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コロナ禍で見えてきたマーケティングと営業の適切な連携②

こんにちは。コンサルティング部の平澤です。

前回のポストに引き続き、コロナ禍で私が行った「マーケティングと営業の関係」に関する調査研究の概要をご紹介します。

今回は、調査研究から具体的にどのような傾向がみられたのか、そこから、マーケティングと営業の適切な連携についてどのように考えるべきか、を掘り下げていきます。

調査では、「変化への対応」について下記3つの探求する点を設定し、業種や規模の異なる複数のBtoB企業を対象にインタビューを実施しました。

①    コロナ禍によって企業の活動・取り組みにどのような変化があったのか
②    同じ商材やサービスを扱う企業間や、近い戦略をとる企業間での類似点・相違点
③    顧客の購買段階に応じて企業はどのような活動を行うのか

これらの3つの観点から考察して得られた傾向と、傾向から得られたポスト・コロナに活かせる知見について考えていきます。

まず、①コロナ禍における企業の取り組みの変化について、マーケティング活動・営業活動のプロセスがコロナ禍前からあいまいであった企業や案件発掘・獲得を営業部門が中心となって行っていた企業は、マーケティング部門が担う領域が拡大し、営業部門が担う部門が縮小する傾向がみられ、総じて新規顧客獲得が減少してました。
一方で、コロナ禍の前からプロセスが明確であった企業は顧客獲得を維持や新規顧客の獲得に成功していました。

新規顧客獲得に成功している企業の特徴的な取り組みとして、マーケティング部門がリストアップした顧客に営業部門が対応したうえで、商談が具体的ではない(意思決定・発注に向けて中長期的な育成が必要)と判断した案件については
営業部門からマーケティング部門にその情報を提供し、マーケティング部門と協力して(場合によっては営業部門がマーケティング部門に委託して)案件育成を図るという明確なプロセスがみられました。

次に、②商材やサービスや戦略による企業間の類似点・相違点について、同じ商材やサービスを扱う企業間、すなわち、業界による違いはみられませんでしたが、戦略の違いによって変化への対応とその成果に違いがみられました。
具体的には、顧客に合わせた商品・サービスの個別設計やカスタマイズを行うことを前提としているかによって新規顧客数に違いがみられました。
個別設計・カスタマイズを前提とした戦略をとる企業では、顧客との商談機会が減少したことにより情報取得がむずかしくなった結果、新規顧客数は減少傾向にありました。
一方、標準品の提供や製品そのものの性能向上を図る戦略の企業では顧客数は維持または増加する傾向にあることがわかりました。標準品を提供したのちにその取引を通じて顧客から情報収集し、追加の設計・開発を行うプロセスを通じて案件数を増加させている事例もありました。

最後に、③購買段階に応じた営業活動について、既存取引先を対象とした販売促進活動では、納品(サービス提供)後のサポートにより顧客のさらなる購買行動が促進されることがわかりました。
コロナ禍では、営業パーソンによる対面の商談に代わり、オンラインでの商談や機器修理サポートなどの物理的な対応が顧客との接点となり、次の購買につなげる案件の獲得・育成機会となっていることを確認できました。

以上より、「マーケティング活動と営業活動の連携プロセス設計」と「購買後の顧客との接点の活用」という2つの側面からポスト・コロナでも活用できる知見が得られました。

以下まとめ

【マーケティング活動と営業活動の連携プロセス設計】

マーケティング活動と営業活動の連携プロセスの設計については、部門間での分担・分業を明確にする必要はなく、部門横断での活動の重複を許容しつつプロセスを明確に設計すること、すなわち営業部門が対応した後にマーケティング部門に情報提供し育成活動を任せるといったプロセスを明確に設計することが重要である。
特に育成の段階では、マーケティング部門と営業部門それぞれが重複して顧客にアプローチすることも新規顧客獲得には有効に働きうる。

【購買後の顧客との接点の活用】

購買後の顧客との接点の活用については、購買後のサポートを通じて顧客特有の情報を取得することができるため、追加設計・カスタマイズといった追加案件獲得の可能性が広がる。また、マーケティング部門・営業部門だけでなく、納品後のサポートを担う部門が新規案件の獲得や育成を担う可能性を有しているため、「売ったら終わり」ではなく、購買後の顧客接点を次の購買につなげる機会としてプロセスを設計することが重要である


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