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コミュニティマーケティングはどんな企業がどんな時に使うべきか?

私はもともとユーザーがコンテンツを作るWebサービス(いわゆるCGM)を運営する会社に在籍していたのですが、そのサービスがコミュニティマーケティングを起点にサービスを8倍近く成長させた様子を目の当たりにしました。

また個人的にもコミュニティマーケティングに興味を持ち、事例を収集したり、コミュニティマーケティングに関するマガジンの運営をしていました。

あと自分が経営者となり、会社の成長させることを考えた際にコミュニティマーケティングが違った見え方になったこともあり、自分の中でコミュニティマーケティングについての考え方が深まっていくのを感じています。

今日はそんな中で考えた「コミュニティマーケティングはどんな企業がどんな時に使うべきか」について書こうと思います。

このnoteで語る「コミュニティマーケティング」について

このnoteではビジネスを成長させる手段としてのコミュニティ活用について論じます。

「コミュニティを成長させる」ことについては主眼においていません。

この2つは似て非なるものです。

もちろんコミュニティを成長させることでビジネスの成長につながるのであればそれは手段として取る可能性はありますが、それだけコミュニティマーケティングの全てではありません。

「コミュニティマーケティング」を使うべきか判断する3つのポイント

コミュニティマーケティングをすべきかどうかを判断する時には3つ+αのポイントが有ると考えています。

1:コミュニティの「火種」の有無
2:ビジネスモデル
3:ビジネス規模の大きさ
+α:顧客の発信度

この3つについてそれぞれ述べていきます。

1:コミュニティの「火種」の有無

コミュニティを作る際に、そもそも企業の顧客が集まる「火種」があるかどうかを確認しましょう。

火種には様々な種類がありますが、2つに大別されると考えています。

・(強烈な)課題解決

ビジネスは基本的に誰かのなにかしらの課題を解決するからこそ価値を生み出せます。ただ、コミュニティの火種になる課題解決にはある種の「強烈さ」が必要です。

例えば楽天。ECサイトとしては圧倒的な大きさを誇っていますが、楽天は「楽天大学」という店舗運営者のコミュニティが存在しています。

楽天に出店している人は基本的に店舗の売上を伸ばすことが命題です。ただ何も知識がない状態だとその方法はわかりません。

そのため、売上を伸ばすために有用なコンテンツを楽天大学では提供しています。

そのコンテンツがこのコミュニティの「火種」になっています。

もう1つまったく異なるビジネスとして「COHINA」も参考になります。

COHINAは2018年1月にスタートした、小柄な女性向けが日常で使える服を提供するファッションブランドです。

小柄な女性にとってずっと解決されてこなかった「似合う服がない」という課題を強烈に解決しています。

このCOHINAコミュニティの勢いを象徴付けるのは、ブランドのInstagramのフォロワーがスタートして2年弱で約10万人もいること。

スタート1年で月商5千万円に到達するなど、「火種」がもはや炎となりつつあることが伺えます。

私が「強烈な」と形容詞を付けたのは、企業の商品やサービスの顧客にとって特別だったり優先度の高い課題が解決されないと、なかなかコミュニティの火種にはなりづらい傾向があります。

なのでそういった強烈さが存在するかどうかは1つの試金石となるでしょう。

・情緒的な価値

もう1つの火種は、情緒的な価値です。

課題解決は「マイナスを0ないしプラスにするもの」ですが、情緒的な価値は「0をプラスにするもの」と言い換えても良いかもしれません。

その商品やサービスを受けることで得られる特別感、優越感、わくわく感、喜び……そういったものは強い火種になりえます。

有名なブランドで言うと「ハーレーダビッドソン」。

あの独特のフォルムや大きさや世界観、各地で行われるイベント、ディーラーを中心とした地域コミュニティなどで、熱烈なファンを増やしつつあります。

日本で言えば「よなよなエール」でおなじみのヤッホーブルーイングも、火種は情緒的な価値と言えるでしょう。

独特な商品名、一般的なビールと一線を画す風味豊かなクラフトビール、ヤッホーブルーイングのビールが好きな人たちが年に1度集まる「超宴」など、商品やカルチャーの特別感があります。

