メルペイが「日本のキャッシュレス化」を実現しそうだと思うワケ
先日、メルペイの代表取締役である青柳氏が、メルペイ構想についてインタビューに答えている記事が話題になりました。
そこで下記のようなことが語られていました。
特に学ぶものが多かったのはAlipayだ。決済だけにとどまらず、ウォレットを中心とした非常に使い勝手のいい金融サービスアプリになっている。メルカリには強大なユーザー基盤があり、日々のトランザクション(取引)がある。これらをベースに金融ビジネスを手掛けるというのは非常に筋がいいと感じた。
中国のキャッシュレス化に貢献している「Alipay」を非常に意識していることが分かります。
そしてこの記事を読んで少し考えたあと、「メルペイは日本の『キャッシュレス化』を実現するかもしれない」と思えてとてもワクワクしました。
なぜ私がそう思ったか、整理してみました。
ざっくり言うと・・・
・メルペイはすぐにユーザー獲得ができそう
・圧倒的なユーザ数で事業者側を巻き込めそう
・メリカリは「信用プラットフォーム」を作ろうとしている
目次
・メルカリのポテンシャルユーザーは3〜4,000万人
・メルカリユーザーは、どういうユーザーか?
・「ポイント還元」マーケティングが効果的
・利用者が多くなった時に考えられる「2段ブースト」
・取引のデータ=信用データ
・CtoCサービスの先にある「信用プラットフォーム」
メリカリのポテンシャルユーザーは4〜5,000万人
先日、メルカリの全世界のアプリのDL数が1億を越えたという発表がありました。
(引用:メルカリがローンチから約4年半で世界1億ダウンロード突破、ネイマールがブランドアンバサダーに就任)
その中でも日本のアプリDL数は6000万を超えています。
ただ複数のスマートフォンを持っている方や機種変更をされた方もいるため、ポテンシャルとしては3〜4,000万人はいるでしょう。
日本人口の約1/4がメルカリアプリがスマホ内にある状態です。
メルカリユーザーは、どういうユーザーか?
またメルカリはフリマアプリという特性上「安く物を買いたい」ユーザーが多いです。
また売る側も「お金を得たい」ユーザーです。
つまりお金に敏感なユーザーが非常に多いサービスです。
ないし、お金を強く意識するタイミングで使われるサービスであるとも言えます。
「ポイント還元」マーケティングが効果的
そんなユーザーがお金を意識するサービスでは、お金を還元するマーケティングが非常に効きます。
お金をすぐキャッシングする「メルカリNOW」がリリースと同時にサーバーダウンしたことにも象徴されています。(もちろんDMMによるCASHの買収したタイミングと重なった等の他の要素もあったとは思いますが)
今回、青柳氏のインタビューではこのように言われていました。
我々は決済をまず提供する。
このメルペイが提供する決済手段で決済をすると、ポイント還元する…というマーケティングをしたら、メルペイ決済はすぐに広まると考えられます。
通常クレジットカードのポイントは1%程度で、LINE Payが2%なので、3%以上のポイント還元を定常的に実施したり、メルカリ内で使用すると還元率がはね上がる設計にすると、とても効率よく広まるのではないでしょうか。
まだ200万DL前後の時にTVCMでブーストをかけるジャッジができるメルカリグループの経営陣であれば、決済業界を取りに行くために、とてつもなく多額のマーケティング費用をかける可能性は十分にあります。
利用者が多くなった時に考えられる「2段ブースト」
メルペイ利用者数が一定以上になり、またTVCMなどでメルペイの認知度が上がると、オフラインの事業者側も一気にメルペイを採択する可能性があります。
また、インタビュー内で青柳氏はこのように言っています。
メルカリ自体は金融サービスに対し、オープンな姿勢を採る。つまりプラットフォームになっていく。
ここで考えられるのが、事業者側に負担がない形で決済に入り込む形です。
事業者は新しい決済手段を取り入れることがハードルです。
そのため、例えば既存の決済業者と提携する、POSレジ会社との提携といった形で事業者側の負担が無いようにする可能性は大いになります。
