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宗教や信仰についての雑記 #228

◯オートポイエーシスと宗教多元主義

前回、拡張を行ったオートポイエーシス概念を用いて、改めて超越者を捉えてみました。
今回はその超越者像から、宗教多元主義について考えてみたいと思います。

一方で、オートポイエーシス・システムは、多層的な自己組織化によって特徴づけられます。つまり、システム全体が、より小さな部分システムの相互作用によって構成されており、各部分システムもまた自己組織化しているということです。
超越者をこの観点から見ると、超越者の存在は、多様な信仰や宗教といった、より小さな自己組織化システム(サブシステム)の相互作用によって支えられていると考えることができます。

そして、それら様々な信仰や宗教は、それぞれが独自の自己組織化システムでありながら、同時に、より大きな超越者の存在という共通の基盤の上に成り立っているとも言えるのではないでしょうか。

つまり超越者という存在は、多様な解釈や表現が可能であり、その結果として、多様な宗教が生まれ、それぞれが独自の自己組織化システムを構築してきたとも考えられます。

様々な宗教の存在は、しばしば対立や衝突を生み出す原因となりますが、オートポイエーシスという観点から見ると、それはむしろ、超越者の存在がいかに豊かで多層的なものであるかを示す証拠と言えるかもしれません。各宗教は、それぞれが独自の視点から超越者を探求し、その存在を表現することで、全体としての超越者の姿をより深く理解することに貢献しているとも言えるでしょう。

このように、多層的自己組織化という観点から見ると、宗教多元主義は必然的なものとして捉えられるのかもしれません。
ただ、それを実感するには、先日の投稿(#212)で書きました、「循環する視点」が必要になると思います。

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