情緒的な価値があるかどうかは、ブランド名を聞くだけで違いが明確に想起できるようなオリジナリティを保持している、ないしそういったブランドになる要素があるかどうかにかかっています。

2:ビジネスモデル

ビジネスモデルにおいて、コミュニティがビジネスの起点になりやすいかどうかを見定める必要があります。

コミュニティを起点としてビジネスを拡大させることは、どんなビジネスでもできる可能性はあります。

ただ、起点になりやすいかどうかはまた別問題です。

コミュニティがビジネスの起点になりやすいのは「BtoB」「CtoC(特にUGC)」のモデルです。それぞれ理由を説明します。

・BtoBモデル

そもそもコミュニティの捉え方にもよりますが、人と人が実際に会ってBtoBは顧客の絶対数が少なく、顧客あたりの単価が高いため、人数が少ないコミュニティであってもビジネスへのインパクトが大きくなりやすいです。

またBtoBはコミュニティ内で交換される情報の価値も高く、その情報を核としてコミュニティができあがりやすい性質も持っています。

SaaS系のサービスがよくイベントやコミュニティを作るのはこういった理由があるからだと考えられます。

・CtoCモデル(特にUGC)

CtoC、特にユーザーがコンテンツを作るタイプのサービス(UGC)は、一部のCによって生成された(広義的な意味の)コンテンツを大半のCが消費します。

そのコンテンツを生み出すCは基本的に自発的にコンテンツを生み出しているため熱量が高く、またコンテンツを作る上での不安や喜びの共有をする欲求が生まれるためコミュニティ化しやすいです。

ちなみにできあがったコンテンツ自体を広めるためにはコミュニティマーケティング以外の手法のほうが有効であることが多いように思います。

ただコンテンツがないとそもそもサービス成長のループを作れないので、コミュニティが起点になりやすいというわけです。

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ここで述べなかったBtoCでコミュニティマーケティングができないわけではありません。むしろ『1:コミュニティの「火種」の有無』で例に上げた企業はBtoCモデルが多いです。

火種の強さ次第でBtoCでも十分にコミュニティマーケティングは機能します。その強さをなかなか定量化することが難しいのですが、顧客と接したときの熱量や動き方から判断すると良いでしょう。顧客のおすすめ度を測るNPSを活用する方法もあるかもしれません。

ただ日用品だと、課題解決に強烈さが薄く、また情緒的な価値を特定の商品だけに見出すことも難易度が高いため、コミュニティマーケティングが機能しづらいです。

3:ビジネス規模の大きさ

扱っているビジネスの規模がどの程度の大きさなのかも重要です。

コミュニティマーケティングはすぐに結果が出なかったり、ビジネス規模によっては相対的に成果が小さいことが多いです。

なのでそもそもビジネスの規模が大きいとコミュニティマーケティングの決裁が下りづらいですし、下りたとしても継続していくにあたって常に結果を見られてしまうため、継続し続けることが難しいです。

このあたりは最初の決裁のとり方も要素としてありますが、よくある「手段ありき」で行われるマーケティングとしてコミュニティマーケティングが始まると、何もかも中途半端になるでしょう。

+α:顧客の発信度

こちらは必須の要素ではないですが、顧客の発信度もコミュニティマーケティングの要素です。

顧客が何かしらの媒体で発信をしているか、発信している顧客数が多いか、その発信に影響力があるかなどです。

コミュニティ内の情報や活動が外に広がっていかないと拡大は難しいです。

決してSNSで発信するだけを指すのではなく、それこそ母親の井戸端会議で雑談をしている、といったものも含みます。

顧客がいかに発信しているかで、コミュニティ外への広がり方が変わってくるため、ビジネスの拡大のスピードも変化します。

このあたりの見極めも必要です。


いかがでしたでしょうか。

今後コミュニティマーケティングをやっていこうとしている担当者の方などはぜひ参考にしてみて下さい。

ちなみに今度、コミュニティ xマーケ・経営のはなしをするイベントに登壇するので、もし興味がある方はぜひいらっしゃってください。



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坂口淳一
だいたいスターバックスで、あえてホットティーを飲みながらnoteを書いているので、ホットティー1杯くらいのサポートを頂けたら、こんなにうれしいことはありません。