エリート主義の厳しいフランス教育と日本の教育、どちらが幸せ?
フランスの教育における特徴的な点は、上位1%のエリート層が国の経済を動かしているという厳しい現実です。フランスは非常に格差社会であり、学歴が全てを決めるエリート主義が深く根付いています。日本でも学歴社会と言われますが、フランスのシステムはその比ではありません。学歴がすべてを決め、挽回のチャンスはほぼ皆無です。
例えば日本では、ミドルクラスの大学に進学したとしても、その後に経験を積んで挽回することが可能です。大学時代に何かに熱中していれば、企業がその努力を評価してくれる場合もあります。さらに、新卒で希望の企業に入れなくても、数年の経験を経てキャリアを築くチャンスも多くあります。
一方でフランスでは、最初の学歴がほぼすべてです。そこから覆ることは極めて稀です。高校進学率が日本ではほぼ100%であるのに対し、フランスでは約70%。中学卒業も国家試験があり、合格できなければ高校へ進学できないというシビアな制度が存在します。加えて、小学生でも留年があり、幼少期から徹底した選別が行われます。まさに厳しい学歴競争社会です。
格差が反映された経済状況
この社会構造はフランスの経済にも反映されています。フランスの人口は約5000万人と比較的小規模でありながら、GDPは世界7位です。一方、日本は人口約1億人でGDPは3位。フランスは、上位に位置するエリートでなければ豊かな生活を送るのが難しい格差社会であり、失業率も高め(7.5%)です。これに対し、日本は中位層でも安定した生活を維持できる点が特徴で、失業率も低く(2.7%)、社会全体が比較的豊かであるといえます。
フランスの子どもたちの強さ
私の子どもたちは現在フランスの学校に通っていますが、そこで感じるのは女の子たちの強さです。ママ友たちもみな同じことを口にしますが、本当に女の子たちが強い。成熟しているし、自己主張が強い。物がなくなることも日常茶飯事で、「盗られるような物を持ってくる方が悪い」という考えが彼女らの主張なようです(こういうとこがフランスらしい。人間らしく憎たらしい、笑、)。
一方、フランスの学校が長期の夏休みに入る間子ども達は日本の学校に通うのですが、よく「日本の子どもたちはみんな優しい」と言います。多少意地悪な子がいても、フランスの基準に比べればずっと優しく感じるのだそうです。苦笑。
フランスの教育の自由さ
しかし、フランスの教育には自由さという大きな魅力もあります。子どもたちは好きな服を着ることができ、タトゥーシールも貼れるし、髪も染められる。ランドセルもなく、好きなリュックサックが選べる。好きな鉛筆、シャーペンも持って来られる。この自由さが、子どもの自己表現の場として機能している面もあるのかもしれません。
ただし、これも一方で貧富の差が露骨に現れる要因にもなります。裕福な子は全身ブランド物で登校し、持ち物の違いが顕著になります。日本の学校の均一性は、一見息苦しく不平等にも見えるかもしれませんが、貧富の差を隠し、優しさを感じさせる部分があるとも感じます。
アートに満ちた毎日
もう一つフランスの学校の特色といえば、アートに溢れた生活でしょう。日々、子どもたちが学校で制作した作品や描いた絵を見ると、やはり色彩感覚が独特だと感じます(フランスの学校のアートの時間の多さ…!)。芸術が日常生活に溶け込んでおり、これもまたフランスならではの教育です。
自立を育む教育
さらに、フランスの学校では、小学校1年生から林間学校に2泊するというプログラムがあります。出発前に泣く子も少しはいるものの、ほとんどの子どもたちは自立心が強く、これもまた彼らの成長の一環とされています。フランスの子どもたちは、自立性が非常に高く、早い段階で大人の世界に適応するような教育がなされていると感じます。(一方で早い段階で大人になるよう育てられ、子供で居る期間が短いのかもな、とも思ったりもします)
このように、フランスと日本の教育にはそれぞれ異なる特徴があり、どちらにもメリットとデメリットが存在します。フランスは厳しい競争社会ですが、その一方で自由な自己表現やアートに触れる機会も多く、自立を促す教育が行われています。
これまで、フランスの教育システムにおける厳しさと自由の対比をお話ししましたが、次回はさらに掘り下げて、フランス社会に根付いた格差や、子どもたちが実際に直面している現実について詳しくお伝えしたいと思います。上位1%のエリートが握るフランス経済の背景と、子どもたちがその中でどう自立し、未来を切り開いていくのかを考察していきます。
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