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受験はどのタイミングでするのが一番チャンスがあるのか?中学受験?高校受験?それとも…?元Sピックス講師/室長が答える素朴な質問、第1弾!

はじめに  
受験シーズン真っ只中です。受験生の皆さん、保護者の皆さん、これから受験をお考えの皆さん、受験をしようか迷われている皆さん、はじめまして、そしてお疲れ様です。受験まみれの人生を送っておりますアオイといいます。長い間、小中高生の受験のお手伝いをさせていただいております。現在は無所属なので、このnoteでは正直な情報記事を書く「正直アオイ塾(以下アオイnote)」と言っておきます。

プロフィールにも少し書いていますが、W予備校では高校生や浪人生を、Sピックスでは小中学生を、それとSピックスでは教室長もやっていたので経営にも首を突っ込んでいました。なので塾のウラ話もちょっとだけ…。

WもSも大手なので何かと暗黙の制約があって。だから今「やっと書けるぅ❕」の心境です。僕の場合、塾・予備校にいたときの内部の情報が中心ですけど、他の塾・予備校関係者、雑誌関係者、教育ジャーナリストとの繋がりから得られる情報や、そしてなんといっても学校関係者、つまり現役の学校の先生方からの情報や進学した生徒たちからのパンフには載っていない実情も欠かせませんね。これらの情報が手に入りやすいというのも強みです。加えて学校のホームページやWebサイトを合わせて受験情報を入手していただければかなりの受験情報を得ることになると思います。受験の様々な選択は、正しい情報、正しい知識を得て、その中からお子さんの適性を考え、家族で話し合い、最終的に本人が決定するものだと思います。受験は情報戦です。そんな学校が?選択が?方法が?ルートが?知らなかった、教えてもらってない、等々は受験の後にわかったりするもの。ああ、なんでもっと早くに…、なんてよくあることです。そんなことにならないためにもアオイnoteを参考になさってくださいませ。知らないと損をするのがこの社会、この世の中です。受験もまた同じです。特に受験は子どもの人生を左右する大切なターニングポイントです。ですから、この「アオイnote」で受験の基本的なことから塾・予備校のウラ話や受験の裏ワザ、特にS小では保護者の皆さんからのご質問が多かったのでそれを思い出しながら、また皆さんがたぶんこんなことを聞きたい知りたいだろうなあということをイメージしながら書いていこうと思います。

【タイトルの答え合わせ】
さて、挨拶はこれくらいにして、さっそく第1弾のタイトルで今回のテーマ「受験のタイミング、一番チャンスあるのは?」の答え合わせをしていこうと思いますが、この疑問、実はSピックスにいたとき意外と多かった質問なんですよ。知ってる人にとっては「今さらそんなこと」かもですが、「アオイnote」第一弾はこの素朴なテーマを取り上げました。まさに受験はここから!って感じの基礎知識です。これを知らないと、何となく中学受験とか、何が何でも中学受験とか、まわりがするからうちも中学受験とか、確固たる目的もなく中学受験ばかりに関心が向きがちになります。どの受験がいいという話ではありません。あくまでもチャンスの大小です。それぞれの受験の特徴(難しい点やチャンスポイントなど)も説明しますので、お子さんの受験のタイミングの参考になさってください。
 
「人は人、自分は自分。自分の受験は自分で!」

では、答え合わせです。塾や予備校の入試説明会風(質疑応答の時間)に書くとこんな感じ。皆さんも参加しているつもりで読んでくださいね。

保護者:「アオイ先生!中学受験と高校受験と大学受験ではどれが一番チャンスがありますか?まわ 
    りは中学受験で入っておかないと後になればなるほど入りにく くなるわよ!って言う人が多
    いんです。塾でも言われました。ということは中学受験が一番チャンス大ということです
    か?」
アオイ:「ふつうそう思いますよね。世の中がそんな感じですから。でも大半は中学受験専門塾から
      発信されたものやマスコミの偏った情報によるもので単なる噂にすぎません。中学受験は何
      かと盛り上がるんですよ。小学生の人生初の受験ということでマスコミが黙っていません。
      受験シーズンで毎年テレビカメラが追うのは主に大学共通テストと私立の中学受験の風景 
      す。皮肉にも過激な中学受験ブームを演出する結果になっています」

      「人気や話題性は中学受験ですが、チャンスが多いかと聞かれれば、それはNOです。なぜな
                 ら、中学受験の合格の決め手は学力テスト、筆記試験だから(国立大付属中などの調査書重
      視の学校を除いて)です。試験科目の筆記試験が得意な子には大チャンスですが、そうではな
      い大半の子に多くのチャンスがあるとは思えません。ではなぜ中学受験に集中するのでしょ 
                 か?その原因の一つは後の受験、つまり高校受験や大学受験は中学受験より難しく入りにく
                 いからというまことしやかな噂が未だに蔓延してるからです。中学受験が他の受験よりカン
                 タンだから早めに入っておきたい、早め早めの意識が強いんだと思います。学力や適性が中
                 学受験に合っていれば中学受験も大いに歓迎です。歓迎?いや、そうでもないか、落ちる子
                 がいますからね。落ちて強くなる子はいいですが、落ちたショックから自信を失くし、友だ
      ちは受かったのに自分は…、それを引きずりその後の中学、高校の生活や受験に影響する子
                 もたくさんいますから。親も同じ。そのショックを引きずる方がいます。双方不幸なことで
      す。中学受験がすべて、最後だと思えば思うほど悔しい気持ちを断ち切ることが困難になり
      ます。悔しい気持ちは当然の気持ちで理解できます。でもすべてではないし、最後でもあり                  ません。難関・有名・名門の中学に入ったところで、大学はどうなるかわかりません。就職
                も、人生も。教え子で開成からN大に行った子がいますけど、本人曰く「高卒の方が聞こえ
      がいいから大学名を隠して高卒で行こうかな」と笑い飛ばしてましたが、内心複雑だと思い
                ます。大学が一つのゴールととらえる人にとって中学や高校は通過点。その通過点で燃え尽
     きたり、挫折したり、成績不振のまま大学受験を迎えたりすると何のためにこの中学に?何
               のためにこの高校に?となってしまう。中学受験で上手くいっても、高校受験で上手くいっ
               ても、それはスタートが上手くいっただけ。スタートを失敗しても後半挽回できる。そうい
               う大学受験にしてほしい」

     「中学受験の恐いところは、受験生が小6生だという点です。ここが高校や大学受験と大き
     く違うところです。精神的にまだ未熟な小学生に不合格は想像以上に残酷です。Sピックス
     にいるとき、ま、あの塾は皆さんもご存じのように最難関中に輝かしい合格実績を毎年出
     し続けているいい意味で異常な塾です。あ、すみません、日本一の塾の間違いでした。
     上位クラスは早慶の付属中にすら目もくれず、開成、開成、開成、桜蔭、桜蔭、桜蔭(怒ら
     れるかもですが事実です)を目標としています。そのおかげかどうかはわかりませんが、頂点
               の学校を目指すことで他の学校は見えてくる方式(頂上を極めれば裾野が見えるの発想)が上手
               くかみ合ってあの数字を出し続けているのだと思います。しかし、その輝かしい合格者数の                   陰でその何倍もの不合格者がいます。僕は合格者の数だけ喜び、不合格の数だけ悲しく、不
               安になります。数で言えば、中学受験は悲しみや不安の方が多いんです」

           「中学受験は難しい?カンタン?入りやすい?入りにくい?の関心が先行することは仕方のな
    いことですが、ここはいったん立ち止まって、なぜ中学受験?どうしても中学受験?その後
    の受験じゃダメなの?本当に高校受験や大学受験は中学受験より難しく入りにくいの?チャ
    ンスは少ないの?」

       「いいえ、そんなことは決してありません。中学受験がすべてではないという当たり前のこ
       とを冷静に考えてもらうためにもまずこの誤解を明らかにしておきたいのです。でない
       と、 この異常に加熱した昨今の中学受験ブームはいつまでたっても終息しません」

