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【ブランディング】店舗を考える上で、エントランス空間のデザインで知っておくべきこと

第一印象を決めるエントランスデザインについて解説します。店舗のデザインはインテリアを中心に考えることが多いですが、実は店の顔となる建物の外部デザインも重要となります。デザインを考えていく上で、見落としのないように検討できるポイントをまとめました。


店舗の世界観を決める3要素

店舗の広告宣伝により来客を促す際、3つの要素を組み合わせて世界観を演出します。この3つの考え方とインテリアのデザインを組み合わせることで「個性」を発揮することができます。

要素1 サイン計画

店名やロゴを表現する看板やサインのデザインが、上質さや洗練された店づくりなどに大きく影響します。店名やロゴデザインはホームページ、集客サイト、SNS、ブログなどで幅広く利用されます。実店舗のサインはそうしたWEB上のサイトなどと合わせて、集客につながるデザインを検討することが重要となります。

代表的なサイン計画として看板のデザインがあります。看板にロゴや文字をデザインし、レイアウトやカラーデザインをまとめます。ロゴはその形で店舗のアイデンティティを表現し、店名の字体デザインは店の雰囲気を表現することができます。

建物外壁にブランドカラーが目立つサイン
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

要素2 アプローチ計画

店舗の場所を探していると、テナントの設備だけでなく、建物全体にも目を向けることになります。店舗の住所や環境とは別に、建物やアプローチの雰囲気はブランディング戦略において重要な要素だということが分かります。

アプローチにデザインされた店舗サイン
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

要素3 入口扉計画

店舗全体にマッチした入口ドアのデザインが重要です。店舗を計画すると入口扉は最初に検討されるものではあまりありません。しかし、店舗のデザインやマーケティングを検討していくと、次第にその重要性が浮かび上がってきます。

あえて入口から中が覗けないつくりの入口扉
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

計画を進める上で下見しておくべきポイント

①サイン計画は「夜の光演出」が重要

店名やロゴの見せ方として、看板等をデザインすることになります。店舗のターゲットが日中客なのか夜間客なのか、ピーク営業時間がお昼なのか夕方なのか、そうしたマーケティング分析により必要とされる光演出が検討されます。
屋外に面している看板照明にはいくつかタイプがあります。代表的な照明器具として、「アームライト」があります。アームライトは照明の角度を調整することで看板全体を照らすことも、部分的に照らすこともできます。
このように照明を設置し、夜間に希望する演出を実行するためには配線計画が必要となります。
他にも「軒下ユニバーサルライト」「ブラケットライト」「スポットライト」「アッパーライト」などがあります。

配線計画には以下の内容を計画前に調査しておくとよいでしょう。これらの条件が整理されることで、工事量が想定しやすくなります。

  • 屋外用コンセントの有無

  • 看板に既存照明の有無

  • 既存照明がある場合は、スイッチやタイマーなどの制御機構の位置

  • 配線が可能な外壁貫通孔の有無

  • 配線用の貫通孔がない場合、不動産契約上貫通孔を新たに設けられるか

サイン全体を照らすアームライト
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

②サインで「誘導する目線」

集客サイトなどで店舗に興味をもってもらい、実際に探すとなるとGoogle mapなどの地図アプリなどを頼ることになります。建物まで到着し店の入り口を探してみると、案外見当たらないことがあります。
サインのデザインを工夫することで、店の場所、入口へと目線が自然に誘導される計画が可能です。

サイン計画には以下の内容を計画前に調査しておくとよいでしょう。

  • 地域や建物の景観ルールの有無

  • 利用可能な看板の有無

  • 看板の設置可能範囲

  • フィルム張り可能範囲(ガラス部など)

2階メイン看板から、店入口のサインに目線が移るようにデザイン
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

③アプローチ計画は「建物の特徴を分析」する

アプローチを計画することは、入店するまでの体験をデザインすることになります。店舗のデザインを内装だけでなく、外部にまで及ぶことで一層デザインの密度が高まります。
アプローチをデザインする方法として、駐車場や入口土間を工事する、建物 の外壁仕上げを変更するなどがあります。
こうしたアプローチのデザインは建物の特徴を分析し、店舗のデザインを拡張することで検討が深まります。

アプローチ計画には以下の内容を計画前に調査しておくとよいでしょう。

  • 外構工事可能範囲

  • 建物の外壁改装可能範囲

  • (看板設置可能範囲)

  • (フィルム張り可能範囲)

駐車場の一部をアプローチガーデンとしてデザイン
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

④入口扉は「入店するときの心情をデザイン」

入口は店舗の内外が交わる重要なデザインの結節点です。店舗に入店するときの感動や変化をデザインすることがポイントとなります。

扉には引き戸と開き戸という二つの種類があり、外開きや内開きに加え右勝手と左勝手といった扉の開き方があります。引き戸は車いすでの入店がしやすい特徴があげられます。自動ドアという選択肢もあります。一方、隙間風が生じやすいともいえます。

開き戸には引戸のように壁との重なりがないため、小型の店舗でも起用しやすく、壁面を有効活用しやすい扉です。
こうした扉の材料として、木材、ガラス、スチール、アルミ金属などがあげられます。ガラスを使うことで店内が外からも見やすく、店内から来客の様子が先見することができるなどの特徴があります。あえて不透明な扉を使うことで、店内に入ったときの感動を高めることもできます。

黒電話という店名と真っ黒で中が見えない扉
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS
扉をあけると本物の黒電話が目の前に現れる
©(株)白井一級建築士事務所/SHIRAI ARCHITECTS

入口の扉は建物によって防火設備と呼ばれる防災上法的に必要な仕様が要求されます。その有無については不動産屋かデザイン事務所にヒアリングするとよいでしょう。また、シャッターがある場合は防火シャッターであることが期待でき、扉を入れ替えることが不動産契約上容易な場合もあります。適切な知識をもって不動産屋やオーナーと交渉しましょう。

エントランス空間を何故デザインするか

エントランスはSNSやメディアで露出しやすい

InstagramやtwitterをはじめとするSNSやブログなどで、飲食店やエステサロンなどの体験を綴られたメディア記事がたくさんあります。こうした記事では、入口付近の写真が取り上げられることをよく目にします。

そうした記事を読み、楽しみにされる新顧客は大勢期待できます。こうした特徴のあるエントランス空間を目指してお越しになるお客様を迎える、ワンランク上の店舗デザインを目指してはいかがでしょうか?

まとめ

店舗の顔となる「エントランス空間」についてまとめました。看板の大きさ、アプローチの状態、入口扉の変更可否は建物管理方針により異なります。しかしどれも店舗デザインの中でお客様にとって目にふれやすいものです。こうしたデザインの効果が期待できるものはデザイン事務所と相談しながら検討することをお勧めします。


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