漂流教室　No.70「終業式（3）」

早いものでもう4月。
高校の教員を定年退職してから丸二年経ちました。

今頃現場はたいへんでしょうなあ。
やることが山のようにある。
でもね、現場の先生方。
ちょっと見直せばやらなくてもいいことなんていっぱいありますよ。

学級通信って必要？
教室の飾りつけは要るの？
その掲示物、無いと困る？

どうか自分から仕事を増やすようなことだけはなさいませんように。

さて、２年前生徒会誌に載せたエッセイ。
今回で最後の部分です。

　○月△日（日）
　午前中はレイちゃんの籠をお掃除。レイちゃんは我が家のセキセイインコ、純白のメス。数ある雛の中からミイちゃんが選んだ。ペットショップのおやじさんが「たぶんオス」と言ったので、「レイデオロ」の名を借りたんだが、ある日、卵を産んだのでメスだと判明。おやじさん、しっかりせんかい。
「レイデオロ」とはとっても速いオスのお馬さんの名前。妻とミイちゃんが命名した。メスだとわかっていれば「ソダシ」にしたのになあ。
　実はミイちゃんもお馬好き。高校時代、お馬好きの先生に「どんな馬が好き？」と聞かれてこう答えたそうな。
「牝馬（ひんば）ならジェンティルドンナ。牡馬（ぼば、おとこうまともいう）ならゴールドシップなんかおもしろいですね」
　高校生に好きな競走馬を尋ねる先生も先生なら、エラいマニアックな馬名を答える生徒も生徒だな。
　本日のお昼ご飯はホットサンド。フウちゃんがホットサンドメーカーをもらってきて以来、よく作る。具はハム、卵、とろけるチーズ、焼きそば（冷食）、コロッケが定番。レシピ集を見ると他にもいろいろな具材が紹介されている。アボガド、ソーセージ、キャベツ、タマネギ、果ては餡子や蜂蜜。今度やってみよう。
　さて、昼食後は散歩。近所も歩くし、大聖寺、山中温泉、金沢に歩きに行くこともある。犬も歩けば棒に当たると言うけれど、私もうろうろしているといろんなものに当たる。迷子に出会ったこともあれば、携帯や財布を拾ったこともある。あのときの迷子のユウ○ちゃん、元気かな？
迷子と拾得物のおかげで何度も交番に行ったり、警察に連絡したり。こういう場合も「警察のお世話になる」というのだろうか？
　今日は近所をうろうろ。近所なんだけれども散歩する度に新しい発見がある。この家にはこんな木があったのか、とか。この家のおチビさん、もう高校生か、とか。うろうろきょろきょろしていると、おや、あちらから来る車を運転しているのはササ爺ではないか！
（ササ爺が誰だかわからない人はこの学校に５年以上いる先生に聞いてください）
また、鳥を見に行ってきたのかな？
　さあ、散歩を終えて3時からはお馬さん。もちろんwithびいる。これはたまらん。
　応援するお馬さんのご活躍と無事のご帰還、およびお小遣いが増加することを願いながらテレビで観戦。妻は日本酒、熱燗がお好み。だからおつまみは魚系が多い。ご飯前だから、ほんのちょっとつまむだけ。少量だからこそよくよく吟味する。季節に合わせ、気分に合わせ、値段とも相談し･･･。理想のおつまみ選びは真剣勝負。集中しなくては選べない。つまり、あんなこともこんなことも考えずに済む。あんな奴やこんな奴のことも･･･（以下繰り返し）
　お馬さんテレビが終わればもう夕方。今日の晩ご飯はカレーライスにしよう。お馬さんがお小遣いをくれたならすき焼きでも焼肉でもドンと来いだが、今日はカレーライス･･･。
「アルバ」のカレー。アルバの工場へ行くと各種フライものも売っているのでなかなかよろしい。しかしアルバ小松本店がなくなったときはびっくりした。年末に再開してくれて本当に良かった。「清ちゃん」も営業を終えたなあ。もし「モカ」がなくなったらどうしよう。あの明太子パスタは絶品だぞ。洋食屋なのにナマコもうまかったし、鮎の甘露煮もよかったぞ。どうかいついつまでも営業してくれますように。
　というようなよしなしごとを考えながら、食後はワインや焼酎や時には熱燗を舐めつつテレビ鑑賞。ときどきしっぽが生えてきていないか確認する。

アルコールの効果であろうか、なんだか少々眠くなってきた。
　起きているときは憂き世でも、眠ってしまえば太平である。
　さて、そろそろ今夜も不可思議の太平に入るとしよう。
　ありがたい、ありがたい。

　おやすみなさい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Any way the wind blows ･･･

ラストはもちろんQUEENの「ボヘミアン・ラプソディ」から。
「不可思議の太平」とか「ありがたい」は『吾輩は猫である』のラストを借用。

ササ爺は先輩教諭でした。
近所に住んでいるので、たまにお会いします。
今も元気にバードウオッチングに精を出しておられる。
この間、NHKの渡り鳥の番組を見ていたら、タイトルバックにお名前を発見。
すごいなあ。NHKの番組の監修してるよ。

さて、今読み返しても、見事なまでに教員生活を振り返っていない。
まあ、そんなもんを振り返りたくなかったんですな。

今でも思い出したくないことが多い。
でも、思い出してしまうことがある。
あんな奴やこんな奴のことを…
まったく、２年もたっているのにフラッシュバックって、
お前らはバナナ・フィッシュかよ。

何のことかわからない方は吉田秋生さんのご著書（コミック）をお読みください。

で、このときはまさか自分が学習塾を始めるとは思ってもいなかった。
人生何がどうなるやら…

ところで、もうちょっと生徒が増えるといいな。
皆さん、国語が苦手な中高生、身近にいらっしゃいません？
小松市役所裏の「ひふみ塾」、国語の成績アップはお約束しますよ。