すると、メルペイが一気に決済手段として広まります。
これが1段目のブーストです。
もう1つ可能性としてありうる2段目のブーストが「決済情報プラットフォーム」の提供です。
※ここの部分は、私の妄想が大いに含まれています笑
青柳氏はTwitterでこのように述べています。
「さまざまなパートナーとお付き合い」とあります。
このパートナーですが、先程の「既存の決済業者、POSレジ会社」の他にも、「商品データ」を扱うメーカーや小売業といった業界との提携もありうると考えています。
中国では無人コンビニがあったり、飲食店での注文から決済までを全てスマホで済ませることができます。
これはユーザーが何を買ったかを全てスマホに入力し、そこで決済が完了する仕組みがあるからです。
その時に必要なのが「商品データ」です。
この「商品データ」を手に入れ、注文&決済ツールとしてユーザーに提供すると、事業者は「レジ打ちコスト」が不要になります。
人件費を下げるのはこういった小売や飲食店などの至上命題で、特にレジ打ちはセルフレジが増えるなど、レジ打ち人員を減らす動きが既に起きています。
この流れに乗って、中国的な「キャッシュレス」「レジ打ちの削減」が行われる可能性は十分にありうるのではないでしょうか。
取引のデータ=信用データ
この中国的なキャッシュレス社会の実現へのロードマップは、青柳氏のインタビューからも伺えます。
アリババが提供しているサービスにAlipayと連動する個人の信用スコアを算出する「芝麻信用」がある。我々も「信用の創造」は一つのテーマだととらえている。
そしてこうも書いてあります。
メルカリをはじめとする様々なところで購入した資産があり、そこには「所有」と「シェア(共有)」がある。
そう、メリカリは多くの取引データを持ち、また取引元や購入者の評価データを持っています。
ここまで圧倒的な規模で「CtoC x 金銭の取引」のビジネスをやっているプレーヤーはあまりいません。
このデータを活用して、「人の信用度のデータ」を可視化し、日本版の「芝麻信用」を作るのは、決して夢物語ではないでしょう。
CtoCサービスの先にある「信用プラットフォーム」
昨年、メルカリは数多くのサービスのローンチを発表しました。
例えば自転車のシェアリングサービスの「メルチャリ」や、即時キャッシングの「メリカリNOW」などです。
これらも全て「人の信用度の可視化」という目線でみると、1つにつながります。
これらすべてのサービスは「人の信用を可視化し、信用プラットフォームを作る」ことを意図しているのではないでしょうか。
まずはメルカリグループのサービス内にある情報で、信用プラットフォームを作る。
そしてそのプラットフォームを展開し、小売店や飲食店や金融業界に展開していく。
そうすると、その信用を下げないように、オフラインでの決済でも人々が「ちゃんと」行動をするようになる…。
これで中国的キャッシュレス文化の完成です。
まとめ
・メルカリの「お金を意識する時に使うサービス」という特性とマーケティング力によって、メルペイのユーザー獲得はかなりの早いスピードで実現しうる。
・獲得したメルペイユーザーを武器に、小売や飲食や金融といったプレーヤーと連携を一気に拡大させ、「決済プラットフォーム」を作りきる。
・メルカリが展開しているCtoCを中心としたサービスによって個人の信用を可視化し、「信用プラットフォーム」を完成させるのでは。
・「決済プラットフォーム」と「信用プラットフォーム」によって、中国的なキャッシュレス文化が日本で実現するかもしれない。
後半はかなり私の妄想が含まれていますが、考えれば考えるほど「メリペイなら実現できるかもしれない…」と思えます。
もちろん、越えるべきハードルはたくさんあります。金融庁との関係構築・各CtoCサービスの圧倒的なユーザー数の獲得・メルペイ自体のユーザー数の獲得などです。
しかし、全世界で1億DLを突破したメルカリなら、やってくれるのでは…!?
早くキャッシュレス文化が訪れてほしいと個人的に願う身としては、メルペイは応援し続けたいと思います。
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