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ミライの小石04. 習慣化した日常に、プチ儀式を!(Every Day Petit Ritual)

日常の中でテレビや新聞以上に影響力を持ち始めつつあるソーシャルメディア。ただ、同じソーシャルメディアでも、私たちの生活習慣(Habit)に中毒のように働きかけるInstagramやTwitterのようなSNSがある一方で、新興のWordleやBeRealなどのサービスはむしろ日常の中で意識的になれる儀式(Ritual)的な体験を提供している、との論考が発表されました(※1)。
さらにこの記事では、ユーザーにかかる労力・手間(Energy)と意識(Consciousness)という2軸を取って、今後のソーシャルメディアは手間も意識も少ないHabit(習慣)ではなく、手間も意識も必要とするRitual(儀式)を提供するものに人気が推移するのではないかと投げかけています。
では、自分事に置き換えると、習慣と儀式とでは何が違うのでしょうか?

2015年当時、ラグビー選手・五郎丸歩さんがプレースキックの際に取るポーズを「ルーティン(Routine)」と呼んでいたのを覚えていますか?集中力を高めたりするための人それぞれの“定型の所作”が「ルーティン」ですが、同じ定型の所作であっても喫煙や飲酒などは「習慣」と呼ばれ、また冠婚葬祭における定型の所作は「儀式」と呼ばれます。
ちなみに先の記事では「ルーティン」は手間も意識も「習慣」と「儀式」の中間に位置付けられていますが、習慣やルーティンが個人的であるのに対し儀式が集団的だとすれば、ソーシャルメディアが儀式を志向するのはコミュニティ内部の求心力を高めることにつながりそうです。

一方、インドの小さな村で行われている「毎日90分のデジタルデトックス」(※2)は、宗教ではない形でコミュニティ内部の求心力を高める儀式かもしれません。
この村では、毎日19時にサイレンが鳴りますが、それはテレビや携帯電話、その他の電子機器すべてを脇に置くための合図。3000人の住民が雑談しながら食事をしたり、家庭のルールや政治などについて語り合ったり、一人で読書や勉強をしたり。そして20時半になると再びサイレンが鳴って「デジタルデトックス・タイム」が終了するそうです。

デジタルデトックスを個人的にあるいは家庭内・学校内で習慣づけている例はあるでしょうが、この村ではスマホ依存の悪影響に対して問題意識を持った村民らによる各地区の組合が、脱スマホ依存状況やデジタルデトックス効果を小さな祭りのように相互に報告し合っているのがユニークです。
小さな村ですら平坦化しやすい日常の中でデジタルデトックスにプチ断食的な効果があるならば、都市生活における毎日の無意識な行動に対して年に1‐2回のお祭りだけではなく、日々何かしらの制約を与えるようなプチ・ルーティンやプチ儀式は今後もさまざまな取り組みが出てきそうですね。


※1 In the Next Era of Social, Build Rituals, Not Habits - Every
https://every.to/p/in-the-next-era-of-social-build-rituals-not-habits
2023年2月4日閲覧
※2制限=幸福?インドの「毎日19時きっかりにデジタル機器を切る」村 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
https://ideasforgood.jp/2022/11/02/digital-detox-village/
2023年2月4日閲覧

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