〈上越タイムス創刊30年 地域を守る〉産業編(2)漁業 担い手育成へ努力 収入増で魅力向上を

 「大変だけど、やりがいはある。新たにやりたいという若い人も相次いでいる」。穏やかな日和の3月下旬の名立漁港。8年前、勤めていた製造業を脱サラして漁師の道に進んだ船主の板谷憲さん(52、名立区名立大町)は、20代の若手と底引き網を修繕しながら話した。

名立漁港

 名立漁港には大型船4隻があり、年間の水揚げ額は9764万円。底引き網、ごち網、刺し網、ばい籠などの漁を行い、全量を長野市の卸業者が買い取っている。板谷さんは「経営としてうまくまわっている」とみている。若い〝乗り子〟希望者が続々と来る現況に、上越市漁業協同組合名立支所の池亀健一支部長(60)は「後継者として一人立ちできるか。船をどうやって増やしていくか」と若手の成長を見守り、バックアップする。名立漁港には大型船4隻があり、年間の水揚げ額は9764万円。底引き網、ごち網、刺し網、ばい籠などの漁を行い、全量を長野市の卸業者が買い取っている。板谷さんは「経営としてうまくまわっている」とみている。若い〝乗り子〟希望者が続々と来る現況に、上越市漁業協同組合名立支所の池亀健一支部長(60)は「後継者として一人立ちできるか。船をどうやって増やしていくか」と若手の成長を見守り、バックアップする。

 かつて名立漁港には20隻以上の船が出ていたという。上越市漁協に合併する前の名立漁協で組合長を務めた小林秋夫さん(77)は「昔は男はほとんどが漁師。多くの船で漁を行い、捕れた大量の魚は貨車で京都や大阪へ運ばれていた」と述懐する。だが、消費量の減少に合わせるかのように水揚げ量も減り、船は少なくなった。それでも、「自分でやる気になって経営すればやっていける」と後押しする。

 上越市漁協は2019年1月に合併した名立を含め、直江津、大潟、柿崎各地区がエリア。2019年の水揚げ量は計193トン、同金額は1億6771万円。漁業者らの正組合員、遊漁船やプレジャーボートなどを持つ准組合員で計210人。近年は准組合員が増えている。

 2018年漁業センサス漁業経営体調査(年齢階層別漁業就業者数)によると、名立では若手が入ってきているが、全体を見ると、70歳以上が54・7%を占める。仲田紀夫組合長(74)は、魚価の低下に加え経費が増大し、「漁業で生計を立てられる状況になっていない」と、高齢化と後継者不足につながる課題を指摘する。

 対策として、2017~2023年を期間とする「第2期浜の活力再生プラン」の中で、水産事業者と連携した「低・未利用魚の加工品」開発、捕った魚をすぐに血抜きなどする鮮度保持、ヒラメやクルマエビの稚魚放流の継続など、「付加価値とブランド」「育てる漁業」を意識し、漁業所得10%向上へ取り組んでいる。「海の活性化には漁業の取り組みが欠かせない」と強い決意を見せている。つづく

※この記事は2020年4月2日付上越タイムスに掲載されたものです。文中の年齢などは当時のままです。ご了承ください。

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