『海に眠るダイヤモンド』を社労士受験生的に考えてみる②
時代は戦後の復興期、場所は炭鉱、ということで、労働基準法の背景を理解するには適したドラマかもしれませんね。
さて、2024/11/24の放送回のテーマは、ストとロックアウトでした。
家族から、労働者はストライキに参加して働かないのに、なぜ会社側はロックアウトして労働者を締め出しているのか?矛盾していない?との質問がありました。
ちょっと整理してみましょう。
「あらすじ」でも明記されているように、今回、労働者側は”部分ストライキ”というのは、労働組合内の特定の組合員のみが参加するストライキです。つまり、ストライキに参加しない労働者は、労働し、賃金を得る意思があるということです。
ここで思い出されるのが、社労士の教科書にだいたい載っている「ノースウェスト航空事件」ですね。
「ノースウェスト航空事件」では、アメリカ本社のパイロットがストを行ったことにより飛行機が全面停止し、日本支社で仕事がなくなった際、日本支社に勤務する社員(スト不参加)に休業を命じた際、賃金の支払義務が生じるのか、が争われた事件です。
結論としては、労働者の賃金請求権は認められないこととなりました。「労働契約上の危険負担の問題として考察されるべき」というのがその根拠です。
もっとも、この裁判が行われたのは昭和62年です。先に述べた端島のストライキの際は、この判例が出る遥か前です。
ですので、会社側は、一部ストに参加していない労働者に対し賃金を支払わないために、物理的にロックアウト(作業所閉鎖)を断行し、労働者の労働力の提供を明確に拒否した、ということになると思います。ロックアウトは、一定の条件下で正当化されるとのことです。
こうした労働争議、平和な昨今ではあまりニュースにならないなと思っていましたが、そういえば5年ほど前、佐野サービスエリアで、従業員のストライキにより突然営業休止になった事例がありましたね。
ということで、労働争議について考えていたら、佐野ラーメンが食べたくなりました。