夏のトンネル、さよならの出口
休みの日に友達を誘って、映画を見てきた。メインの公開時期とはかなりずれていたが、気になっていた映画だったので11月でも公開していないか調べたところ、EJアニメシアター新宿で上映がされているとのことだったので観賞してきた。
この時期だったので300席あるうち、全体で20人も居なかったと思う。僕らは上映時間の15分前ぴったりに到着したが1番だった。中で座って待っていると社会人がほとんどだったが、学生4人組が来ていた。
その学生さん達は男女2人ずつのグループで、美男美女だった。アニメ映画を仲の良い学生同士で見に来ている姿は少し羨ましかった。元々静かだった劇場が上映時間になり、完全なる静けさがその空間を支配した。
映画のCMもなく、劇場の注意のみのムービーが流れ、すぐに本編が始まった。アニメとは思えない綺麗な風景と主人公が映し出され、eillさんの挿入歌「片っぽ (Acoustic Version)」が流れた瞬間、劇場にいる全ての人は映画に引き込まれていたと思う。
ネタバレになるので詳しい内容は省略するが、この映画を見て、日本に生まれてきて良かったなと思った。アニメーションの技術や映像はすごく進化していて、本当にすべてが綺麗だった。
歌と映像の組み合わせって本当に素敵だ。良かったら下のeillさんの主題歌とともに見て下さい。
僕が一番この映画で印象に残った場面は、高校生の行き場のない「葛藤」の部分だ。塔野カオルと花城あんず、それぞれ欲しいものがあるが、背景にある事情は異なる。
高校生は赤ん坊のように泣けばどうにかなるわけでもないし、社会人のように全て自分で判断して行動できるわけでもない。板挟みになっている年齢であり、全てにもどかしさを感じる年齢でもある。
特に、他の人が介入して解決しないような事情を持っている人がたくさんいる。そんな時にウラシマトンネル――「そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る」と聞いたらそれに縋りたくなる。
例え何かを引き換えにしてでも。
そんな部分が残酷にも綺麗な形で描かれていたので、すごく感動した。ふと考えた。もしも、ウラシマトンネルが自分の前に現れたら、あるものを失ってでも何かを手に入れたいと思うのだろうか。
中学生の頃の僕だったら、仲の良かった頃の家族を、それ以降の年代になったら何も望まないと思う。自分ではどうしようもない出来事が起きて、それが心に引っかかっているのであればそれを望むのかもしれない。
久しぶりの充実した休日でした。