ストリートミュージック(街頭音楽) in ヨーロッパ
夏、ヨーロッパではストリートミュージック(街頭音楽)によってモノクロの街が色鮮やかな街へと移り変わる。
今回は、ヨーロッパのストリートミュージックの歴史と魅力を少しだけ語ってみよう。
【はじめに】
この2年間(2020年~2021年)ロックダウンの影響でヨーロッパの街はストリートミュージックのない、静かな夏が続いた。
ヨーロッパの暗く・寒く・長い冬が過ぎ、ようやく明るい春から夏になったが、ストリートミュージックのない街はモノクロでフラットだった。
今年(2022年)から規定も解除され、ヨーロッパは再び元の状態に戻ろうとしている。
ストリートミュージックも再びヨーロッパをモノクロの街から色鮮やかな街へと移り変えている。
【ストリートミュージックの歴史 in ヨーロッパ】
ヨーロッパのストリートミュージックの歴史は古く、はじまりは19世紀とされる。
ポルトガルの画家(José Rodrigues 1828-1887)がストリートミュージックの様子を描いたからだ。
そして、同じ時代にパリの街頭でオルガンを奏でる人の写真、イタリアでは音楽家たちのストリートミュージックの様子が絵画として残されている。
ただし、ストリートミュージックが始まったのは、19世紀よりも前という話もある。
それは、ストリートミュージックでよく使用される楽器ヴァイオリンは、16世紀のイタリアで作られたため、その頃から街頭で音楽を奏でていた人々がいたとしても不思議ではない。
なので、ヨーロッパのストリートミュージックの歴史は、本格的にはじまったのは19世紀とされ、約200年以上前から人々に親しまれている。
【ストリートミュージックの魅力 in ヨーロッパ】
(↑ストリートミュージック in ヨーロッパ: ピアノ持参で音楽を奏でる)
ストリートミュージックの魅力は、「自由さ」にあると思う。ストリートミュージックの「自由さ」は、演奏者と聴衆(聞き手)の双方にあるが、今回は聴衆(聞き手)の目線から解説しよう。
理由は、5つ:
①年齢の 自由さ
②レベルの自由さ
③ジャンルの自由さ
④時間の自由さ
⑤目的の自由さ
具体的には…
①年齢の 自由さ
ストリートミュージックは、子どもから大人まで幅広い年齢層が楽しめる。ストリートミュージックに合わせて子どもが踊ったり、歌ったりする姿は、ヨーロッパの街ではよく目にする光景。またベンチに腰かけてストリートミュージックに耳を傾けるご老人もいる。ストリートミュージックは幅広い年齢層に愛されていることが魅力だ。
②レベルの自由さ
ストリートミュージックは音楽の初心者からプロまでが同じ街頭というステージに立つ。ストリートでは音楽のレベルの高さや低さではなく、街行く人たちの心をとらえたストリートミュージックが注目を浴びる。音楽はみんなの物だと主張できることはストリートミュージックの良いところだ。
③ジャンルの自由さ
ストリートミュージックには、様々なジャンルの音楽がある。例えば、クラシック・ジャズ・ポップス・ロック・民族音楽などなど。世界に唯一無二の自作オリジナルソングを聞けることもストリートミュージックの魅力の一つ。
④時間の自由さ
ストリートミュージックは、時間に縛られないため自由がある。時間がある時に足を止めてストリートミュージックを聞けるからだ。休みの日・お昼休みなどにストリートミュージックを楽しむ人々も多い。また日ごと違う音楽を違う時間帯に聞けることも魅力だ。
⑤目的の自由さ
ストリートミュージックは、聴衆(聞き手)の目的も様々。気分転換・音楽を楽しむ・演奏のテクニックを学ぶなどストリートミュージックを聞く理由は自由だ。そして、聴衆(聞き手)の中には音楽界のプロデューサーたちもいる。ストリートミュージックは、音楽界の新人を見つけるチャンスでもあるからだ。そのため、ストリートミュージックは「ダイヤの原石」と表される。
ただし、このような魅力があるストリートミュージックだが、街行く人たちの中には「騒音」「歩行者の妨げになる」と、文句を言う人たちもいる。
そのため、ヨーロッパのストリートミュージックには、「自由さ」の中にも「ルール」がある。
例えば、ストリートミュージックは歩行者天国・広場・公園の前で行われることが多い。
理由は、街行く人たちが止まりやすいスポットを選び、人々がリラックスしているカフェ・店前・公園内は避けるからだ。
また街行く人たちもストーリーミュージックをヨーロッパの古くからの文化として受け入れ、演奏者を尊重するからだ。
ストリートミュージックの演奏者と街行く人たちの配慮と理解がヨーロッパのストリートミュージックを長年支えてきた秘訣なのだと感じる。
なので、ストリートミュージックの魅力は「自由さ」。そして、聴衆(聞き手)の場合は、演奏者を尊重することでストリートミュージックの魅力はさらに増すだろう。
【おわりに】
長い歴史・魅力あるストリートミュージックは、ヨーロッパの街にとって必要な存在。
この2年間(2020年~2021年)の静かな夏がストリートミュージックの存在感をより大きいものにしたことは、言うまでもない。
【おまけ】
ストリートミュージック in ヨーロッパ、3つの動画をピックアップ。
(↑オーストリアのウィーンにて日本人ピアニストによるストリートミュージック)
(↑アイルランドのダブリンにて12歳の少女によるストリートミュージック)
(↑ドイツのニュルンベルクにてオーケストラによるストリートミュージック)