グラフィックデザイン界の最重要人物ウィム・クロウェル
グラフィックデザイン界の最重要人物Wim Crouwel(ウィム・クロウェル)。
Wim Crouwel(ウィム・クロウェル)は、郵便切手のデザインや銀行のロゴなど、グラフィックデザイナーとして知られていますが、美術館や博物館の空間デザインからキャリアをスタートさせているところからデザインすることの根底には建築的なアプローチがグラフィックデザインのなかにも見られます。
特にデザイン界屈指のグリッドシステムの使い手と呼ばれていて、1950年代のスイスのデザイン運動の影響を受け、グラフィックデザイナーとなったWim Crouwel(ウィム・クロウェル)は、友人に「grid-nick(グリッドニック)」として知られていました。
1963年には、デザイン事務所「Total Design(トータルデザイン)」を創設し、大手企業や美術館などのクライアントを抱え、大規模なコーポレート・アイデンティティの設計などを行っていましたが、1972年には同社を辞めています。組織が大きくなり、金銭的にも仕事の数を増やさなくてはいけないなどメジャーになってしまったが故の不自由さを感じます。
その点インディペンデント精神を貫き通しているKarel Martens(カレル・マルテンス)は理想的な立ち居振る舞いをしていると思います。
今回取り上げたいのは1967年にWim Crouwel(ウィム・クロウェル)によりデザインされた直交グリッドを用いた極めて抽象的な書体「New Alphabet」です。
コンピュータの画面や液晶での可読性を考慮して設計されているようですが、読みやすいですか?やっぱり読みにくいですよね。1967年の発表当初、あまりに実験的な書体だったので、評価されていなかったようですが、
約20年後「New Alphabet」を再び世に登場させたのが、伝説的なポスト・パンクバンドJoy Division(ジョイ・ディヴィジョン)。
1980年にイアン・カーティス(Ian Curtis)が突然の死を遂げ、それから8年を経てリリースされたJoy Division(ジョイ・ディヴィジョン)のシングル曲を集めたコンピレーション・アルバム「Substance」(1988年)のジャケットデザイン。
これは現代のビジュアル文化を築いたグラフィック デザイナーピーター・サヴィル(Peter Saville)のアートワークで、アナログLP盤ではWim Crouwel(ウィム・クロウェル)がデザインした「New Alphabet」のフォントで「substance」と書かれています。当の本人は、やや困惑していたようですが。。。
Wim Crouwel(ウィム・クロウェル)の建築的なアプローチがみられる有名なグラフィックデザインを紹介します。