ドラマ「何かおかしい2」第1話「てるてる坊主」について考察・感想
ドラマ「何かおかしい2」第1話「てるてる坊主」ネタバレあります(最終回含む)。
オビナマ復活! 赤いてるてる坊主というアイテムと特別な日の復讐はシーズン1の第1話「おしゃべり人形」を彷彿とさせて、前からのファンにはたまりませんでした。
さて、この回への上村さんの関与について検証していきます。
復讐の首謀者は上村さんと、石井日明さんの婚約者。協力者として河園組の面々。
この先、区別のために亡くなった若手構成作家さんを漢字で日明さん、日明さんの名前でオビナマにメールした婚約者さんをカタカナでアキラさんと表記します。
ターゲットは河園監督と田中シューさん。
動機は
田中シューさんに対して、
アキラさん→恋人の仇
上村さん→弟の仇
河園監督に対して、
アキラさん→自身と仕事仲間がハラスメントを受けた恨み
上村さん→直接の被害を受けたことはない。義妹になるはずだったアキラさんへのハラスメントに怒りを覚えている可能性。また、河園監督を使えば注目を集めることができ、田中シューさんへのダメージを大きくできるメリットがある。
ただし、番組中でアキラさんは「覚悟を決めました」と言っており、迷いや中止の余地があった様子。そこで復讐計画と、ターゲットが「何かおかしい」に気づいて復讐を回避できた可能性について、順を追って見ていきます。
①オビナマを復活させる(by 上村さん)
田中シューさんがオビナマneoの企画を持ってくる → 企画が採用される → 上村さんがプロデューサーになる、という流れだったようです。
最終話で上村さんが日明さんの復讐のためだけにオビナマワイドneo を作ったことがわかります。しかし、表向きは田中シューさんが企画を持ってきてオビナマは復活したことになっています。田中シューさんは盗作の常習犯です。上村さんが田中シューさんの後輩に企画案を渡していたのではないでしょうか。それを田中シューさんは自分の名前で提出した。
ここで田中さんにとって1つ目の回避ポイント。盗作問題で日明さんを自殺に追い込んだ後も盗作を続けていたことがはっきりしてしまいました。オビナマ復活案を自身の名前で出さなければ……。
曰く付きの番組が復活できたのは田中さんのネームバリューのおかげもあると土屋Dが話していました。盗作によって、図らずも自分を対象にしたリベンジ計画の舞台を築いてしまったわけですね。
②赤いてるてる坊主を河園監督に渡す(by アキラさんと河園組の仲間たち)
アキラさんたちが河園監督に赤いてるてる坊主を渡すようになったのは、比較的最近のようです。新作「棘の雨」を撮っている頃からでしょうか。
「棘の雨」は性被害に遭った女性が声を上げて闘うストーリーだそうです。棘の雨=ハラスメントだとすると、ハラスメントに反対と言いながらハラスメントをしている河園監督は「雨を止ませると言いながら止ませられなかった」というてるてる坊主の元となったお坊さんそのもの。皮肉。
河園監督の回避ポイントその1。ここでスタッフたちのメッセージに気づいていれば……。
③田中シューさんに河園監督をゲストとしてオビナマに呼んでもらう(by 上村さん)
河園監督は長年の友人である田中シューさんたっての頼みで出演を決めたそうです。
河園監督は日本を代表する映画監督。出演依頼は相当骨が折れたことでしょう。田中さんの性格からして、ただでそんな面倒なことはしないのでは。
おそらく田中さんは、上村さんから河園監督に何か「サプライズ」があると聞いていた。番組的に美味しいサプライズ。ただし、詳しい内容は知らなかった。
だから嬉々として河園監督をゲストに呼んだ。ここも回避ポイントですね。呼ばなきゃ良かったのに……。
④アキラさんが「石井日明」の名前でメール&相談コーナー出演(実行:アキラさん、補佐:上村さん)
「石井アキラのメールでお願いします」というメモを書いて土屋Dのところにおいたのは上村さん。アキラさんのラジオネームは「石井日明」で、知らなければ「アキラ」とはなかなか読めません。ここでも2人の繋がりがわかります。
アキラさんは番組内の相談コーナーで河園監督と田中さんに揺さぶりをかけています。
・特徴的な「日明」の漢字表記を丁寧に説明(田中さんが自殺した後輩を覚えているか確認)
・恋人が上司に手柄を取られたエピソードを語る(河園監督や田中さんのパワハラや盗作に対する認識を見る)
上村さんも2人の様子を窺っています。
まあ、田中さんは日明さんのことを憶えていなかったし、盗作を反省していなかった。河園監督も自身がハラスメントをしているという意識がありませんでした。あまつさえ泣き寝入りしないよう声をかけています。自分の運命を自分で決めてしまったわけですね。なんて皮肉。
憶えていれば、罪の意識があれば……(回避ポイント)。
⑤マジカルウラオモテチャンス
赤いてるてる坊主というハッシュタグで「マジカルウラオモテチャンス」という投稿がなされます。アキラさんは河園組のメンバーとして中継先でカメラに映っているので、投稿したのは協力者である河園組の誰かか上村さん。
それを元に河園監督にハラスメントの話を、田中さんに盗作の話を振るよう、上村さんが仕向けます。
2人ともちょっと焦る様子を見せますが、どうにか取り繕いました。それを聞いてアキラさんは「覚悟を決めました」と言いました。復讐の最終段階を実行する決心ができたのです。
自白してもしなくても、最終的に悪事は明るみに出ますが、自首の方が世間の目はまだマシだったでしょう。それに投稿には「告白したら許す」と書かれています。河園監督の場合、告白したら河園組はそのまま監督のもとに留まるつもりだったのかもしれません。田中さんの場合、日明さんの自殺のくだりだけは黙っているつもりだったのかもしれません。
しかし、2人はせっかくのチャンスを逃してしまいました。河園監督にとってはここが最後の回避ポイントになります。
⑥ハラスメントと盗作の暴露
河園組から河園監督へのサプライズの準備が着々と進みます。オビナマスタッフは不穏さを感じ取りますが、田中さんは番組的に美味しいから、とスルー。ここが田中さんにとって最後の回避ポイント。友人を番組に売らず、中継を止めておけば……。
まず河園監督のセクハラとパワハラの証拠映像がポップな演出で公開されます。次に田中さんの盗作と日明さんの自殺が暴露されます。2人は完全に失脚。業界人生命は絶たれたと言って良いでしょう。
というわけで結論。
・今回の件は上村さんとアキラさん、河園組の面々が河園監督と田中さんの悪事を暴露して復讐するために計画した。
・復讐を遂げるには若干の迷いあるいは良心の呵責があったため、ターゲット2人をいくつかのポイントで試した。
・2人に罪の意識も反省の色も窺えなかったため、悪事の数々を白日のもとに晒した。
初回からフルスロットルでしたね! 見れば見るほど加害者の卑劣さと、あったかもしれない別の結末が想像されて構成の妙に唸ります。「何かおかしい」という違和感は大事。
お読みいただきありがとうございました。
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