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【味蕾(みらい)を意識して未来を楽しく】
ワインは完成されてからも尚、時間が経過することで「熟成」され、味わいはより奥深いものへと変化していきます。
それがワインの最大の魅力と言っても過言ではありません。
我々人間もまた、年齢を重ねるごとに円熟味が増していきますが、それは外見に限った話ではなく「味覚」も当然変化していきます。
味覚には大きく分類すると、甘み、酸味、塩味、苦み、旨味の五味が挙げられますが、私たちは舌にある味蕾(みらい)という受容体から、それぞれを「味」として認識しています 。
中高年になるにつれて濃い味付けを好むようになっていくと言われますが、これは五味の中でも感度の鈍りを最も自覚しやすのが塩味であるため、優しい味付けの料理を物足りなく感じてしまうからです。
原因は、唾液の減少や栄養の偏り、味蕾数の減少などからくる「味覚の変化」と言えるでしょう。
唾液の減少は、よく噛み時間をかけて食すことで唾液の分泌は促進されますし、栄養バランスも意識(特に亜鉛の摂取)することで改善できます。
しかし、味蕾に関しては、誰しも加齢とともに減少するもので、鍛えたからといってその味細胞が増えるわけではありません。
つまり、味覚の機能自体を高めるというよりは、舌で感じた味わいを脳で分析する感度を高めていくことが大切だということです。
味覚にはもちろん個人差がありますが、大半は味の感じ分けが出来ていないわけではなく、それを形容する言葉や基準がわからない場合が多いようです。
そう、ワインのテイスティングに似ていますね。
料理や飲み物を味わった時に「美味しい!」のたった一言で終わらせるのではなく、
五味それぞれを意識しながら味わい、それを語らうことで、味覚神経は活発化し、食事がより楽しく、美味しいものへと変化していきます。
ワインが熟成によって複雑性を纏うように、
人間もまた、若い時とは違った趣を楽しめる可能性が、食の喜びには詰まっているのです。