【ドラマ感想】エルピス-希望、あるいは災い-#2女子アナと死刑囚
このドラマ、攻めてますね〜⚔
脚本家さんと長澤まさみちゃんということで見始めましたが、確実に攻めてます。
取り扱うテーマが冤罪。濡れ衣を着せられた受刑者。その影には巧妙に隠された真犯人がいる。
被告が自白に追い込まれるさまは、人間らしい扱いを受けることなく人としての尊厳など皆無の世界。
この時代にそんなことが起こるのか?と思うが、
いや現実に起こっているのだ。普段の生活からは思い及ばないことにもこのドラマは気付かせてくれる。
そして巧妙に隠された罠に異を唱え、否定されても立ち向かう人たちの物語。
2018年、八頭尾山で新たな殺人事件が起こる。このときに被告人の刑務所の中での様子が映し出される。
冤罪によって起こる大きな罪は二つ。無実の人が罪を負うことと、真犯人が新たな犯行に手を染めること。前者のみならず後者が起きてしまったようだ。
そこで恵那はフライデーボンボンのコーナーで取り上げるべく、制作会議で提案するが、男性ばかりの制作首脳陣の反対で連続殺人事件の特集は取り上げられず。
視聴率低め安定で冒険せずにお給料をもらってやり過ごすチームメンバーたち。それぞれ訳ありまたは期待値が低いのでこの番組に流れ着いたか。
いつか大化けして事件の真相究明を恵那と共にやってくれないかなあと密かに期待してしまう。
メイク担当の大山さくらと恵那が話をする。
さくらは死刑囚となった松本が罪を犯したとはどうしても思えないという。なぜなら事件のあった2006年11月18日はさくらの14歳の誕生日だった。
その日のことを中学生だったさくらははっきりと記憶していた。ゲーセンでメダルが無くならず帰りが遅くなったこと、帰り道でカレーのいい匂いがしたら
おじさん(松本死刑囚)がカレーを作って待っていてくれたこと、ショートケーキをさくらの為に買ってくれたこと
チェリーさん(さくら)が集めて来た裁判記録によると犯行当日の松本さんの行動が弁護側と検察側で大きく違っていた。
午後5:03に仕事を終えてから帰宅するまでの時間の過ごし方だ。
カレーの材料を調達するためにスーパーへ寄り、5:40ケーキ屋でショートケーキを買い、5:50頃帰宅して1時間かけてゆっくりとカレーを作ったという弁護側主張。
一方でケーキを買うまでは同じだが、そこから4.8キロ離れた八頭尾山に自転車で向い、
午後6:00頃到着。下校中の中学生被害者に声をかけ山中に誘う。午後6:35頃、松本が逃げるように走ってきて自転車に乗って去って行ったとの、近隣住民の目撃証言有。そして6:50帰宅。カレーを作り、午後7:00過ぎ少女が帰宅。以上が検察側主張。
ほかにも幾つも主張の違いがあり、恵那は担当したマスコミ嫌いだという木村弁護士のもとを訪ねる。
木村弁護士に恵那は松本被告が無実だと思うか問うと
その点に迷いはなく、松本氏の自供はマスコミがバラまいたロリコンというインチキな報道と、
そのインチキ報道によってあおられた警察によって強要されたもので間違いありませんと答える。
恵那は松本さんに読んでほしいと一通の封書を木村弁護士へ託す。
事件から手を引くと言っていた岸本だったが、恵那の様子が気になり「国家権利と闘う覚悟はないが浅川さんが闘うならお手伝いくらいなら」と申し出る。
恵那は自分と同じように犯行当日の動きを岸本にも再現してもらう。
八頭尾山から自転車を飛ばせば10分で松本さん宅には着くがケーキがぐちゃぐちゃになるから、このスケジュールはあり得ない、と岸本は恵那と同じ結論を出す。
恵那のもとに松本氏からの手紙が届く。
面会したいのは山々だが、死刑囚は家族と弁護士以外の面会が許されていない。
誓ってお嬢さんたちを殺めたりなどしていない。
自分が警察から目をつけられ始め、ある朝連行され、狭い取調べ室のなかで、罪を告白するように執拗に追い詰められた。
肉体的にも精神的にも昼夜問わず。そしてついに
「許して下さい」と言ったことが、自白の代わりとなった、としたためられていた。