    「では、その誤解を明らかにしていきますね」
     
保護者:「そりゃ開成出て、N大って聞いたら、何で?ってなりますよ。開成の子のみんながみんな東
                  大じゃないにしてもN大は…、確かに開成卒の方がいいのかも。中学受験で失敗してもまた
                  チャンスがあって、そのチャンスをつかむ努力をどこの学校に進学したとしてもしなきゃい
                  けないってことですね」
    
    「それと今のアオイ先生のお話でチャンス大なのは高校か大学の受験だということ
     がわかりましたよ。すでに絞られましたね(笑)」
アオイ:「ですよね(笑)」
      「あと、今、お母様がおっしゃった中で、「どこの学校に進学しても努力する」ですが、それ
      は最もなことですが、努力するに値する学校を選ばなければいけません。中高選びは大学選
                び、大学選びは中高選びです。大学受験や進学に有利になる学校を選ぶのです。学校選択は
                とても大切です」
保護者:「あと、質問いいですか?テーマから少し外れるんですけど」
アオイ:「どーぞ!」
保護者:「中学受験でチャンスがある小学生って、どんな子ですか?アオイ先生のお考えを是非お聞
     かせください。うち小3の娘がいるんで、これからなんですよ」
アオイ:「わかりました」
     「 ホワイトボードにまとめますね。メモしても、写真撮ってもいいですよ(笑)」

①   作業が速くて正確な子
②   ケアレスミスの少ない子
③   負けん気が強く、本番に強い子

保護者:「これだけですか?」
アオイ:「これだけでもスゴイんです。受験生としてとても可能性を感じる能力です。受験の適性に
       合ってます。この3つが備わってる子はそうはいません。作業や思考・計算が速い子はいま
      すが、正確さに欠けます。ミスも目立ちます。逆に作業が正確でミスの少ない子はスピー
      ドがなくてテスト全体を見ることも解くこともできない。時間が足りないのです。共に高得
      点が取りにくいんです。難問奇問が解けなくても取れる問題を落とさない、ミスをしない子
      は受験に強いです。ただし、超難関の学校はこれだけでは通用しません。でも難関校くらい
      だったら受かりますよ。あと、負けん気はあっても熱しやすく冷めやすい子がいます。悔し
      い気持ちが長続きしない。なので努力の継続が難しい。この負けん気の継続も受験の武器で
      す。高校や大学受験でも必要な武器なんですが、大人に近づくにつれて要領を得て上手く帳
      尻合わせができる子も出てくるので、小6でこの武器が備わっていればかなりの難関中学に
                合格できます。他のもろもろの能力は訓練すれば何とかなります」
保護者:「ありがとうございます。適性については親でもなかなかわからないことがあって…、またの
      機会にでも適性をテーマにしたお話が聞きたいです」
アオイ:「わかりました。準備しておきます。適性を考えることはとても大切です。受験のタイミン
      グを選ぶ際に参考になります。一人で考えるのではなくて、複数の人、特にお子さんをよ
      く見てくれている人(学校の先生、塾の担当教科のすべての先生など)の意見を聞くといいで
      しょうね。セカンド、サードオピニオンって感じですね」
保護者:「よろしくお願いします」
アオイ:「えーと、なんでしたっけ(笑)。あ、そうそう、チャンスの大小の話でした。最初に申し
      上げておきますが、チャンスが大とか小とかは学校のレベルで比べるんじゃなくて(言い方が
      悪いですが、中学も高校も大学もカンタンに入れるチャンス大の学校もあれば、難関でチャ
      ンスが少ない学校もあるので)、受験する子どもの層、レベルで比較したり、受験のシステム
      で比較するのがいいと思うんです。そこが中高大の受験のチャンスの違いなので」
保護者:「わかりました。にしても、受ける層のレベルって中高大で違うんですか?」
アオイ:「ええ、違います。受ける層のレベルが受験の難易度を決めると言ってもいいです。受験者
      数や倍率は二の次です。そのあたりから説明していきましょう!」
    「まず中学受験ですが、中学受験をする小6生は全体の20~30%です。大都市圏だとそ
     れ以上、都内とかになると50%近くになりますが、その多くは優秀です。なぜなら受験
          生の ほとんどが進学塾に通っているからです。因みに通塾率(公文や学習塾ではなく進学塾)
       は22%です。中学受験をする30%の小6生の22%が塾に通っているとみていいこのデ
       ータはいかに中学受験をする子たちの層 が厚く、レベルが高いかということがわかると思
                  います。進学塾に通っている小6同士の闘いでもあるし、大手進学塾同士の戦いでもあるの
                  です。小学生が進学塾に通っているとなぜ優秀かというと、中学受験をする小学生はだいた
                  い小4くらいから塾に通い始め(今は早い子は小1,2から)、テストのノウハウを叩き込ま
                  れるからです。「読むー解くー書く」を繰り返し繰り返しスピードを意識しながら(先生に
                  よってはストップウォッチを使いながら)授業で訓練します。中学受験はスピードが命なの
       で、早い段階から時間を意識させ、体内時計を鍛えます。小4なら小5の内容を、小5なら
                 小6の内容を、そして小6は総合問題(過去問や実戦問題、模擬テスト)をという具合に先取
      り授業で1日も早く入試問題を解く訓練をするのです。そういったテスト慣れした30%の
      猛者揃い。粒ぞろいの子たちが一般受験(筆記試験)でしのぎを削る中学受験は激戦の中の激
      戦と言えます。特に人気の国立大の付属中や公立・私立の中高一貫校、そして難関・有名・
                人気の私立大の付属中などは激戦の極みです。試験問題も難関中になればなるほど記述中心
                になり俄か勉強では到底歯が立たないものばかりです。難関になればなるほど実際の入試問
                題も小学レベルをはるかに超えて高校入試問題より難しく、問題や科目によっ大学入試問題
               より難しいです。難問奇問が多く、十分な訓練と半端ないスピードが要求されます。進学塾
               で訓練を受けてる子とそうでない子の差は歴然といえます。特別に訓練され、試験慣れした
    30%の子たちの間で行われる中学受験にそれほどのチャンスがあるとは思えません」

     ということで、まとめると、

①   受験生の層の厚さ(30%の受験生)とレベルの高さ(進学塾の通塾率22%)
②   入試問題の難しさ
③   加熱する中学受験ブーム

              「 難しさだけですみません」
  

【中学と高校の偏差値表の正しい見方】


保護者:「せんせー!ア・オ・イ・せんせー!」
              「答え合わせをする前にもう一つだけいいですか?」
アオイ:「いいですよ。どーぞ!」
保護者:「中学や高校のランキング表とか偏差値一覧表とか見たんですけど、同じ大学の付属の中学
                と高校を比べると、高校の方が7~10くらい高く出てて、ぜんぜん違うんですよ。あれっ
                て高校受験の方が難しいということにならないんですか?」
アオイ: 「よくあるいい質問です。その手の偏差値表を目にすると高校受験の方が中学受験より難し
                 いとふつう思いますよね。あの表は中学と高校、別々に見ないといけません。中学と高校の
                 偏差値は別物なのです。系列大の付属中と付属高をランキング表や偏差値一覧表で見比べる
                 と確かに付属高の方が偏差値が高く表示されています。実際の中高の偏差値例を出すと、早
                 稲田大学の付属中(早稲田大学高等学院中学部)64、付属高(早稲田大学高等学院)75とあり
                 ます。法政大学の付属中(法政二中)57,付属高(法政二高)69とあります。他の学校も同様
                 で、だいたい高校の方が7~10高く偏差値が表示されています。これだけ見ると付属中の
                 方がカンタンで付属高は難しいってことになりますが、偏差値は受ける層、受験生のレベル
                 が大きく関係します(何度も同じことを言って恐縮です)。受験生の平均点からの隔たりが偏
                 差値となるので、中学受験のように受験生の層のレベルが高いと偏差値は高く出にくいです
                 し、逆に高校受験のように受験生の層が上から下まで幅広いと偏差値は高く出やすくなりま
                 す。ですから57だから易しい、69だから難しいとは単純に言えないのです」

