初恋
「飛行機にはV1という速度がある。
運命を分ける速度。
この速度以下で助走している間は途中で離陸を中止できる。
けどV1超えて走り出したら、何があっても飛ばなきゃならない。
人生には多分、そういうジャッジの瞬間が何度かある。」
初恋というドラマを見返していて印象に残ったラインのひとつ。
例外なく私たちの人生にも多分、そういうジャッジの瞬間が何度かある。
この初恋というドラマで晴道がこのセリフを口にしたとき、晴道はすでにV1を超えて走っていたと思う。
彼にとってのV1は東日本大震災のあの日、もうどこにも行かないと誓ったあの時、その瞬間。
そこを超えてしまったら誰かを傷つけてしまう瞬間、それが私たちの人生におけるV1というジャッジの瞬間。
私はだいたいその瞬間に気付けない。
気付こうとしてない。見て見ぬふりをしている。
とくに、人間関係において。
もうずいぶん前にV1を超えて走りだしてる飛行機を無理矢理止めようとしてしまう。
そうして、いろんな人を傷つけてきた。
飛行機のV1みたいなジャッジの瞬間、人生には逆向きもあるんじゃないかと思ってしまう。
たとえば、もうとっくに終わっている人間関係に縋り付くこととか。
これ以上はお互いにとって良いことないよな〜っていう関係を終わらせられない。
私はいつもそうやってジャッジの瞬間から目を背けて生きている、自分だけは傷つきたくないから。