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宗教や信仰についての雑記 #230

◯「延長された自己」と投企

先日の投稿(#215 , 225)で、人間は超越者の「延長された自己」ではないか、と書きました。

延長された自己とは、人間の自己概念が物理的な身体の境界を超えて拡張されることを指す概念だそうです。自己概念が身体的な境界を超えて拡張され、物理的な所有物や人間関係などが自己の一部として認識されるのが延長された自己の特徴とのことです。

人間が超越者の多層的自己組織化により形成されたサブシステムであり、さらなる自己組織化のために参照されるものであるならば、それは一種の「延長された自己」とも言えるのではないでしょうか。

しかし超越者のオートポイエーシス・システムが無限なるものであるならば、そこには辺縁も外部もありません。そのような状況で「延長された自己」はどこへ向かって延長されるのでしょう、
おそらくそれは未来に向けて延長されるのではないかと私は思います。
それは実存主義の「投企」に近いものなのかもしれません。

実存主義の「投企」という概念は、人間は本質よりも先に存在し、人間は自らの人生の意味を創造していくというものです。
人間は、実存的な状況において、自らの存在の意味を問いかけ、その意味を創造していく存在です。これは、超越者の延長された自己として、自己を不断に超越し、新たな可能性を探求していくということに対応すると思います。

ただ通常の「延長された自己」は元となる自己に従属していますが、超越者の「延長された自己」としての人間は、自らの選択によって、自分の人生だけでなく、世界全体にも影響を与えるという責任を負っています。これは、超越者の目的を共有する存在として、独自の新たな自己組織化を以て、その目的の実現に貢献するという責任でもあります。

「延長された自己」として我々は、大いなるシステムのダイナミクスに参画しているのだと思います。

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