アオイ:「偏差値表の見方、よろしいですか?まわりで誤解している人がいれば教えてあげてくださ
                いね」
保護者:「わかりました。アオイ先生の説明で少し安心しましたけど、最初、表を見たときは偏差値
                が10も違うとさすがに焦りました。10低く表示されてる中学校の方がカンタンだから何
                としてでも中学受験で決めないと!なんて塾の先生と一緒のようなことを言ってました。と
                ても高校受験じゃ受からないって信じて疑いもしませんでした」
アオイ:「よかったです。あの偏差値表を見て中学受験の方がカンタン!と思う人も多いでしょうか
               らね。では、次に大学受験ですが、受験の割合は60%ちょいで中学受験と高校受験の間く
               らいですが他の2つの受験と大きく違う(難しくしてる原因)は全国の現浪の受験生が相手だと
               いうことです。そう、大学受験は北は北海道から南は沖縄まで全国から受験生が集まってき
               ます。さらに浪人生もライバルに加わります。60%の受験生は小6の受験生ほど洗練はさ
               れてないにしても、塾・予備校、そして進学校であればふつうに正規の授業以外に補習や夏
               期講習等のサポートである程度訓練されている60%です。中には大都市圏はもちろん、地
               方でも某大手予備校のサテライト授業が受けられる高校も最近では増えて受験生のレベルが
               上がっています。因みに通塾率は27%。中学受験ほどではありませんが、先ほども言いま
               したが、高校のサポートが強力なのでやはり受験生のレベルは高いです。それに東大京大を
               受ける子は早慶上理や関関同立も受験する子が多いのでライバルになり得ます。やはり受験
    生の層の厚さ、レベルの高さは中学受験と似ています」

            「それとこれはチャンスと難しさの両方言えることなのですが、進学校ではたいてい高2の夏
               頃までに大きく分けて文系と理系(だいたい国立文系、国立理系、私立文系、私立理系が一般
               的ですが、もっと細かく分かれる学校も多数)に分かれてクラスや授業が運営されます。この
              ように大学受験は受験生が枝分かれすることで、専門教科、得意教科の受験競争となります。
              英語がとびきり得意な子もいれば、数学オリンピックに出たような子もいて、共通テストは5
              教科7科目ですが、共通テストを課さない私大や国公立大の二次とかは対象科目のエキスパー
              トが相手になります。特別得意科目のある子にはチャンスとも言えるし、反対に層が厚く高レ
    ベルな受験とも言えます」
             
   「それ以外でも、大学入試の試験問題は全体的に皆難しく、赤本が解けない生徒は途中で諦め
    たりします。難関大になればなるほど、英語も国語(現代文)も読ませる量が半端じゃなく、数 
    学はその思考過程をきっちり書かなければ点にならない、速読と記述の技術が必須になりま
    す」
    
   「でも、そんな難しい大学受験ですが、大学入試には高校入試と同じ筆記試験が免除になる推
    薦入試などの受験方法もありますから一般入試しかチャンスのない中学受験よりかはチャン
    スがあると言えます。国語や算数が不得意でも音楽や体育や美術が得意な子にもチャンスが
    出てくる高校受験と似ています」
保護者:「やはり大学受験は難しいんですね。大学受験が全国区になることはわかっていましたけ
               ど、人気大学ともなると全国から受験生が集まる上に、早慶ともなると東大を受験する受験
               生もいるわけで、改めて大学受験の難しさを意識しました。中学受験は全国区ではないにし
               ても粒ぞろいの受験のプロっ子たちのハイレベルな受験だし、もうこれは高校受験に懸ける
               しかないのかしら?」
アオイ:「チャンスの大小はあるにせよ、どの受験にするかは人それぞれでいいと思いますよ。それ
               ぞれ個性があるし、適性も違いますから。みんなが中学受験とかみんなが高校受験とかそん
               な受験の無個性が気持ち悪いだけで、自分に合った受験やタイミングが必ずあると思います
               よ。まずは正しい受験の知識と情報を手に入れることが先決。手に入れたら手に入れたで、
               迷った り、悩んだりするとは思いますが、それは有意義な時間です。不毛ではありません。
               まずは中学受験にするか、高校受験にするか、大学受験にするかから始めてみてはどうでし
               ょう?大雑把なテーマではありますが、ここから考えてみるのが受験のスタートラインだと
               思います」
             
