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宗教や信仰についての雑記 #211

◯交渉

時々、企業間やスポーツ選手とチームとの間での契約交渉のニュースを耳にします。
それらには常に、力関係による交渉力の不均衡が存在するようで、それを是正するために様々な取り組みがなされているそうです。

この交渉力の不均衡ということについて、神と人間との契約においてはどうなのでょう。
神と人間との力の差は絶対的なもので、人間の側には交渉の余地など全くないかのように思えます。
しかし人間は、日々の苦悩に耐えて信仰を保つための知恵や力や勇気を授けてくれるよう神に祈ります。それが心の支えとなることはよくあることのようです。
そのような祈りを人間の側の神への交渉とみなすこともできるように思います。

このような「交渉」を通して人間は、自己を深く見つめ直して、己の弱さや強さを改めて認識することでしょう。
その経験が他者への寛容や受容をもたらし、宗教間や宗教と社会との間の交渉へとつながるのではないかと、そんなことも期待します。

しかし現実には、宗教間や宗教と社会との間の交渉は、今のところあまりうまくいっているようには見えません。
もしかしたらそれは、祈りの中から自己中心性が抜けきれていないことが原因のひとつなのかもしれません。
眼前にある問題を解決してほしい、現状を改善してほしいといったような、自己を深く見つめ直すのではなく、神に何かを要求するような祈りがまだまだ多いのかもしれません。

私も神仏に祈ることがある時は、そのことをよく自覚しなければならないのでしょう。

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