恵那宅。5年目の住まいだというのに家具類など何もない。断捨離したという。
岸本を呼び、検察側の主張通りに作ったカレーを出す。まずい、じゃがいもも人参も固い、と岸本。6:50に帰宅してわずか10分くらいの調理時間ならこうなってしまう。火が通らない。
恵那も一緒に食べるように誘われて一度断ったが、やはり食べ始める。慎重に。
岸本が正義のために行動するって気持いいですよねと言ったところ
「いいこと言えば言うほど嘘っぽい、人が嘘ついているときの声と本当のこと言ってるときの声は変わるんだよ。だから私たちはまず発声の練習をするの」と恵那は言い、
アナウンサーとして身につけた発声法を披露する。その発声に素直に感嘆する岸本だが、
そのあと「こいつと一緒だとカレーが食べれるらしい」と恵那が呟いている。ひとときの平和なシーン。
恵那は摂食障害だったのか。小手先のテク〜のくだりは、岸本のみならず
アナウンサーの技術を身に付けた立場の自身に言い聞かせているようにも聞こえてしまった。
その日の夜、岸本は悪夢にうなされる。いじめによる自殺か。遺影があったので本人ではなくクラスメイトなのだろうか。。
恵那は斎藤の車のある地下駐車場に呼び出される。
捜査の初期、地元住民たちによる証言
「ロン毛の20代くらいの長身の男が女の子と山の中に歩いて行った」というVTRを恵那に見せる。
捜査の途中から犯人は松本という方針に変わったようだと。
わざわざ時間を割いてもらったのが悪いのでと斎藤を部屋に呼ぶ恵那。
スキャンダルのとき恵那を守れなかった自分が無責任だったという斎藤。
斎藤はお互いが認めるに、不誠実で無責任な相手だったそうだ。
心は残りながらも、元には戻れないふたり。まだ明かされてない事情や背景がありそうだ。
恵那は木村弁護士に当初目撃情報のあった男の録画を見せる。
こういった証言を途中から急に翻したマスコミを毛嫌いする木村弁護士に、真摯な姿勢でマスコミ界を代表して詫びを伝える恵那。
そしてキャスターとして仕事を始めた頃の抱負を語る。
走る恵那の姿。それまでに読んだニュースが思い起こされる。
東日本大震災による福島原発事故の汚染水問題のあとから東京オリンピック招致まで。恵那も笑顔で子どもたちと招致を喜んでいる。
よくあるドラマなら、実際の事故事件名とは変えて作られる。ここで事実上の出来事を入れて来た。元総理の写真まで。話のリアリティを増すためにか。
言い表しようのない違和感から逃れるように走る恵那の姿。
おそらく八頭尾山。12年前の事件の遺体発見現場にて。
ぬいぐるみなどが手向けられている場所を岸本が一人でカメラ撮影。そのとき何者かの影が。
岸本も気配を感じる。
職場でそのことを恵那に話すが、猪じゃない?と言われたタイミングで「死刑囚3人の死刑執行」というニュース速報が。
木村弁護士の声がよみがえる。
〜この国の死刑はいつ執行されるかも順番もないって知ってますか?なんかようくまとめてされたりしてるでしょう、ゴミでも捨てるみたいに〜
うむむ。死刑執行はそのときの法務大臣によって決められる。日本ではその日の朝、受刑者に告げられる。
恥ずかしながら今まで深く考えなかったけれど、この死刑制度というものも改善の余地や話し合うべきことが沢山ありそうだ。
ドラマは現段階で2018年。現在ではない。
さらに実社会の動きと絡まって展開しそう。
浅川恵那は真実の追求するあいだに、権力側にとって触れてはいけないとされるものに触れてしまったのか。
それでも摂食障害のようになっても、折れ切らないで生き延びている。
違和感を感じるものに嫌悪を覚え、生理的に受け付けない。
病気になるというのはある意味、体を張った自己主張だ。「私はこのことを受け容れられません。甘じません」と。
大きなものに立ち向かうことは困難だ。だけどどうか力を合わせて、自分たちを信じて真実を追求していってほしいと願う。
どうか恵那たちの情熱の火が燃え続けますように🔥
攻めたこのドラマを作る方たちなので、登場人物たちもやってくれそうな気がします(楽観的かな)。
次回も楽しみにしております❣️