宗教や信仰についての雑記 #222
◯うろたえる
私は気が小さいせいか、少しでも予期せぬことがあると、すぐにうろたえてしまいます。
「うろたえる」とは漢字では「狼狽える」と書きます。ご存じの方も多いかもしれませんが、これは昔の中国の故事に由来するそうです。
「狼」も「狽」もオオカミに似た動物で、「狼」は前足が長くて後ろ足が短く、「狽」はその逆とのことです。「狼」と「狽」は常に一緒にいて互いの足の短さを補い合わなければ歩けず、離れると倒れてしまう
のであわてるというところから、不意の出来事などにあわてることを指す言葉となったそうです。
この「狼」と「狽」という動物の故事が何を伝えたかったのか少し調べてみたのですが、どうもはっきりしません。
互いに助け合うことが大切さを伝えているとか、他者に依存することのリスクを表しているとか、バランスを取ることが大事だと言っているとか、いろいろな見方があるようです。
現代の経済はグローバル化していて、多くの国が互いに依存し合っています。しかし様々な資源の偏りがあるため、そこには常にリスクが伴っているようです。そういう意味では、昔よりはるかに便利になった現代のほうが、「狼狽える」要因が増えているようにも思えます。
人はうろたえてしまうと、理性的・合理的な判断ができなくなってしまいます。それを防ぐためには揺るぎない心の拠り所となるものが必要なようです。
宗教や信仰はそのためのものでもあるように思うのですが、しかしそれも依存しすぎると、排他的になったり、過度に懲罰的になったりして、かえって心の平安を乱してしまいます。
やはりそこでもバランスが重要なのでしょう。