               ということで、大学受験のチャンスと難しさをまとめると、

【チャンス】
①   60%の受験生で通塾率27%(中学受験よりはチャンス大)
②   推薦入試各種が利用できる。特に指定校推薦は大学受験だけ(高校受験でも明大明治高のように利
       用できる高校が一部ある)に存在する落ちない受験。希望者同士の校内選抜が行われる。ライバル
       は同じ学校の同じ学年の同じ大学を志望している者だけ。大学受験は全国区と言われるがこの推薦
       制度だけは例外。しかも筆記試験が免除。難関で有名で人気の早慶上理以下すべての私大にある受
       験システム(一部の国公立大にも)。この受験システムを利用すればチャンスは大。因みに早慶上理
       をはじめとする私大の推薦合格者数は平均すると定員の5割を超えている。
③   大学の数が多いことや中学や高校受験と違い、学部・学科を合わせれば相当な数の受験が可能。そ
       れだけ合格するチャンスは広がる。
④大学や学部によっては得意な科目で受験(受験科目の選択)できる。

【難しさ】
①     浪人生も含め全国の受験生が相手
②     共通テスト(難関大なら7割←ミスが許されない。国公立大対象の5教科7科目は受験生には負担
         増)を含め、2次試験の入試問題は記述中心でかなり難しい。それ相応の準備をしないと1問目か
   ら手が出ず白紙の答案を出すことも。最難関私大の英語の長文など学校の英語レベルをやってて
   もお手上げ。
③     中学受験ほどはないけれど、受験生全体が塾・予備校・学校の補習等で洗練、鍛えられてる。受
         験生の層も厚いし、レベルも高い上に意識も高い←これが最後の受験、次はない!これで最終学
         歴が決まる、就職試験の有利不利など背水の陣の意識。

 
アオイ:「では、最後に高校受験についてお話します。高校受験は全体の98%以上が受験します。
                これって僕が受験した頃から変わらずこのくらいの高い数字でした。それだけの数の中学生
                が受験するわけですから偏差値70超えの子もいれば30くらいの子も受験するわけで、そ
                うなるととても中学受験や大学受験の受験生の質、レベルとは相対的にレべチなのは明らか
                です。受ける層の幅が広いとそれだけレベルは均等化され受験がカンタンになります。それ
                に高校受験は地域ごとの受験になります。大学受験は言わば全国区の受験、中学受験は少数
                精鋭の受験。この二つの受験に比べたら高校受験が最もカンタンで最大のチャンスであるこ
                とは言うまでもありません。さらに大学受験のところでも話したように高校受験でも推薦入
                試という受験のシステム、選択肢が複数あるのも入試の難度を緩和させています。大学受験
                の推薦は指定校推薦以外は落ちる可能性がありますが、高校受験の推薦は私立の単願推薦は
                もちろん、併願推薦でも落ちる確率は極めて低く、試験も筆記試験免除のところがほとんど
                で調査書と面接と作文くらいです。しかもこの単願推薦(名称は早稲田大学高等学院では自己
                推薦、法政二高では書類選考)、早慶の付属高をはじめとするほとんどの私立高校で行われま
                す。推薦がない高校は都内では開成高や巣鴨高などの男子の超進学校などわずか10校あま
                り。それ以外の私立高校には推薦制度が設けられています。推薦枠も昔のように数名ではな
                く、2桁、3桁です。例えば、「中学と高校の偏差値表の正しい見方」のところで書いた早
                稲田大学高等学院は100名ですし、法政二高は270名です。今や一般と同じかそれ以上
                の高校もあります。このように定員も多い推薦ですが、先ほども少し触れましたが、条件も
     学力試験、筆記試験で力を発揮できない子でも、数英国は苦手でも副教科の内申はいいとい
     う子でも、本番に弱い子でも、推薦の基準さえクリアしてれば面接と作文と調査書で合格で
               きます。早稲田や慶應は2倍くらいの倍率ですが、その他はほぼ1.1倍。中学受験や大学受
               験の倍率とはレべチです。中学受験では不合格だった付属中でも同じ付属の高校では楽々合
    格なんてことは珍しくありません。3年待てば中学受験のときのあの苦労なんかしないで高
    校から入れます」

