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宗教や信仰についての雑記 #363
◯「異議申し立て」①
テレビやネットなどのニュースで、「異議申し立て」という言葉をしばしば見聞きすることがあります。
「異議申し立て」と聞くと「論争」や「対立」といったことを思い浮かべますが、これには以下のような、もう少し深い意味があるようです。
・権威ある意見や制度に対する挑戦
・より深い真理を探求
・変化と革新の原動力
・個人の自由な思考と表現の権利の主張
・異なる意見を持つ人々との対話の促進
ただ、無理やり異議をひねり出して、所謂「何でも反対」のような態度をとるのは論外ですが、私たちは「異議申し立て」ということに、上記のような意味があることを常に認識しておく必要があるようです。
アメリカでは大統領選挙後に、社会の分断がより深刻になったそうです。その大きな要因の一つに、SNSによるエコーチェンバーが指摘されています。
このエコーチェンバーとは、自分と似た考えや価値観を持つ人々との間で、同じような情報や意見が繰り返し交換されることで、あたかもそれが世の中の一般的な意見であるかのように錯覚してしまう現象のことです。
これは、広告収入に頼っているSNS特有のアルゴリズムによって、自分と似たような情報やコンテンツが優先的に表示されることが原因の一つとされています。
人はもともと、自分の考えや行動が一般的で、多くの人も同意していると思い込む「偽の合意効果」という認知バイアスや、自分の感情や価値観を他人に投影し、相手も自分と同じように感じていると想定してしまう「投影バイアス」という認知バイアスを持っているそうです。
SNSのアルゴリズムはそれらの認知バイアスを強化してしまうはたらきがあるようです。
上記の異議申し立ての意味の中に「自由な思考」ということがありましたが、エコーチェンバーに囚われた人は、もはや思考の自由を失っているように思います。
現代のネット社会に生きる私たちは、多様な情報源に触れること、批判的な思考を養うこと、対話を通じて異なる視点を受け入れることなどを通して、自分自身に対して「異議申し立て」をする習慣を持たなければならないようです。
尚、宗教における異議申し立てについては次回にしたいと思います。