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投票日直前のいまだから、 ディストピア小説 太田愛『彼らは 世界に はなればなれに 立っている』
前回、太田愛さんのクライム・サスペンスをおススメしました。
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今回取り上げるのはディストピア小説『彼らは 世界に はなればなれに 立っている』。
さて、「ディストピア」とは何か?
「ユートピア」の逆のことです。
ユートピアが「理想郷」だから「反理想郷」。
「暗黒世界」なんていう言い方もある。
まあ、いずれにせよ楽しそうな世界ではありません。
全体主義のもと、すべての社会活動が国家の統制のもとにおこなわれる。
当然、国家はすべてが順調に進んでいると喧伝する。
そこには犯罪も貧困もない…ことになっている。
市民は指導者に従順で、その為政には疑問も異論も持たない。
個人の自由はないが、もともと個人には「自由」の概念さえない。
でも、やっぱり
「この社会、おかしくないか?」
という人々が現れて…
となるのがディストピア小説です。
ディストピア小説はSFと非常に親和性が高い。
そりゃそうです。
こんな世界が現実にあるはずがない。
だからディストピア小説は近未来小説の形で描かれる。
ディストピア小説の代表といえばやはりこれですね、
『1984(邦題では1984年とも)』ジョージ・オーウェル著。
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お読みになった方も大勢いらっしゃることでしょう。
もはや私ごときがクダクダしくご紹介するまでもない。
ああ、おそろしの世界。
で、『彼らは 世界に はなればなれに 立っている』ですが、
こちらもまたおそろしい。
内容には触れませんが、
エライ人にすべてを預け、選挙さえ放棄しちゃイカン!
ということはしみじみとわかります。
7月10日の選挙、棄権しちゃだめですよ。
できれば『1984』か、
『彼らは 世界に はなればなれに 立っている』を読んでから投票に。
ところで、ディストピア小説ではハッピーエンドはありません。
だって、ディストピアなんだから。
願わくば、この世界がディストピアになりませんように。
あれはSFの世界だけの話だよね?
そうだよね?
ね?