    「それとこれは推薦ではないんですが、東京には併願優遇という加点制度があります。ほとん
              どの私立が採用してて受験生の多くはこの併願優遇を利用します。なのでまあ落ちません。こ
              のように大学受験と似て、受験方法、システムが多いこともチャンスが広がる要因です」

               「高校の受験について何かご質問は?」

保護者:「ありません。高校も推薦入試がいろいろありそうで、チャンスが広がるんですね。高校入
                 試の推薦の種類や推薦基準、どう利用すればいいのかなど、アオイ先生のご経験、お考えを
                 今度お聞かせください」
アオイ:「わかりました。それも予定に入れておきます」
                 
               「こうやって改めて3つの受験を比べてみると、やはり中学受験は相対的に難しいく、高校
                 受験はチャンスが大きいことがわかります。推薦制度がなく、受験生のレベルが総じて高
                 く、本番の一発勝負の筆記試験でのみ(調査書を参考にする中学は別として)で決まる受験の
                 難しさが中学受験にはあるからだと思います。

というわけで、

入りやすい順に並べるとこうなります。
 

高校受験>大学受験>中学受験


もう答は出てますけど、中学受験、高校受験、大学受験、それぞれの学習指導や進路指導を通して感じた僕の私見とまわりの先生方が口をそろえておっしゃってた話をまとめると、
圧倒的に、

高校受験がチャンス大です。

∗これはあくまでも比較論です。相対的にみて高校受験がチャンス大というだけで誤解のないように!筑駒や開成、日比谷、灘や洛南、北野がチャンス大なわけないし(実際、東大・京大より難しいとも)、慶應女子が日本一難しい女子高であることは間違いない事実ですから。地方だと県内屈指の進学校があって、それが最難の受験というケースもあるでしょう。下手な大学に行くよりその進学校を出てるという方が就職がよかったりするような。それでも高校受験がカンタンと言っているわけではありません。高校受験全体をみたらということでご了承ください。

ということで、答え合わせ終了です。

こんなにチャンスのある高校受験ですが、世間の認知度はとても低いです。地味の一言。受験生も保護者も世間もマスコミもみんな中学受験か大学受験に関心がいきがちだから。中高一貫校が増えて人気が出てきたから。そもそも受験率が100%近くて高校にはみんな行けるという現実。だから特別感がない。受験生がちょうど思春期で親と子で一緒に頑張るという一体感がない。高校受験は欲張らなきゃなんとかなるの意識。実際、僕が中学受験、高校受験、大学受験とそれぞれの受験に関わってみて思うことは、高校受験は中だるみな感じというのが正直な感想です。中学受験のような新鮮味もないし、高校受験が初体験の子でも私大の付属じゃない限り失敗しても大学受験が先にあるという根拠のない余裕。それは子どもだけじゃなく、親も学校も塾も、世間全体がそうだから仕方ないのかもしれません。正直、僕の塾・予備校人生の中で一番盛り上がらないのが高校受験です。地味で人気がなくて盛り上がらないことは否めない事実ですが、チャンスは大です。認知度が低い高校受験こそチャンスやリベンジが潜んでいると思います。

最後に、
中学受験はチャレンジ受験(落ちても気にしない。次の受験の方がチャンス大)、高校受験は大学受験のための足掛かり受験(チャンスは最大、でも慎重に選択。そして高校をうまく利用する)、大学受験はラスト受験(いろんな手法を駆使して決める最後の受験。集大成受験)と勝手に命名しました。

今回のテーマは大都市圏だけに限らず、地方都市でも通じる話です。今一度、高校や大学受験にも目を向けていただいて受験の視野を広げていただければ幸いです。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。お疲れ様でした。


次回「正直アオイ塾(アオイnote)vol.2は「受かった私立中と地元の公立中で進学先を悩んでます」です。


では、次回も「正直アオイ塾(アオイnote)」をよろしくお願いします。

                                      アオイナオ


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