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家族と暮らしているのに、できるだけ音を立てずに暮らしているあなたへ
私は介護士として、日々さまざまなご高齢の方と接しています。そんな中で、とても気になることがあります。
それは「家族と暮らしているのに、できるだけ音を立てずに生活している人」の存在です。
もしかすると、あなたもそうではありませんか?
家族と一緒にいるのに、できるだけ静かにして、足音や物音を立てないように気をつける。
食器を洗うときも、椅子を引くときも、そっと音を殺すようにする。会話の声も控えめにして、必要以上に話さない。そんなふうに日々を過ごしているのではないでしょうか。
もし、あなたがそうなら、その理由は何でしょう?
「家族に迷惑をかけたくない」
「自分の存在をできるだけ小さくしたい」
「邪魔だと思われたくない」
もしかすると、そんな気持ちを抱えているのかもしれません。
あなたは、そこにいていい
私が介護士としてお会いする方々の中にも、家ではできるだけ静かに過ごしていたという方がいます。
あるおばあさんは、こんなことを話してくれました。
「息子夫婦と一緒に暮らしているけど、できるだけ迷惑をかけないようにしてるの。朝起きるのも、そーっと。歩くときも、音を立てないようにゆっくり。だって、お嫁さんが嫌がるかもしれないし、孫の邪魔になりたくないから。」
でも、そんなふうに暮らしていると、いつしか「自分はこの家にいてもいいのだろうか」という気持ちになってしまうことがあります。
家族に気を遣うあまり、自分の居場所を見失ってしまうのです。
私は、そんなあなたに伝えたい。
あなたは、そこにいていいんです。
音を立ててもいいし、話をしてもいい。
あなたが存在することは、決して迷惑なんかではありません。
なぜ、音を立てることを遠慮してしまうのか
年齢を重ねると、どうしても「遠慮する気持ち」が強くなることがあります。
特に、昔から「お年寄りは静かに」「子どもや若い人の邪魔をしないように」と言われて育った世代の方は、家族と一緒に暮らしていても自分の存在をできるだけ小さくしようとする傾向があります。
でも、よく考えてみてください。
あなたが若いころ、おじいちゃんやおばあちゃんが家にいて、「自分は邪魔かもしれない」と遠慮しながら生活していたら、どう思いましたか?
「そんなこと気にしなくていいのに」
「もっと自由にしてくれたらいいのに」
きっと、そう思ったのではないでしょうか。
今の家族も、きっと同じです。あなたがそっと静かに生活することを望んでいるのではなく、一緒に普通に暮らしてくれることを望んでいるはずです。
少しずつ、「音を出す生活」をしてみませんか
「いきなり変えるのは難しい」と思うかもしれません。
でも、ほんの少しずつでいいんです。
たとえば、今まで家の中で足音を消すように歩いていたなら、ちょっとだけ普通に歩いてみる。
食器をそっと置いていたなら、少しだけ自然に音を立ててみる。
家族と話すときに控えめな声だったなら、少しだけ大きめの声で話してみる。
そんな小さなことから始めてみてはいかがでしょうか?
家族の反応を見てみてください。きっと、何も問題は起こらないはずです。
むしろ、あなたが普通に生活してくれることを喜んでくれるかもしれません。
あなたの存在は、家族にとって大切なもの
私が介護の仕事をしていて感じるのは、「家族と過ごす時間の大切さ」です。
施設に入所された方のご家族が、よくこんなことを言います。
「もっと一緒に過ごせばよかった」
「もっと話をすればよかった」
「もっと親の存在を大事にすればよかった」
家族は、あなたの存在を大切に思っています。
今は照れくさくてうまく伝えられないかもしれませんが、それでも「一緒にいてほしい」と思っているのです。
だから、どうか自分の存在を小さくしないでください。
あなたの声を、あなたの足音を、家族に聞かせてください。
それが、家族にとっての「安心」になることもあるのですから。
最後に:あなたが「生きる音」を聞かせてほしい
「音を立てない生活」というのは、言い換えれば「自分の存在を消そうとする生活」です。でも、あなたは消えるべき存在ではありません。
あなたには、あなたのままで生きる権利があります。
どうか、遠慮しすぎないでください。
あなたの「生きる音」を、家族に聞かせてください。
それが、家族にとっての「幸せな音」になるかもしれません。
今日から、ほんの少しだけ、「音を出す生活」を始めてみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございます。