巨人」のように、実写映画や番外アニメを挟んだことで、本編のアニメ化の期間が大きく空いてしまうことがなければいいなと思います。
「進撃の巨人」は、今アニメでやっている「マーレ編」がとても面白いです。勧善懲悪の真逆なので、子供の人気は出ないと思います。
「マーレ編」は大人ですら理解できていない人がいそうな「戦争の構造」を、ファンタジーの中で上手く描けていると思います。「内ゲバ」も描いたり、「進撃の巨人」は「少年マガジン」らしい社会派な少年マンガだと思います。
長文になりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。