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詩「航空戦艦伊勢」、呉大空襲。
昭和20年、3月の終わり
呉軍港を米軍の戦闘機が
空襲をかけた
港には軍艦が多数
その中には軍艦伊勢もいた
港の外れに退避していた
戦争の最後の頃
戦艦は何隻もなかった
港には他に日向と榛名がいた
あと少しの空母と小型の艦たち
米軍の攻撃機は数百機
猛烈に襲ってきた!
なぶり殺しにするのだ!
真珠湾の仕返しだ!
伊勢は燃料がない
浮き砲台として戦う
総員、死ぬ覚悟である!
「対空戦闘用意、主砲三式弾発射!」
「対空砲、噴進砲発射!、対空機銃も射撃開始!」
戦闘が始まる
猛烈に爆弾や至近弾が落ちてくる
大きな水柱が何本も何回も起きる
何回も大爆発が
猛烈な爆風と衝撃音!
そのつど、伊勢の巨大な姿は隠れてしまう
乗組員は粉々に飛ばされていく
アメリカになされるがまま
これが戦争なのだ!
それから暫くして
伊勢の艦橋に爆弾が落ちた!
艦長やその他の人たちが死んでいく
それでも艦は戦闘をやめない
敵は容赦なく襲ってくるのだ!
主砲もまだ盛んに砲弾を打ち上げる!
甲板には死者だらけである
構造物は吹っ飛び
瓦礫の山
それでも巨大な艦は水面の上に
大きな姿で存在している
そこへ襲ってくる爆弾の数々
まだまだ戦闘は続く
爆弾で隔壁が破られた
艦に水が入ってきた
艦が沈み始めた
伊勢はついに港内に着底
もう本当に動けない
彼女は悲鳴をあげていた
それでも戦闘は続く
主砲も盛んに打ち上げる!
ついに終局が来た
艦の電源が確保できなくなった
主砲は発射できなくなる
アメリカも去っていく
第二番砲塔は天を仰いだまま
停止していた
その後、乗組員は退艦する
彼らはその二番砲塔を見て
「伊勢はまだ戦おうとしている!」
そう涙したという
帝国海軍戦艦の最後の戦いであった
「航空戦艦伊勢」
僕は君のことを忘れない
男気のある戦いだったよ
女の子だったけどね
最後まで頑張ったね
君の健闘を称えるよ
安らかに眠ってください
今度、呉に行くからさ♡
了