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宗教や信仰についての雑記 #227

◯オートポイエーシス概念の拡張

先日の投稿(#225)で、超越者もまた、ひとつのオートポイエーシス・システムであるのではないか、と書きました。
しかし、オートポイエーシス概念は、生物システムを対象として、自己生成・自己組織化を行う閉じたシステムとして定義されてきたため、超越者のような、空間、物質、因果律といった制約を超越した存在をこの概念に当てはめようとすると、それらについて問題が生じるようです。

そこで、それらの問題点を解決するため、オートポイエーシス概念を拡張できないか調べてみました。すると下記のような事柄がありました。

◆無限性の導入: システムの境界を無限に拡張し、宇宙全体や多元宇宙を包含するシステムとして考える。
◆非局所性の導入:量子力学の非局所性に着想を得て、空間的な距離を超えた相互作用を許容するシステムとして考える。
◆情報としての要素:物質だけでなく、情報や抽象的な概念もシステムの構成要素として認める。
◆非線形な因果関係:線形な因果関係だけでなく、非線形な因果関係や循環的な因果関係を許容する。
◆確率的な因果関係:決定論的な因果関係ではなく、確率的な因果関係を導入する。
◆自発的な秩序形成:外部からの干渉なしに、自発的に秩序が形成されるプロセスを重視する。
◆多階層の自己組織化:複数の階層で自己組織化が同時に進行するシステムを考える。

上記のような拡張を行ったオートポイエーシス概念を用いることで、超越者を以下のように捉えられると考えられるようです。

◉無限に拡大する自己組織化システム:超越者は、宇宙全体を包含し、無限に拡大し続け、多階層で同時に自己組織化するシステムである。
◉認識不可能性:超越者は宇宙全体を包含し無限に拡大し続けるシステムであるが故に、人間にはその全体像や辺縁を認識することは不可能である。
◉情報と意識の集合体:超越者は、宇宙全体の情報と意識の集合体であり、自己生成・自己組織化によって新たな情報や意識を生み出している。
◉多元宇宙の統合:超越者は、多元宇宙を統合する存在であり、異なる宇宙間の相互作用を媒介している。

このような超越者の捉え方は、数ある考え方の一つに過ぎません。しかし、現代を生きる我々にとって、超越者をよりイメージしやすくする試みの一つとなるかと期待もしています。

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