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『最長片道切符の旅』を旅する day12 わさあ北上の百姓がんすが

「『最長片道切符の旅』を旅する」は
宮脇俊三『最長片道切符の旅』(新潮文庫)を忠実にたどる記録です。

12日目。前夜、会社帰りに新幹線に乗り仙台入り。始発から「最長片道の旅」開始、のはずが台風の余波の強風で東北本線不通。予定が大幅に狂う。

なんとか郡山からいわき水戸へ下ってそこから反転、また郡山を目指す。また東北本線に戻り、黒磯へ。いよいよ関東に入る。

仙台ー福島ー郡山ーいわきー水戸ー安積永盛ー黒磯

(東京 1824 東北新幹線 2028 仙台)[仙台 0603(強風のため運休)0853福島]仙台 0716 (やまびこ20)0752 福島 0810(東北本線)0858 郡山 0927(磐越東線)1050 いわき 1109(常磐線)1254 水戸 1324(水郡線)1619 安積永盛 1627(東北本線)1723 黒磯

前夜、新幹線で仙台に入ったのは翌日始発で旅を再開するためである。
泊まりは勿論駅前のビジネスホテル。朝早いからいつものように朝食抜きの素泊まり。東北本線仙台始発郡山行き0603に乗るためである。

「乗り鉄の掟」その一、
発車20分前には駅に到着していること。乗ろうとしている列車が遅れている、運休している、混んでいて自由席乗車待ちの列が出来ている(まあ始発ではあり得ないんだけど特急にはあり得る)などの不測の事態があるので、必ず20分前には駅に行くのである。で、その「不測の事態」である。

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仙台ー福島ー郡山ーいわきー水戸ー安積永盛ー黒磯

前夜からの台風崩れの強風で、東北本線東仙台岩切名取岩沼間が不通になっている。ということは始発では郡山までは行き着けないということである。

その場ですぐ時刻表をチェック、新幹線なら7時台の列車でも郡山で予定の磐越東線に悠々乗れることを確認する。新幹線は強い。相当な雪、風、雨でもまず運休することがない。

「乗り鉄の掟」その二、新幹線は安全パイである

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安全パイ

仙台駅でゆっくり朝食をとり、0716「やまびこ20」に乗る。
そのまま郡山まで乗ってもいいのだが、早く着いても乗り換えの時間には早すぎる。なので福島まで新幹線、福島からは本来乗る予定の東北本線普通列車に乗り換える。ま、仙台から福島までワープしたわけだ。
新幹線代、仙台ー福島自由席¥1790也。

仙台ー福島ー郡山

先生は仙台から福島まで特急、食堂車で朝食。先生も私と同じく仙台から福島まで特急、福島で普通列車に乗り換えている。

向かいの席に徳利を二本立てたおっさんがいて、私に話しかける。
「わさあ北上の百姓がんすが」と自己紹介してから、東京の学校を出て結婚したむすめのところへ遊びに行くのだ、というようなことを嬉しそうに話す。

(新潮文庫)

白石蔵王で大きな虹が出た。

郡山駅のホームの駅蕎麦屋。駅員が同僚と蕎麦を食べながらの話。
「今朝はビニールが沢山かかってな、農業ビニールなんだが、往生した」
 それが不通の原因であったか。

磐越東線 (ゆうゆうあぶくまラインはやめてくれえ)
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沿線の柿

磐越東線は何回乗っても地味で平凡な路線である。全く景色に覚えがない。

夏川渓谷は峪沿いに見事な紅葉である。柿の木もたわわに揺れている。
磐越東線は郡山駅から北へ向けて出発した。そこから阿武隈川を渡って
大きく右に曲がり東を目指す。

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いわき駅

郡山 0927(磐越東線)1050 いわき。いわき駅はもともと(たいら)駅と言われていた駅である。先生の本では「平」駅になっている。

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仙台ー福島ー郡山ー平(いわき)ー水戸ー安積永盛ー黒磯

ここから常磐線で南へ水戸まで下る。高萩で正午のサイレンが鳴った。
北海道から東北を乗りつぶしてきてここで関東の茨城県に入る。
とはいえ、すぐにとって返して福島県に戻ってしまうのだが。

常磐線下りは昨夜の強風のため倒木があり大幅に運休、遅れが出ている。
いわき 1109(常磐線)1254 水戸

水戸駅水郡線二番ホームで駅そばを食べる。ホームで食べる駅そばはなんでこんなにおいしいんだろ。天ぷら蕎麦350円。

水戸 1314(水郡線)1619 安積永盛(あさかながもり)。
水郡線は長い(137km)に加えて元々私鉄だったので駅が多い(45駅)ので時間がかかる。乗車3時間。水郡線と飯田線は本当に長くてうんざりする。

水戸ー安積永盛ー黒磯 大きく北へ戻る

水戸からの車内は通学、買いもの帰り、ハイカーで満席である。
西日が強い。袋田でハイカー、観光客がどっと降りる。
常陸大子で後一輌を切り離す。

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水郡線

この先で今日三回目の県境を越す。宮城ー福島、福島ー茨城、茨城ー福島である。
県境乗客数最小法則」というのがあって(私が言ってるだけだけど)県境を跨いでの通学、買いものは全くない。乗っているのは「乗り鉄」だけだ。

これが「路線バスの旅」でも県境を跨いだバス路線というのもほとんどない。まあそれが県境というものだろう。

安積永盛駅直前で踏切非常灯点灯のため緊急停止。
ゆっくり踏切まで徐行する。運転手が降りて確認に走る。
「いたずらだ。上下両線の釦が押されてた」。
郡山総司令から細かく点呼、指示、点検が入る。

踏切警報機
踏切で緊急停止

非常時にすばやく対処出来ることがシステムである。
定時運行するためにはこうした細かい出来事にすばやく対応していくことを毎日繰り返しているのだろう。この後のスジ(運行ダイアグラム)変更、
各駅への連絡、運行中列車への指示、どれほどのことを成し遂げているのか。頭が下がる。ただただありがたいと言うほかない。

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水戸ー安積永盛ー黒磯

安積永盛駅には10分遅れで到着。列車はそのまま一駅先の郡山(7時間前に通ってきた所だ)まで行く。

ここで降りて東北本線上りに乗り換えたのは私一人だけであった。先ほどの踏切事件でダイヤは相当乱れているが、私はこの先の接続列車はないので気が楽だ。20分ほど待って東北本線上り列車に乗る。

このまま小山辺りまで行こうかとも考えたのだけれどもう眠いので黒磯
宿を取ることにした。本日四回目の県境、福島ー栃木を越えた。
明日からは関東の最長片道の旅が始まる。

(写真は一部wiki掲載のものをお借りしました)






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新さんjshin
応援、ありがとうございます。 いただいたチップは次の旅行の切符代にさせていただきます。 次は「ヨーロッパ」「北欧」「東欧」に行きたいなあ。