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バスの遅延から学ぶこと

昨日のこと
夫、息子、私の仕事が休みで娘の学校が昼で終わり。久々に家族4人で食事に出かけられそうな時間ができてエジンバラまで行ってきた。行きたいレストランと行きたいショーがあった。ショーは娘が学校から帰り準備を済ませ目指すバスにさせ乗ればバス停から5分の移動時間で、ギリギリ間に合う。今回逃したら、今年はもう家族みんなで行くことは不可能で来年持ち越しとなる。全席自由なのでいい席は望めないけど、面白いショーは見れる。でも、結構タイトな時間設定。今回はこのショーを見ることはやめて、次の楽しみに取っておくことにした。レストランに行き、もしちょっとだけパブで楽しむことにした。


郊外の我が家からエジンバラの都心に行くときには必ず公共機関を使う。バスや電車の時間はあるものの時間さえたっぷりあれば十分エジンバラを楽しめる。

電車だと30分もかからない。でも今回はバスで行くことにした。バスは我が家的には安い。夫と子供たち二人はフリーパスを持っている。私のみがバス賃を払う。バスト電車を比べてもやっぱりバスのほうが安い。こういう理由により大抵我が家はバスでエジンバラに行く。

娘が学校から帰り準備をする時間30分。14時前のバスに乗って出かけることにした。マイカーで行けば30分もかからないのだが、我が家の近所のバス停から約1時間。

わたしたちのバス停から次のバス停まで行ければ、高速道路にはバス専用の車線があり、バスやタクシー専用の橋を通るので一般車両に巻き込まれずスムーズにエジンバラにつく。

遅い昼ご飯で早い晩御飯になるので全員昼ごはんは抜いて出発。

バスの遅れ

バスに乗り込み3分もしないうちにモーターウェイ(日本でいう高速道路)に乗るのだが、いきなり入り口で大混雑。過去見たことがないような混雑状況で、車たちがぴくりとも動かない。バスの空気もなんとなく重たくなってきた。暑い・・・。高速バスなので窓も開かない。

ハッと時間を見れば30分も経っている。私は夫にこの渋滞の原因が何なのかを調べて欲しいと頼んだ。スコットランドの人たちは本当に呑気。こんなに30分もバスが動かないのに誰も何も理由を知ろうとしない。こんな時私が日本人育ちであることを感じる。ネットには「朝10時スコットランドの橋でトラックが横転」とあり、その影響が4時間後の今にも及んでいるということだった。なんとなんと・・・途方に暮れる状況だった。引き換えることも不可能、下車も不可能、成り行きに任せるしかない状況。周りの乗客はそんなこと気にせず、おしゃべりをしたりスマホで遊び、本を読んだり、音楽を楽しんでいる。

そのうちバスは徐々に動き始めた。ある程度進めばバス専用の路線がある。そこまで行けばスムーズに行くはず。30分動かなかった車たちがちょっとずつ動き始め、やっとバス専用の車線まできた。あとはスムーズに行く!次のバス停で止まった。

次の問題勃発

ところが、またバスが動かない。バスに乗ろうとする人も「待て」と言われている様子。バスの運転手は理由を言わず「新鮮な空気吸いたい人は外に出ていいよ」と指示。何があったのか聞いてみても「ちょっと待って」というだけ、この段階ですでに1時間ほど過ぎてしまっていた。

乗客に「何があったか知ってる?」と聞いても「さぁ」「よくあることだよ」という反応。本当にこんなことはよくある。バスの故障で「3分待って次のバスが来るから」と、そんなとき大体は20分以上かかるのは普通。「バスの車内の電気が切れた」と電気のない道路で立ち往生したこともたった。動き始めたときには乗客みんなの拍手大喝采で盛り上がった。大雨の降るなか車内に滝のような水が入り込んだことがあり、そのときにも新しいバスを待ったこともある。そもそも、7割方バスは遅刻するのがこの国での常識。

本当に呑気というか、誰も完璧を求めていない。
私はふと、我が家の計画に「ショーを見に行くこと」を組み込んでいたらと思うとゾッとする。3分、5分遅刻どころの騒ぎじゃない、30分経ってもまだ次のバス停についていないこのバス・・・エジンバラに着くことにはフィナーレを迎えているに違いない。払い戻しはしてもらえないというのが今回のショーのお約束だったので無理にでも行こうとしなかったことにホッとした。

さて、バスの運転手は案の定「新鮮な空気を・・・」と言いつつも「バスを下車するようにと促し、次のバスが来るからそれに乗るようにという指示をし始めた」バスの故障でもなさそうだし、運転手は元気そう。何かのボイコットか????バスが30分高速道路で動かなかったことはわかったが、なぜ次のバス停でバスを乗り換えなくてはいけないのかに興味があった。

バスをのりえ変える理由

数人の客が聞いたがバスの運転手は全員に回答しなかったがある客にポロッと言った運転手の回答はこうだった「さっきの渋滞さえなければ、エジンバラまで運転できたさ。でも、俺の勤務時間は渋滞中に終わったんだ。だからお客様には次のバスに乗ってもらうしかない」なるほど・・・

これが、日本なら大問題になりそうな気がしないでもない。「無責任だ」「最後までやり通せ」「自分の任務をなんだと思ってるんだ」「運転と途中で放棄するとは」「残業してでも任務をこなせ」などなど・・・こんな言葉が聞こえてきそうな。ひょっとしたら新聞に載るかもしれない「バス運転手仕事放棄」とか見出しに出てしまうかもしれない。しかし、、、イギリス全般にこういうことは寛容で、国民全体が了解している気がする。

誰もこの運転手を責めることはない。客は全員「了解」と、次のバスに乗り込む。その時のルールとしては、わたしたちのようにある理由で下された乗客がバス停で待っていた客よりも先に乗る。そこはきちんと守るスコティッシュ。

なんと1時間以上の遅延でエジンバラについた。

そしてまた、レストランに着くと昼の部は終わっており、夜の部まであと1時間半待つことになっていた。

もう、みんなお腹が空きすぎておかしくなりそうな状態。しょうがないので、次回行っていようと言っていたレストランまで歩いた。

なんとかそこで食事ができ、食事の後ちょっと楽しみにしていたコナンドイルバブにいけた。

スコットランドは本当に緩い国。完璧には程遠い国なのだが、それでもみんな楽しそうに生きている。

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